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五覚堂の殺人 の商品レビュー

3.6

16件のお客様レビュー

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2014/03/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

数学者・十和田シリーズ第3弾 <あらすじ> 東北山中に建てられた五角形の館『五覚堂』 ーAー 館主・志田の遺産相続のため五覚堂に集まる親族達。 ひょんなことから宮司警視の妹・百合子もその場に同席。 館主の顧問弁護士より遺産相続の内容が告げられ、相続の条件として30時間外出及び外部連絡禁止が言い渡される。 すると、館内で密室殺人が2件発生。被害者は親族5人。 遺産欲しさに警察に連絡を取らない生存者達だったが・・・ ーBー 天才数学者・善知鳥神が五覚堂に十和田を招待する。 そこで善知鳥神は、五覚堂に設置された監視カメラ映像を再生し、-A-の事件を見せ、事件の謎が解けるか十和田に出題してきた。 十和田はその映像で事件の真相を解明するが、善知鳥神はその場から退場する・・・ ーCー 勤務中の宮司警視の元に、「志田の家で発生した23年前の事件を調査するべき。あと百合子さんによろしく」というタレコミが入る。 宮司は、23年前志田家で家政婦が殺された事件の調書を考察しつつ、百合子の安全を確認するため、百合子の携帯の発信元を追い五覚堂へ向かう・・・ -A-B-C-3つの視点が並行して語られ、そして集束する。 <オチ> 五覚堂は複数あり、その内の1つで殺人事件が起きていて、十和田は別の五覚堂でカメラ映像を見ていた。 宮司にタレコミしたのは善知鳥神で、宮司は十和田と合流し、互いに情報交換し、百合子がいる殺人事件が起きた五覚堂へ向かった。 そして十和田は謎解きを披露。 犯人は館主の顧問弁護士で、23年前に殺された家政婦は顧問弁護士と内縁関係で、彼女を殺したのは実は館主・志田だった。で、復讐のために親族を殺した。 過去作含め登場してきた館を建てたのは善知鳥神の父・沼四郎で、今回も裏で操っていたのは善知鳥神だった。 十和田は善知鳥神が五覚堂を去る前に何故こんなことをするか聞くと、彼女は「戦いに備えるため」と答えた。 さらに宮司は、志田が『藤衛』と関係があったことを突き止める。 ーーー 藤衛(ふじまもる)とは、22年前にある島で起きた数論学者が多数殺された大事件の被疑者。 その島には十和田も招待されており、事件の被害者の中には宮司の両親もいた。 事件の調査は困難を極めたが、島に数学者一同を招いた藤衛が自供したことにより事件は解決。藤は死刑判決を受けた。 ーーー 今なおその島の事件の真相を解き明かした者はおらず、両親の死の真相を追っていた宮司は、今回の23年前の事件と関係があるのでは?と十和田に詰問するが、返答はなく、、、 そんな中、突如自らの自供を覆し無実を主張しだした藤は、自供以外の証拠が無い警察にあっさり勝利。 五覚堂の事件から2ケ月後、藤は無罪判決を受け釈放。 それを境に、十和田は消息を絶った。

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2014/03/09

1冊目より2冊目、2冊目より3冊目と確実に面白くなっている。2冊目が位相幾何学、3冊目が自己相似形がテーマ。数学単体は私の天敵だけど、数学と哲学の融合したこれらにはとても興味があって、だから面白く感じるのかな。そして「過去の殺人」というテーマも大好きなので、シリーズがそこに向かっ...

1冊目より2冊目、2冊目より3冊目と確実に面白くなっている。2冊目が位相幾何学、3冊目が自己相似形がテーマ。数学単体は私の天敵だけど、数学と哲学の融合したこれらにはとても興味があって、だから面白く感じるのかな。そして「過去の殺人」というテーマも大好きなので、シリーズがそこに向かって進んでいるのも理由かもしれないな、と思う。 森博嗣氏のシリーズをどうしてもどうしても小娘・萌絵が嫌いで読み続けられなかった私と同じ感覚の方、周木律氏を是非!こっちの数学少女・百合子ちゃんは小娘と違って素直で可愛いよ!笑

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2014/03/09

密室トリックはややバカミスのような気もしますが、個人的には満足出来る内容でした。 数学の薀蓄(自己相似形)もこれまでの二作と比べると解り易いですし、館のあらゆるところが同形という徹底ぶりに感心しました。 ただ、トリックと数学要素がリンクせず、数学要素が無くても事件が解決してしまう...

密室トリックはややバカミスのような気もしますが、個人的には満足出来る内容でした。 数学の薀蓄(自己相似形)もこれまでの二作と比べると解り易いですし、館のあらゆるところが同形という徹底ぶりに感心しました。 ただ、トリックと数学要素がリンクせず、数学要素が無くても事件が解決してしまう構成が気に入りません。折角の大仕掛けも蛇足気味でサプライズが削がれてしまいました。 その大仕掛けも綾辻行人の某作品を連想するようなオリジナリティーを損ねるもので評価を下げそうな気がしました。

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2014/03/09

この発刊ペースに、キャラ造形。二人の天才が交わす意味深な会話にも、メフィストの先達・森博嗣を想起させられます。 森博嗣作品を読んでる方にはもしかしたら二番煎じ!劣化版!などの厳しい評価を下されてる方もいらっしゃるかもしれませんが、私は前作・前々作に引き続き、本シリーズは本格推理...

