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からくさ図書館来客簿(第二集) の商品レビュー

3.9

21件のお客様レビュー

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2015/06/02

京都のとある私立図書館を舞台に繰り広げられる、「道なし」と人々の物語、第2巻。 今回は人力車ひき(車夫)、香木店の娘、華道を嗜む女子大生、鳥類研究家の男性が「道なし」と出会う。 『子猿の宝物』 香木店の娘、曜子が嗅覚を失う話は他人事ではない。 会社でいじめにあった、というのは...

京都のとある私立図書館を舞台に繰り広げられる、「道なし」と人々の物語、第2巻。 今回は人力車ひき(車夫)、香木店の娘、華道を嗜む女子大生、鳥類研究家の男性が「道なし」と出会う。 『子猿の宝物』 香木店の娘、曜子が嗅覚を失う話は他人事ではない。 会社でいじめにあった、というのは何も珍しい話ではないからだ。 逆に言えば、不用意な言動で相手を怒らせてしまったり傷つけてしまったり、そんなことは日常茶飯事だ。 文章ならば、考えて書ける。 だが、話というものはその場のノリであったり、考えなしであったり、言葉が足りなかったりして、失敗することが多々ある。 また、自分が傷つけられた、ということはよく覚えていても、他人を傷つけたということは存外覚えていないものだ。 だから、悪口は減らない。 いうまい、という強い気持ちでなければ、自分を傷つけた人と同じように誰かを傷つけている。 我慢し続けることはない、だが、それを見極める術を持たなければ、自分と他者との関係は簡単に転換することも忘れてはならない。 『鳥めずる若君』 実利的な研究を優先しなければならず、やりたいことには予算がつかない。 結果を迅速に求められるばかりで辛い.....。 社会人であること、明日のご飯を食べられるようにするため、そう割り切らなければならない「大人」の世界。 貴族のように、ぼんやりと好きなものを好きなだけ、時間も資金も潤沢にというわけにはいかない。 これは現代人なら誰もが感じることだろう。 もちろん、貴族が貴族であるためにはその下にそれを支える人がいるわけで、平等を歌う社会ではそれは全て許されるわけではない。 だから、仕方ない、多少は我慢しなければ、と皆思っている。 それを考えると働くとはなんと尊いことか。 そしてそのわずかな時間に「好きなこと」をする。 それもまた、楽しからずや。

Posted byブクログ

2015/03/03

これの第一集を読んだあと、第二集、第三集を予約。カバー装画や口絵に描かれている人物像は、私が字から読むイメージとはやはり違うのだが、それはそれとして。 ちょうど第一集で「小野篁」の名前をおぼえていたら、(こないだ伊丹市美で外骨展を見て読んでみたくなって)別に借りてきた宮武外骨...

