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末裔 の商品レビュー

3.7

24件のお客様レビュー

  1. 5つ

    2

  2. 4つ

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2023/08/26

10年後に読んだら全く違う感想になる気がする。 ドライだし、妙な話ではあるんだけど、やっぱり根っこのところが優しくて穏やかなのが良いんだと思う。

Posted byブクログ

2023/07/09

「末裔」やっと読んだ。ってか読めた。この作品は素晴らしいんだが、何度も途中で止まっては時間が空きすぎてしまい、最初から読み直すハメに。暇とゆとりがなかった主人公と同世代の私の悲哀よw。さて。ラストに登場する >パンツの花 って何だろう?架空の花であろうか?私がぱっと想像したのはダ...

「末裔」やっと読んだ。ってか読めた。この作品は素晴らしいんだが、何度も途中で止まっては時間が空きすぎてしまい、最初から読み直すハメに。暇とゆとりがなかった主人公と同世代の私の悲哀よw。さて。ラストに登場する >パンツの花 って何だろう?架空の花であろうか?私がぱっと想像したのはダチュラなんだけども(垂れ下がった薄い布な感じで)「(一本の木に)白や桃や咲く」「(主人公が)幾つかをむしゃむしゃ食う」ので、ダチュラは毒があるし違うかな?と。しかし「清楚」なのか「艶っぽい」のか?このパンツの花は?300ページの内容全てが思い出せる、というくらいに今度こそはと没頭して読んだというのに、全てをこのパワーワードに持っていかれた。もう思い出せないw。ある日突然自宅の玄関の扉の「鍵穴」が消失していて、家に入れない男が、色々あって、最後にパンツの花をむしゃむしゃ食べると言う大団円の話であった。

Posted byブクログ

2023/05/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

久しぶりに絲山さんの小説で好きだと思った。数年前に妻を亡くし、子供も寄り付かなくなったゴミ屋敷で暮らす冴えない公務員おやじが主人公。家に帰ると鍵穴がなくなっていて家に入れない…というところから始まる、現実と地続きのファンタジー路線の本。この主人公でこれをやるというのが、もうすでに面白い。 この小説は死者と忘却の影が常に付きまとい、その意味を問うてくる。妻を亡くして以来孤独になっていた主人公が家から放り出されて以降、ゆっくりと昔の家族の風景を思い出していく。親、伯父や親戚、そしてさらに昔の人々……自分が一番下の頂点、つまり末裔になる血のつながりが広がっているのを実感し、自分の座標を確保したような安らぎをじわじわと得ていくのと同時に、自分の下へ、横へと延びていくつながりもまた息が吹き込まれ始める。 なにかにつながっている、大きな流れの中に位置している、というのは人間の自意識の安定に不可欠な欲求ではないかと思う。きっと主人公くらいの年齢になって読むとまた違った味わいがあると思うのだが、主人公の昔の家族の何気ない場面の、絲山さんらしい存在感ある描写がすごく良い。死者との距離、自分の位置、確かに感じられるリアリティがファンタジーの不思議な導きで露になっていくのが面白かった。不思議は不思議のまま、タネの解き明かしもほぼないのがまた好み。

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2023/03/28

すごくおもしろい!読了してから、これは難しい奥深い物語だと思った。鍵穴を失い入れなくなったゴミ屋敷の我が家は主人公自身の暗喩だろうか。休める場所を求めて町を放浪するうち、不思議な男から声を掛けられる。これが誰かは話のラストで判明する。昨夜泊まったはずのビジネスホテルは消え失せ、無...

