子どもの貧困(2) の商品レビュー
◆前著「子どもの貧困―日本の不公平を考える(http://booklog.jp/item/1/4004311578)」で提起した問題に対して、本書はその対策について模索しています。前著で示された「子どもの貧困」がもたらす最大の問題は、子どもがスタートの段階から大きな不利をこうむっ...
◆前著「子どもの貧困―日本の不公平を考える(http://booklog.jp/item/1/4004311578)」で提起した問題に対して、本書はその対策について模索しています。前著で示された「子どもの貧困」がもたらす最大の問題は、子どもがスタートの段階から大きな不利をこうむっていることと、子ども時代のそれが一生尾を引くということです。 ◆ところが”ちまた”では、「貧しい家庭の子でも自力で努力して裕福になった人はいる」だとか「貧しいのは、学歴が低いのは、努力が足りないからだ」といった声も根強いようですね(私感ですが)。まして、そうした人たちに現金を給付することについて強い抵抗があることは間違いありません(例えば生活保護制度)。著者が前著と本書で最初にとりかかっているのは、まずこの「常識」に異議を唱えることです。 ◆本書は、前著と比べるとかなり難しいです。というのも、前著は「子どもの貧困」という”わたしたち”の問題でしたが、本書はそれを解決する政策に踏み込むものであり、それは基本的にわたしたちには縁のない話だからです。 ◆とはいえ本書は、より多くの人に「考えてもらうための本」であって、考えながら読めば、社会福祉の立派な入門書になるのではないかと思います(なにより説明が現実でとられている・とられてきた貧困対策に即しているし、抽象的な説明が続くような小難しい入門書よりも分かりやすい気がするのです・・・^^;)。 ◆本書では、具体的な政策をどうするかという最大の課題がまだ残されています。「子どもの貧困」という問題に対して、「だれに」「どの段階で」「なにを」「どのように」手助けを行うべきなのかということは、これからの「子どもの貧困」対策、ひいては親への支援も合わせた(いちばん小さな”社会”の単位としての)家庭の支援を体系的に考えなくてはいけません。本書は、そのためのもっとも基本となる武器を与えてくれる本だといえるでしょう。 ◆早い話が、お勧めの一冊です。
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実態紹介に終始せず、施策の可能性について論じてあるの点が凄い。そんなに簡単にいく内容・問題ではないが、いろいろ試すことは必要だと思う。
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子供の貧困の連鎖を断ち切る有効な対策を、費用対効果、限られた予算、国民的合意レベルなどを踏まえ、多面的に模索されている。 詳細なデータの裏付けや、問題解決を検討するプロセスが論理的で、価値観を超えて多くの人々が納得できる提言になっている点は、さすがだと思った。 「子どもの貧...
子供の貧困の連鎖を断ち切る有効な対策を、費用対効果、限られた予算、国民的合意レベルなどを踏まえ、多面的に模索されている。 詳細なデータの裏付けや、問題解決を検討するプロセスが論理的で、価値観を超えて多くの人々が納得できる提言になっている点は、さすがだと思った。 「子どもの貧困対策法」という法律ができるなんて数年前には想像もできなかった。それだけ事態が深刻である一方で、国民的合意が進んだということ。自分自身も何ができるか考えたい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
前著『子どもの貧困―日本の不公平を考える』(http://booklog.jp/users/ayahito/archives/1/4004311578)を踏まえ、では実際にどうやって子供の貧困問題についての対策を立てていくか、社会学の立場から多くを提言している。 そでに「社会政策論入門としても最適な一冊」とあるように、専門色の強い一冊だと思う。特に政策とその効果をどう測定するか、などといったことはかなり難しく感じた。 そんな中で「なるほど」と思ったのは、政策提言の中の一つ。私なりにまとめるのであれば「現金給付中心から段階的給付へ」ということ。特に母子世帯は貧困で苦しんでいる率が高いので、子供が小さいうちは家計についてのストレスを払しょくし、子供へのストレスを最小限にする。そして子供が成長していくにつれ、学校や学習で必要なものを支給していくという考え方。 「現金」か「物」か、という二元論ではなく、段階に応じた支援が効果的であり、支持されやすいだろうと感じた。
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阿部彩『子どもの貧困II』岩波新書、読了。『子どもの貧困』を広く訴える契機になった前著のアップデートされた続編。現状で考えられる「解決策を考える」(副題)一冊。何から手をつければいいのか。プライオリティの高い政策はどれか。ひとつひとつの仮題を具体的に検討する。子どもの貧困に限らず...