これの第一集を読んだあと、第二集、第三集を予約。カバー装画や口絵に描かれている人物像は、私が字から読むイメージとはやはり違うのだが、それはそれとして。 ちょうど第一集で「小野篁」の名前をおぼえていたら、(こないだ伊丹市美で外骨展を見て読んでみたくなって)別に借りてきた宮武外骨の『筆禍史』(復刻版)や、外骨の甥による『宮武外骨伝』で、小野篁の名前が出てきた。『筆禍史』は、中古時代の筆禍者として冒頭に小野篁の名をあげているのだった。 その部分を外骨の本から引くとこんな具合。 ▲小野 篁 仁明天皇の承和四年、小野篁が遣唐使の乗用船につきて、藤原常嗣と争ひたる時「篁忿恙して曰く、朝議定らず、其言を二三にするやと、遂に病篤しと称して復た船に乗らず、西道謡を作りて遣唐の事をそしり、多く忌諱を犯す、嵯峨上皇之を見て大に怒り、其罪を論ぜしむ、仁明帝因つて其官職を免じて庶人となし隠岐に流竄す」といへる事これなり (宮武外骨『筆禍史』、p.2)※ この小野篁の筆禍にまつわる話が、からくさ第二集の六話「小猿の宝物」に出てくる。 「私もかつて遣唐使の副使に選ばれた時、壊れた船に乗れと命じられまして」、「[正使の藤原]常嗣殿の乗った第一船が嵐で大破して渡航は中止になったのですが、次の出航ではその第一船に私が乗り、私が乗っていたほぼ無傷の第二船に常嗣殿が乗る、と決定が下されました」(p.173)と篁が語ると、ちょうどこの世にやってきていた安倍晴明が「『船を交換し、安全な方に正使を載せるべき』という常嗣の奏上が帝に承認されたそうだな」(pp.173-174)と続ける。 「流罪のもともとの発端は、その事件ですよ。私は仮病を使って乗船を拒み、遣唐使制度を批判する詩を書いて、方々にばらまきました」(p.174)という篁に、晴明が「結果、隠岐へ島流しだ。そんな詩を書いて大勢に憎まれれば、帝の意向がどうであろうと庇いきれない。無茶だな篁卿は」(p.174)と言う。 それに対して篁は「放っておいたら他にも犠牲者が出てしまうからですよ。航海技術の見直しもせず、新しい船の建造もせず、危ない方の船に副使を載せればいという発想なんですから」(p.174)と語る。 外骨が記すところの「西道謡を作りて遣唐の事をそしり、多く忌諱を犯す」というその"筆禍"となった漢詩を読んでみたい…。 第八話「鳥めずる若君」に出てくる"研究"の話もおもしろかった。「知りたい」「知りたいから調べる」というわけには、なかなかいかへんのやと嘆く、鳥類学研究所につとめる蜂須賀。国から予算を貰うための実績をつくることを求められている。 ▼蜂須賀たちが勤しまねばならないのは、職場の実績に繋がる研究と、世の中のためにすぐ役立つ研究だ。開発予定地における稀少な鳥類の生態を調べたり、鳥の渡りによる伝染病の伝播の可能性がないか調べたり、まずはそういった実利的な研究を優先させねばならない。(p.323) 蜂須賀がやりたくてもやれへん仕事は、「なぜ昭和49年にユリカモメが京都に飛来したのか、どうやって鴨川を選んだのか調べたい」(pp.322-323)ということなのだ。 著者はあとがきで、「「場」の物語が書きたい」と思っていたと綴る。「本と庭園のある、くつろげる場所。死者をも含めた、「信頼できる他者」との緩やかな交流がある場所。京都を舞台に、そんな場が書ければ、と思いました」(p.378)と。 そして私は、著者が参考文献として巻末にあげている本もちょっと読んでみたい。『日本航海術史―古代から幕末まで』とか、『鳥学の100年 鳥に魅せられた人々』とか。 (2/28了) ※復刻版 『筆禍史』は朝香屋書店刊行のものを、崙書房が1974年に影印版で復刻したもの。 扉には、廃姓外骨著となっている。 奥付によると、初版と増補等は、  明治44年5月1日発行  大正15年9月7日改訂増補再版印刷  大正15年9月10日改訂増補再版発行  大正15年9月20日改訂増補三版発行  大正15年10月5日改訂増補四版発行 となっている。

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2015/02/27

晴明さんも登場の、待望の第2巻!! 時子さまが成長するにつれ、だんだんヘタレ具合が出てくる篁さんwww

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2014/08/08

京都の一角にある「からくさ図書館」は、優しげな館長さんと可憐な少女が二人きりで切り盛りする、アットホームな佇まいの私立図書館。奇妙な“道なし”と出会ったお客様が訪れる図書館で、解決法を記した不思議な書物を紐解く図書館長・小野篁こそは、彼らを救う“冥官”だった。季節は春。篁たちのも...

京都の一角にある「からくさ図書館」は、優しげな館長さんと可憐な少女が二人きりで切り盛りする、アットホームな佇まいの私立図書館。奇妙な“道なし”と出会ったお客様が訪れる図書館で、解決法を記した不思議な書物を紐解く図書館長・小野篁こそは、彼らを救う“冥官”だった。季節は春。篁たちのもとに、上官である安倍晴明が訪れる。彼が新米冥官の少女・時子に伝える使命とは―。

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2014/05/16

篁、今回もかっ飛ばしてたなぁ。なかなか面白いキャラしてますよ。 今回は、また少し時子様の謎が解けて、なんと神様も出てきました!私、時子様、大好きだなぁ。優しい人なのだ。酷い目にあってても、誰にも文句を言わず粛々と役目を全うしてきた人。 そりゃ、天道にも行きましょうよ。今は楽しいん...