すごくおもしろい!読了してから、これは難しい奥深い物語だと思った。鍵穴を失い入れなくなったゴミ屋敷の我が家は主人公自身の暗喩だろうか。休める場所を求めて町を放浪するうち、不思議な男から声を掛けられる。これが誰かは話のラストで判明する。昨夜泊まったはずのビジネスホテルは消え失せ、無人のはずの親類の古い家に入り込む。不法侵入。謎めいた言葉を話すインコと犬。主人公は自分の祖先に思いを馳せるようになり、ルーツ探求の旅に出る。自分の存在には無数の先祖がいることは想像できるが普段はそんなこと考えない。私も誰かの末裔。

Posted byブクログ

2022/05/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 3年前に妻靖子を癌で亡くした富井省三58歳、世田谷に住む定年前の地方公務員の話。ある日、家に帰ると家の鍵穴がなく、ドアが開かないで家から締め出されたところから物語はスタートする。大昔の人に出会ったり、死んだはずのインコが生きてたり、犬が話しかけてきたり・・・。どれが現実で、何が虚構なのか・・・。絲山さんの描く不思議な世界に引き込まれながら、富井省三と共に家族の過去の系譜に思いを馳せていきます。絲山秋子「末裔」、2014.4発行。

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2021/06/17

鍵穴が無いって?面白そうと思って読み始めたけど、ちょっとテイストがちがってました。 不思議な世界観だけど、なんとなくわかる様な気がします。歳が近いからかな、、

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2020/03/22

2017年に読んだ同じ著者の『離陸』と同じようなテイストか。現実の世界が舞台なんだけど何だか摩訶不思議なことが起こっているという意味で。 私は現実にあるような物語を読むのが好きなので、読み始めの頃は何とも読みにくさを感じたし、その後もスイスイ身の内に入ってくるような感じはしなかっ...

2017年に読んだ同じ著者の『離陸』と同じようなテイストか。現実の世界が舞台なんだけど何だか摩訶不思議なことが起こっているという意味で。 私は現実にあるような物語を読むのが好きなので、読み始めの頃は何とも読みにくさを感じたし、その後もスイスイ身の内に入ってくるような感じはしなかったんだけど、どこか定年間近の中年男が自分の歩いてきた道を振り返るような運びにはもののあはれ的な意味で共感をもてた気がする。最初はまったくさえずつまらないおっさんに思えた省三さんだけど、亡き妻に手紙を書いたり思い出を懐かしんだり、いろんな感情をもっていることが露わになってきて魅力が出てくるのも面白いものだった。想像で思い描く省三さん像も読み始め当初より髪が増えたり背筋が伸びたりしてカッコよくなっていった。 一族の末裔として昔を振り返る「旅」をすることで、何となくしっくりいっていなかった娘や息子、長く音信不通だった弟との新たな関係が開けていきそうな終わり方もよかったね。

Posted byブクログ

2018/11/23

主人公の男は喪失感と虚無感の中彷徨いながらも、小さな希望を見つけまた現実と向き合って歩き出した。絲山秋子は少し村上春樹に似ている気がする。好きな作家。

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2018/01/10

単行本で読んでいたものの再読。 爽快感ある作品。 以下、読書メモ。 「「あんた、筋書きでしかでしか行動できないのか」 「筋書きというのを、運命と言い換えていいのなら、その通りです」」 「家族というのは、お互いの一面しか知らないし、見ようとしないものだね。そうでないと、一緒に暮...

単行本で読んでいたものの再読。 爽快感ある作品。 以下、読書メモ。 「「あんた、筋書きでしかでしか行動できないのか」 「筋書きというのを、運命と言い換えていいのなら、その通りです」」 「家族というのは、お互いの一面しか知らないし、見ようとしないものだね。そうでないと、一緒に暮らしたり、長いことつきあったりして行けないんだ。」 「「生きるのに必死」と「死」はぞっとするほど近い、境界線が複雑に入り組んだ場所にある。あるときは生きる方に傾き、あるときは一瞬にして死に傾いてしまう。」

Posted byブクログ

2017/09/08

鍵穴がないなんてもしやファンタジー?と思ったけどそうでもないみたい。乙も不思議な人。ちょこちょこ出てくる犬がなんだかおかしいのに妙にほっこり。

Posted byブクログ