写字室の旅 の商品レビュー
そもそも「写字室」って…ググってみる *中世期、欧州で修道僧らが写本制作の為に使用していた・・とされる部屋 読み始めた際、主人公の状況に違和感がありビジネスホテルに軟禁されているのかと感じた(キング、「1922」での己の罪を告白する設定にも似て) が、不可思議な事に、もう一...
そもそも「写字室」って…ググってみる *中世期、欧州で修道僧らが写本制作の為に使用していた・・とされる部屋 読み始めた際、主人公の状況に違和感がありビジネスホテルに軟禁されているのかと感じた(キング、「1922」での己の罪を告白する設定にも似て) が、不可思議な事に、もう一個ロックされる部屋がある。 カメラ、録音機がセットされ、綴じられた写真と原稿、そしてボールペン。。。話が展開する方向が見えてきた。 訪問者が現れ、詰問し、強いる度に名が連記されて行く この辺りで脳裏に、既読したオースター作品の名がゆらっと上がってきた。。なるほど!哲学的な展開とラビリンスの中を進む様な不条理感満載の物語は「作家」が持つ二律背反的懊悩を文字にしていく展開か☆ 個人的に苦手な「哲学的問答の反復」ながら、5,6冊は読んできたオースターが作り出した「作の中のミニチュアオブジェ」が動き出し、語り、煩悶しているかの状況が面白くなってきた。 そしてオースターならではの着地は鮮やかだった~ 作家が作り出しながら作家のクローンではありえない(ここではmr ブランク)そのオブジェにこの作品の振出しに戻って・・穏やかに流れる世界を切らせようと終わる。 まさに、作家の才能を持つ人にしかできない、愉悦の「極上の遊び」を感じさせる作品に仕上がっていた。 しかし、ブランクが懊悩し、煩悶する過去の己の在り様を呟きたかったのは何故に?? 難解。。。
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私にはまだ早かった、、。よくわからなかった。 ある程度まとめて読むと良かったのかも。 いつかもう一度読む。
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フィクションをめぐる実験? 物語と現実。 記憶の一貫性が生きるということ? この点については、認知症の経験のようにも読めた。 僕らがいかに文脈に頼って、物事を判断しているかを思い知る。 しかし、いかんせん、どこにも出口はない。
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はじめてのポール・オースターで、訳者あとがきを読んだら「へー」って思った。 また別作品を読んでみたい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
『ファンの人もそうでない人も、それぞれの楽しみ方で…』 ある部屋に閉じ込められた老人のもとに、過去のオースター作品に登場した人たちが入れ代わり立ち代わりやってくる。どうりで、見たことのある名前ばかりだと思った…いろんな楽しみ方のできる一冊でした!
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簡素な部屋の中で、ベッドに座り、うつむいて床を見ている老人が映し出されるところから物語は始まる。老人は何者か、いつやって来て、いつまでここにいるのか、なぜここにいるのか何一つ明らかではない。そして老人は記憶を失っている。老人の部屋に様々な人がやってくるが、老人はそれらの人に対して...
簡素な部屋の中で、ベッドに座り、うつむいて床を見ている老人が映し出されるところから物語は始まる。老人は何者か、いつやって来て、いつまでここにいるのか、なぜここにいるのか何一つ明らかではない。そして老人は記憶を失っている。老人の部屋に様々な人がやってくるが、老人はそれらの人に対して漠然とした罪悪感を感じるのみ…、という内容。 ちなみに、老人の部屋にやってくる人々は実はこれまでのポール・オースターの作品に出てきた人たち。 あらゆる人に対してなんとなくの罪悪感を感じる気持ちはよくわかる。この世って難しい、言葉もややこしいし…
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舞台は部屋の中のみ、登場人物もごくわずか。 過去の作品の登場人物が出てきてうんぬん。 Amazonの評価がオースター作品にしてはかなり低めですが、同感です。
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記憶を喪失した老人が刑務所でも病院でもない場所に軟禁されている。そして、その老人の元を、これまでのオースター作品に登場した人物たちが訪れる。この訪問者達はかつてこの老人からミッションを言い渡され、今では彼を憎悪の対象としている。さらに、訳者あとがきによると、オースターはこの老人を...
記憶を喪失した老人が刑務所でも病院でもない場所に軟禁されている。そして、その老人の元を、これまでのオースター作品に登場した人物たちが訪れる。この訪問者達はかつてこの老人からミッションを言い渡され、今では彼を憎悪の対象としている。さらに、訳者あとがきによると、オースターはこの老人を、ひとまず20年後の自分の姿として書き始めた、ということらしい。 こうして見ると、オースター自身がこれまでの総括を試みた作品のように思われるかもしれないが、さに非ず。これはオースター流のひとつの実験なのでは、とワタシには思える。 オースターの小説の特徴のひとつは、非常に内省的であることだ。この『写字室の旅』の老人も記憶は失っているものの、やはり極めて内省的で、時に激しく自分を責める。これが著者オースター自身の20年後の姿だと言うのなら、彼は自分自身をより内省的に見つめるための方法として、自身が生み出した人物たちを登場させる『写字 室の旅』という形を選んでみた、という解釈ができる。 果たして、その実験は成功したのか。ここまでオースター作品から満足を得てきたワタシだが、本作は初めて消化不良を起こした作品となった。敢えて言うならば、自身のための実験色が濃くなり過ぎて読者を置き去りにしてしまったのではないか、そんな印象を受けた。 ただ、本作は次作『闇の中の男』と強くつながっているとオースターは言っているので、本作の本当の評価は『闇の…』と合わせて行うべきなのかもしれない。
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物語の永遠のループに閉じ込められた老人ブランク。 私はこの終わり方よりは、別の二つを考えていた。 ①ブランクが読み始め、またそののち語る物語自体が、彼が薬か何かで「処置」されて忘れさせられていた、自分自身か、あるいはその周辺の実際の出来事である。 ②ブランクが読んでいる物語の...
物語の永遠のループに閉じ込められた老人ブランク。 私はこの終わり方よりは、別の二つを考えていた。 ①ブランクが読み始め、またそののち語る物語自体が、彼が薬か何かで「処置」されて忘れさせられていた、自分自身か、あるいはその周辺の実際の出来事である。 ②ブランクが読んでいる物語の作者、ファンショーという作家がブランク自身である。 いずれにしても、自らが語る物語自体に飲み込まれてしまうというようなダイナミックな展開を期待するけれど、結局彼は彼のかつての部下だかに囚われている、あるいは保護されて生きている、らしい。 また、ピーター・スティルマンは「ガラスの街」という作品にも出てきており、妙なつながりを想像してしまいもするけれど、特別何かあるというわけではないかもしれない。
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謎は謎のまま、作中作と作中世界がループする構造になっている。訳者あとがきで登場人物がオースター作品の人物であることを知るが、その事実を知らなかったまま読んだために最後まで彼らの謎が解明されることを期待してしまっていた。
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