ここにないもの の商品レビュー
エプシロンとミューという二人の登場人物が、人生の意味について、過去の自分について、自分の死について、未来についてなど、哲学の根本的な問題をめぐる対話をおこなっている本です。 著者はすでに、『哲学の謎』(1996年、講談社現代新書)という本で、二人の登場人物のわかりやすい対話を通...
エプシロンとミューという二人の登場人物が、人生の意味について、過去の自分について、自分の死について、未来についてなど、哲学の根本的な問題をめぐる対話をおこなっている本です。 著者はすでに、『哲学の謎』(1996年、講談社現代新書)という本で、二人の登場人物のわかりやすい対話を通して哲学の世界に読者を案内する試みをおこなっています。ただし、『哲学の謎』は著者ならではのとぼけた味のあるユーモアを含んだ登場人物たちの会話が印象的であるのに対して、本書は童話のような雰囲気をたたえています。その意味では、やはり著者の前著である『はじめて考えるときのように―「わかる」ための哲学的道案内』(2004年、PHP文庫)に近いような印象もあります。植田真のイラストも、そうした本書のかもし出す雰囲気によく合っています。 けっして難解な概念を用いることなく、哲学の本質的な問題についてじっくりと歩みを進めていくエプシロンたちの思索に付き添うことで、この世界の新鮮な風景をあじわえる場所へと連れ出されるような気分になりました。 ただ、最後のところで二人の対話からエプシロン一人の思索へと移ってしまったのが、個人的には残念でした。あるいは著者にはなんらかの意図があったのかもしれませんが、かつて哲学書房の中野幹隆が著者に語ったということばを借りるならば、「こらえ性がなくなってしまった感じ」があります。
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『10年前の僕は僕?』83p最後から結局自分というのは他者が形づくってるというような話が出たが、これは最近見たエヴァンゲリオンのTVアニメ版の最終回でも同じ内容のことが語られていた。自分のことが嫌いで自分にはなんと価値もないと感じてるシンジが、エヴァに乗ることで価値がつくと考える...
『10年前の僕は僕?』83p最後から結局自分というのは他者が形づくってるというような話が出たが、これは最近見たエヴァンゲリオンのTVアニメ版の最終回でも同じ内容のことが語られていた。自分のことが嫌いで自分にはなんと価値もないと感じてるシンジが、エヴァに乗ることで価値がつくと考えるも「じゃあ、エヴァに乗らない自分は何者なのか?」となり、自分以外を閉ざした世界でだんだん自分の形がわからなくなり、最終的に他者と関わることで人との違いを認識し自分の形がわかるという結論に達する。 そうして形がわかった自分を好きにならないと相手を好きになることもできず、自分の嫌なところを認識すると相手に優しくできるということを知覚して、尚且つ自分が嫌いな自分は他者からも嫌われていると勝手に思い込むのをやめるべきだと諭される。その後に「自分のことを好きになれる気がする。自分はここにいてもいいんだ」となり、他者と心を補完し合う『人類補完計画』が完成する。 何が言いたいのかというと、エヴァンゲリオンという名作を見た直後に特にそういう本を探していたわけではなく、帰路の暇つぶしにと閉店間際の蔦屋書店で買った本書が同じことを述べているということに運命的な何かを感じたというだけである。つくつぐ本とは出会いということが実感させられた。 本筋のことを語ると、思い出すという行為をしている自分を思い出すことで過去の思い出されている自分は果たして自分なのか?ということから”外側”が大事だという話になり、その外側があるかというのが夢から記憶、そして自分に当てはめていき、最終的には自分の外側つまり他者との関わり合いが不可欠であるということが結論となる。これの持っていき方も凄い。難しい言葉を使わずに、本書の冒頭から引用すると”っぽい”言葉を使わずにあくまで日常で使う言葉で考え抜いていくスタイルが素直に凄いしそれでいてある程度は理解できていく感じがとてもいい。冒頭にあったように気持ちの良いというのはこのことだろう。
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往来堂書店「D坂文庫2015冬」から。 知りたがりで天然なミューと、いつも何かを思考しているエプシロン。この二人の軽快、かつ珍妙なやり取りで、人生、死、現在・過去・未来、ことば、について語る。これは紛れもない哲学本。 でも、本書が少しユニークなのは、エプシロンが完全ではないという...