阿部彩『子どもの貧困II』岩波新書、読了。『子どもの貧困』を広く訴える契機になった前著のアップデートされた続編。現状で考えられる「解決策を考える」(副題)一冊。何から手をつければいいのか。プライオリティの高い政策はどれか。ひとつひとつの仮題を具体的に検討する。子どもの貧困に限らず気が付くと弱者に転落せざるを得ないのが日本社会の現在。もう、無責任な自己責任はやめよう。
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貧困と聞くと、途上国や紛争地での話しのように聞こえます。一億層中流と言われながら育った自分には、貧困問題と日本とを結びつけるのに、少し違和を覚えます。 この本を読み、統計を見ると、違和が小さくなりました。特に、子どもや母子家庭での貧困の状況は急いで対処しなくてはならないと感じまし...
貧困と聞くと、途上国や紛争地での話しのように聞こえます。一億層中流と言われながら育った自分には、貧困問題と日本とを結びつけるのに、少し違和を覚えます。 この本を読み、統計を見ると、違和が小さくなりました。特に、子どもや母子家庭での貧困の状況は急いで対処しなくてはならないと感じました。 「日本では貧困対策が取られているでしょ」という指摘があるかもしれませんが、どうやら、効果はあまり上がっていないようです。 この本を読み、一番驚いたのは「再分配の逆転現象」(前著『子どもの貧困』の中に詳しいらしいのですが、僕はまだ読んでいません)。 政府は、税や社会保険料などでお金を集め、生活保護などの形で国民に再分配します。裕福な層から貧困層への所得分配が貧困削減策として行われているわけです。が、日本では再分配後の貧困率が再分配前よりも高くなるのです(この「貧困率の逆転現象」はOECD諸国の中ではにほんだけ)。 経済成長による分配は自然に貧困層に行き渡るとする「トリクルダウン」に対して否定的な検証結果がでているようです。 政府の所得再分配もトリクルダウンも効果薄となると、どのような策を講じればよいのか。 その提示がこの本のキモです。
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著者は中途半端だと書いているが、本書が提起した問題のありかと解決への道筋は十分にインパクトがあった。日本の財政も見据えながら、まずは何に取りかかれるのかが分かったからだ。 ・ひとり親世帯の貧困率は日本は最低 ・貧困層への自然なトリクルダウンはない。経済成長で。 ・現代は習い事を...
著者は中途半端だと書いているが、本書が提起した問題のありかと解決への道筋は十分にインパクトがあった。日本の財政も見据えながら、まずは何に取りかかれるのかが分かったからだ。 ・ひとり親世帯の貧困率は日本は最低 ・貧困層への自然なトリクルダウンはない。経済成長で。 ・現代は習い事を通さないと豊かな経験が積めない。 ・社会的地位ホルモンがセロトニン ・個別学習指導は学力向上だけでなく、大人社会への信頼感の回復、対話能力の向上、忍耐力の養生がある。 ・選別主義のパラドックスから、再分配のパイの大きさへの注目 ・現金給付に有意な効果はある ・放課後の子供の孤立は深刻 ・子どもの学習費調査
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統計や論文を多用した、研究者らしい一冊。 説得のためなのか、前半は貧困対策を投資に見立てた経済効果を全面に押し出した論調が続く。 後半で印象的だったのは、現金給付と現物給付の比較。ここまで詳細に検討されたものは未だ見たことがなかった。 まずは定時制高校と母子家庭に厚い支援を制度...
統計や論文を多用した、研究者らしい一冊。 説得のためなのか、前半は貧困対策を投資に見立てた経済効果を全面に押し出した論調が続く。 後半で印象的だったのは、現金給付と現物給付の比較。ここまで詳細に検討されたものは未だ見たことがなかった。 まずは定時制高校と母子家庭に厚い支援を制度化すべきなんじゃないのかなー。
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子どもの貧困についての政策をすすめるために、指標の設定、つまり「測る」ということ。政策の有効性についての効果も 「測る」こと。正当な意味でのでのアカウンタビリティに挑戦しようとした本。ただ、その「測る」が欧米の指標を参考とするしかない点(現状ではそれしかない)が物足りない。これは...
子どもの貧困についての政策をすすめるために、指標の設定、つまり「測る」ということ。政策の有効性についての効果も 「測る」こと。正当な意味でのでのアカウンタビリティに挑戦しようとした本。ただ、その「測る」が欧米の指標を参考とするしかない点(現状ではそれしかない)が物足りない。これは筆者の責任ではないが。 福祉の中に「生活指導」要素。自治的、自立的要素を考える必要がある。 竹内常一さんの「教育と福祉の出会うところ」の提言が改めて重要な意味を持つ。
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結局・・・対策としては「人的なサポート」ということなのだろうか。 ボランティアなどのメンター制度が一番なのに、結局・・・、行政も国家予算も、ここんとこにはお金を出さない。 その辺の日本土壌について掘り下げてほしいものだ。
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