この発刊ペースに、キャラ造形。二人の天才が交わす意味深な会話にも、メフィストの先達・森博嗣を想起させられます。 森博嗣作品を読んでる方にはもしかしたら二番煎じ!劣化版!などの厳しい評価を下されてる方もいらっしゃるかもしれませんが、私は前作・前々作に引き続き、本シリーズは本格推理小説に堂々とカテゴライズされるに相応しい内容だな〜と嬉しく読み終えました*\(^o^)/* 特に今作は、前二作では歯痒いほど理解に難かった数学部分が非常に分かりやすかったのも嬉しかったです*\(^o^)/*数学で6点取った女でもノープロブレムだったので、そこは太鼓判押せますよ←← しかも読者がトリックを推理する際に参考になる考え方であったり、とある重要人物の本心を推察する際の傍証になったりと、今作ほど事件の全容に数学が絡んだものは既刊にはなかったように感じました。 それにしても、このシリーズって、一通りトリックを説明した後でもう一回り大きなトリックの全体図を見せてくれるのがすごいなあ。 トリックその物は小手先な印象のものもあったりしますが、プロローグで黒幕が「この建物回転するのよ〜」と大ヒントをくれちゃったり、上述のもう一つ大きな絵を設定したりと、とにかく読者を飽きさせない・呆れさせない仕掛けが随所に施されているのを感じます。 次作以降は、よりキャラクタの過去の話に焦点が合っていくような締め方でしたし、恐らくガッチガチの本格はこの辺りが見納めかもしれません。 この辺はシリーズ物の宿命ですし、今や立派な本シリーズのファンとしては、なんだかんだ言いつつ次作も期待しまくっているのでありました( ^ω^ ) 「今回の建物は【回転】します。大ヒントでしょう?」ーー天才数学者・善知鳥神が出題した謎。それは、因縁のある鬼才の建築士・沼四郎が建てた館で起こった連続密室殺人事件だった! 放浪の数学者・十和田只人は、友人(?)である宮司警視正の妹百合子を殺人の舞台から救い出すことが出来るのか?

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2014/02/23

堂シリーズ(?)第三弾。 正五角形の館で起きる殺人事件を、百合子が、十和田が、宮司が解く。 今回は図解がめちゃくちゃ親切で、読者に優しい。ただその分易しすぎる。 ミステリーとしてはもうちょっと凝ったトリックを期待したいところ。 あっさりとあの人数死んだら、それなりのトリック欲...

堂シリーズ(?)第三弾。 正五角形の館で起きる殺人事件を、百合子が、十和田が、宮司が解く。 今回は図解がめちゃくちゃ親切で、読者に優しい。ただその分易しすぎる。 ミステリーとしてはもうちょっと凝ったトリックを期待したいところ。 あっさりとあの人数死んだら、それなりのトリック欲しい。 神と数学者と、彼らの今後がようやく動き出したので次作、伽藍堂も早く読みたい。 「いえ、その命題は誤りです」

Posted byブクログ

2014/02/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 シリーズ三冊目。これを読むためだけに、(若干つまらない)一、二冊目を読む価値はある。むしろキャラの把握とかすっ飛ばすなら読まなくてもいいかもしれない。  って言い切れるくらいに面白かった。いや、珍しいタイプだと思う。大体ほら、作家って一作目が最高傑作って言うじゃない? これは三冊のなかで一番面白かったわ。シリーズだからとか、キャラクタの把握だとかそういうのではなく、数学的要素の取り入れ方、館のトリック、話の展開、すべてにおいて一、二作目より断然できが良い。すばらしい。  相変わらず会話が説明くさい、血が通ってない部分は気になったけどそういう文章だと思っていれば全然問題はない。前作、前々作みたいに館の見取り図だけでトリックが気づけちゃうようなところもなかったです。(個人的に。)地図の部分で「あー……」って思ったところは直後本文で十和田先生が突っ込んでたし、きれいなミスリードだったし、うまいなぁ、と思いました。うん、ほんと、うまくなってると思う、伏線の張り方というか、要素のちりばめ方というか。鼻についていた部分がなくなって、丁寧に研磨されてる。つるんってしてる。  数学的要素についてはやっぱり少しよく分からない部分があるけれども、前作よりは全然わかりやすいし世界に入り込みやすかった。館に対する想いっていうより、数学に対する想いのほうを前面に押し出していくんだろうなぁ。そういう方向で行くのなら、やっぱり数学的要素を分かりやすく読者に説明する努力は必要だと思う。じゃないとほんと読者おいてけぼりになっちゃう。  ここまで話の具体的内容について何も説明してないけれど、とりあえず、密室殺人が二つってくらいです。ピックアップされている数学的要素は自己相似形(フラクタル)。音楽や絵画あたりを引っ張ってきての説明だから、前回のダブルトーラスよりは断然とっつきやすい。十和田先生が五覚堂で起こった殺人事件を解決するように神さんから問題を提示される、という形。一章のタイトル「神と人」で気づいたけど、十和田先生の名前「只人」っていうんだったね。只の人なんだね。  講義のなかで十和田先生も言ってたけど、言われてみればとても簡単な方法での殺人(というか密室トリック)ではある。犯人についても読者側からすればヒントはちりばめてあるからなんとなく察せられる。ハウダニットの解をどうやって得るか、という部分が物語の面白さの最大ポイント。  抜粋。神さんと十和田先生の会話より。 「もし君ならばどうする?」 「何をですか?」 「この算術の檻、つまり輪廻から抜け出るには」 「…………」  神も、暫し沈黙した後――。  ややあってから、答えた。 「掛けます。ゼロを」  その場合「掛ける」とは具体的な「行為」によってなされるのか、そもそも「ゼロ」とは何であるのか。

Posted byブクログ