往来堂書店「D坂文庫2015冬」から。 知りたがりで天然なミューと、いつも何かを思考しているエプシロン。この二人の軽快、かつ珍妙なやり取りで、人生、死、現在・過去・未来、ことば、について語る。これは紛れもない哲学本。 でも、本書が少しユニークなのは、エプシロンが完全ではないということ。あどけなく、それでいて鋭いミューの問いかけを受けながら、エプシロンの結論は揺れる。そして、少しずつ正解(と思われるもの)に近づいて行く。エプシロンと一緒に思考するのも楽しいかもしれないけれど、多分この本のより楽しい読み方は、思考するエプシロンを見ながら自分でハッとして気づきを得るということではないかと思う。 ワタシがハッとしたのは、ことばについて触れた部分。 「ことばが<ものさし>みたいになってるわけだ。ことばをあてがうことで、そこから何かがはみ出てるってことが感じられてくる」 「何かをことばで言い表すと、そこには何か言い表しきれないもどかしさみたいなものがつきまとうことがある」 「そのもどかしさっていうのは、そこまでことばで言い表したからこそ、姿を現したものなわけだ。空の色を<青>ってことばで言い表そうとするから、それじゃあ、言い切れないもんが見えてくる。で、そいつはずっとそのまま言い表せないのかっていうと、たぶんそうじゃない」 ひとはことばで考えている。ということは、ことばをより知ることによって、考えがより深まり、より広がり、より伝えられるのではないか。当たり前と言えば当たり前なのだけれど、これがワタシのいちばんの気づきだ。
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かわいいキャラクター2人が日常に潜むほんのり哲学的な事柄についてゆったり話し合う本。最後の方は少し良かったですが、たまにダレ気味かもしれません。中身は提示といった感じで薄めで、面白いかはわりと読者側の思索力でどう広げるかにかかっているように思います。哲学入門、哲学ってどんなもの?...
かわいいキャラクター2人が日常に潜むほんのり哲学的な事柄についてゆったり話し合う本。最後の方は少し良かったですが、たまにダレ気味かもしれません。中身は提示といった感じで薄めで、面白いかはわりと読者側の思索力でどう広げるかにかかっているように思います。哲学入門、哲学ってどんなもの?という人には、ちょっといいかもしれませんが、ガッツリ読書したい方には物足りないかも。
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ゆったりと考える。もっともっと考える。 語りあう。もっともっと語りあう。 ほんの少し見えてくるものがある。 ここにないものが いつしか微かに形になり始める。
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出だしはスラスラ読めたが、終わりに近づくにつれて私の理解力をこえた。童話のように書いてあるのに、これが理解できないとは、悔しい。言いたいことはわかるけれど、「あ、わかった!」という閃きや、それがわかったことでどうしたいか、っていうのが出てこなかったから、それは理解できていないとい...
出だしはスラスラ読めたが、終わりに近づくにつれて私の理解力をこえた。童話のように書いてあるのに、これが理解できないとは、悔しい。言いたいことはわかるけれど、「あ、わかった!」という閃きや、それがわかったことでどうしたいか、っていうのが出てこなかったから、それは理解できていないということだろうし、自分の人生との結びつきが弱そうだったので、★は少ない。 哲学対話でありながら、会話の書き方がとても上手。そういう2人が本当にいそう。川上弘美さんの文章から始まり、文庫本でも挿絵がふんだんにある点など、かかわった人の愛情を感じる本だった。 高校生に勧められて読んだ本で、思春期にはまりやすそうな内容ではある。(薦めてくれた本人は不本意だろうけれども)
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可愛らしい哲学書。あ!これ、考えたことある!という内容を二人の登場人物の会話で思い出しながら読めました…が、ゆっくり時間のあるときに読まないと、頭に入ってこないです。
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哲学の入門の入門みたいな本。 より、現実に即した実践的な題材を取り扱っているけれども、考え出すと難しい。 たまには、良いと思います。
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最後のページにすこぶる感動。生きているって、今があるって、新鮮限りのない今を絶えず味わえているって、なんて素晴らしい。
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まあまあだった。その時置かれている環境によって読後感が変わりそう。挿し絵はどちらがミューでどちらがエプかわからなかった。
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