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最後の恋人 の商品レビュー

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2015/06/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

あいかわらず摩訶不思議だけどユーモラスな残雪ワールドをたっぷり堪能。登場人物たちは表向き普通の生活を営んでいますが、ひそかにもう一つの世界を育んでいます。読書が趣味のサラリーマンの壮大な計画、農場経営者のゴム園やマリアの機織り…。彼らの世界では猫が電気を帯び、車椅子の男が空を飛び、不可解な出来事が日常茶飯事に起こります。 この世界の不可解さの追求こそがすなわち人間の可能性の追求であり、残雪の小説の共通のテーマとなっているもののように感じます。 わかりやすい小説ではありませんが、登場人物とともにときに笑いながら、想像もつかない世界を体験する心構えさえあれば、この小説が、作者の言う"精神が発展する場所としての別な空間と時間"の舞台となるに違いありません。僕たちだって、登場人物たちのように"世界の二重性"を生きているのかもしれませんよ。

Posted byブクログ