篁、今回もかっ飛ばしてたなぁ。なかなか面白いキャラしてますよ。 今回は、また少し時子様の謎が解けて、なんと神様も出てきました!私、時子様、大好きだなぁ。優しい人なのだ。酷い目にあってても、誰にも文句を言わず粛々と役目を全うしてきた人。 そりゃ、天道にも行きましょうよ。今は楽しいんだろうなぁ。 今回の道なしたちも、バラエティに富んで、よかったです。舞妓さんの話が良かったなぁ。お師匠さんの教えが、なんというか、しゃんと背筋が伸びる思いでしたね。お花が生けたくなりました。

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2014/05/05

ちょうど、GWに京都に来ていて読んだのがまたよかった。 流鏑馬や斎王代の禊など、タイムリーで。 道なしと呼ばれる亡者が出てくるから、時おり背筋がぞっとしちゃうんだけど(怖がりなもので、元来こういうお話は苦手なのです)それでも続きを読みたいと思うのは、この作品がホラーでないこと、...

ちょうど、GWに京都に来ていて読んだのがまたよかった。 流鏑馬や斎王代の禊など、タイムリーで。 道なしと呼ばれる亡者が出てくるから、時おり背筋がぞっとしちゃうんだけど(怖がりなもので、元来こういうお話は苦手なのです)それでも続きを読みたいと思うのは、この作品がホラーでないこと、描かれているのは人々の切ない思い、そしてすべての話の根底に、ひとに対する温かい愛情が流れているように思うから。 いずれにしても、次巻も楽しみです。 今巻のなかでは、蜂須賀さんと鳥師の「鳥めでる若君」が面白かったなぁ。

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2014/04/29

前作が面白かったので。 今回もほっこりできたお話でした☆ 新しい登場人物も出てきて、面白くなりそうです。 イラストきれいだなぁ・・・今回も。

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2014/04/24

前回よりも少し踏み込んだ感じ。 人の心の苦さを表に出すのはつらいけれど、そこから得るものもあるというなら救われる。ただし失うことを求めることもあるのだけれど。 鳥めずる若君は想像してちょいと動揺した。そんな姿なのか。 全体的にやさしい気持ちが下地にあるのがよいと思う。

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2014/04/09

今回も、読んでいてとても心地よい作品でした。前回、篁のキャラ造形が鼻につくようになったらどうしよう?…と不安でしたが、それほどでもなくなりました。どうしても眼鏡外してめたもるふぉ~ぜには、苦笑いしてしまうのですが。(^^;) 篁は心配でたまらないようですが、時子のこの先を読者とし...

今回も、読んでいてとても心地よい作品でした。前回、篁のキャラ造形が鼻につくようになったらどうしよう?…と不安でしたが、それほどでもなくなりました。どうしても眼鏡外してめたもるふぉ~ぜには、苦笑いしてしまうのですが。(^^;) 篁は心配でたまらないようですが、時子のこの先を読者としては素直に楽しみにしていたいと思います。 鳥類研究家のおじさんと鳥部さんの間に、友情というか……同じものを好きな者同士の共犯関係のようなものが成り立ってゆく様子が、微笑ましかったでした。

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2014/03/30

安倍晴明や茜さんなど、新たなメンバーも加わり、物語にも進展が。時子様も冥府の官吏として成長を遂げていくとともに、過去が少しずつ明らかになっていき、面白かったです。時子様の篁に対する愛情や篁の時子様への想い(親心?)も、恋愛ではないのかもしれないけれど、垣間見えて読みながらちょっと...

安倍晴明や茜さんなど、新たなメンバーも加わり、物語にも進展が。時子様も冥府の官吏として成長を遂げていくとともに、過去が少しずつ明らかになっていき、面白かったです。時子様の篁に対する愛情や篁の時子様への想い(親心?)も、恋愛ではないのかもしれないけれど、垣間見えて読みながらちょっとにんまりしてしまいました。二人のこれからも気になります。恋愛にはならないのかなぁ...。時子様が官吏として成長していく物語になりつつあるところがちょっと気になります。 前作では図書館が舞台ということに違和感を感じましたが、今回は全く感じなかったです。前作よりも面白かったと思います。そして、京都が舞台ですが、季節が春から初夏とあり、花の移ろいや葵祭など様々な京都の風情を楽しむこともできました。

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