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「最悪」の医療の歴史 の商品レビュー

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2024/02/18

流し読み。過去のトンデモ療法がひたすら列挙されるだけで、なぜそうなったのか(あるいはなぜ改善されなかったのか)にはほぼ言及がなく、題材がいいだけに浅さが惜しい。 紹介例を読んで思うに、反証可能性がないこと(たとえば、ダニエル・ベッカーは武器軟膏の効力の"科学的根拠&qu...

流し読み。過去のトンデモ療法がひたすら列挙されるだけで、なぜそうなったのか(あるいはなぜ改善されなかったのか)にはほぼ言及がなく、題材がいいだけに浅さが惜しい。 紹介例を読んで思うに、反証可能性がないこと(たとえば、ダニエル・ベッカーは武器軟膏の効力の"科学的根拠"は瀕死の男の動物霊気が凝り固まったもの(P. 72)だという…観測不能なものを持ち出されては反論のしようがない)、治験の概念がないこと(療法がランダムでAnecdotal、たまーになんとなく効いた風な例があったんでしょう)+医療界の権威主義が主な原因だったのではという気がする(この本だけでは「気がする」としか言えない)。 それと、「現代の医療も未来から見れば同じかもね」という感想がちらほらあるが、データと知見の蓄積がある現代医療は上の点で過去のものと決定的に違っているし、だからこそ冒頭のデイビッド・ウートンの「2400年の医療の歴史のうち2300年は間違っていた」という主旨のコメントがあるわけで、そこを無視した安直な感想は現代の科学者にあまりに失礼でしょう。

Posted byブクログ

2018/02/16

主に西洋の「最悪な」医療史。 瀉血・やきごて・ロボトミー…よくもまぁこれだけ色々思いつくなぁ、というのが感想だった。 だけれど、今の医療も未来から見たら、と思わなくもない。

Posted byブクログ

2017/09/08

 今でこそ西洋医学は科学的根拠「エビデンス」を元に行われるとされるが、エビデンスの歴史は決して長くない。  医学は古代ギリシアのヒポクラテスに始まったが、その後はリンカーンの頃まで、医療は人に益より害を与えるほうが多く、助けるより痛めつけるほうが多かった、と著者は言う。著者はニ...

 今でこそ西洋医学は科学的根拠「エビデンス」を元に行われるとされるが、エビデンスの歴史は決して長くない。  医学は古代ギリシアのヒポクラテスに始まったが、その後はリンカーンの頃まで、医療は人に益より害を与えるほうが多く、助けるより痛めつけるほうが多かった、と著者は言う。著者はニューヨークの弁護士であり、医師でも歴史家でもない。よって本書は歴史書でも学術書でもなく、ちょっとした雑学集のようなものかもしれない。  掲載されているエピソードは皆興味深いが、細かく出典が記載されているわけではなく、ディティールに関する信憑性はどうにもあやしい。ただ、「歴史上の医療はどれもこれも酷いものだった」ということだけは、まあ間違いないだろうと言ってよいのではなかろうか。  その酷さは大きく分ければ「思い込みによるもの」と「無知によるもの」に分類できようか。  虫歯は本当に口の中に虫がいると考えて煙でいぶしたり熱く溶けた金属を流したりするというのは思い込みによるものと言える。悪霊憑きは棒で叩けば治るとかいう類もこれに近い。  また細菌や微生物を知らなかったために、医師が手を洗わなかったり、ダニなどの微生物がかゆみの原因だということに思い至らなかったりは無知によるものである。長らく愛好された瀉血や焼灼法(焼きごてなどを押し付ける治療法)なんかも両方の合わせ技っぽいがまあ無知によるものだろう。  この辺に医師や聖職者の権威主義やら、魔女狩り信仰やらといったものが複雑に絡み合って地獄絵図の有様である。北斗の拳にアミバという医療の真似事をする人物(適当に秘孔を突いて殺してしまう)がいるが、実際の所この程度のものだったのではなかろうか。  現代においても、実際には効果がない(認められていない)のに医学っぽいふりをする「偽医学」が存在するし、そうした医療行為を自ら望んでしまう人もいる。それでも本書に記されているような過去と事情が違うのは、現代にはある程度効果が確認されている真っ当な医学というものが存在し、その一方で「最悪の医療」の系譜を継ぐような偽医学があるということである。後者しかなかった時代よりは、選べるだけまだマシということである。  本書に注文をするなら、できればそういう現代に残る偽医学との関連を示してもらえたらという所であるが、本書は19世紀頃までで終わっている。特に最後の「英雄的医療」の項については散発的にエピソードが並べられているだけで、あとがきもなく唐突に終わる。  そんなわけで読後感という意味では、前半の暴力的医療、後半の尻切れトンボと二重によくないのだが、それでも現代の医療に感謝をしたくなるきっかけにはなりそうな気がする。  いや、「気がする」ではなく、きちんとエビデンスに基づく医療を受けよう。

Posted byブクログ

2015/07/02

子供が保育園に通うようになってからは、ヘルパンギーナ、アデノウイルス感染症(プール熱)、インフルエンザなどなど、一週間休まなければいけない病気をもらってくるようになった。 その度に近所の小児科に行き、薬をもらい、親も親で内科にかかる回数が多くなった。 しかし、適切な治療のおかげで...

子供が保育園に通うようになってからは、ヘルパンギーナ、アデノウイルス感染症(プール熱)、インフルエンザなどなど、一週間休まなければいけない病気をもらってくるようになった。 その度に近所の小児科に行き、薬をもらい、親も親で内科にかかる回数が多くなった。 しかし、適切な治療のおかげで、悪化せず、どれも軽く済んでいる。 だが。 そんな恵まれた環境はつい最近のものだ。 歴史を振り返れば、恐怖の医療がそこにある。 焼きごてを押し付けることはヘルニアやてんかんに効くと思われていた。 水銀を使うことで梅毒は治ると思われていた。 解剖は紳士のためのショーで、麻酔もかけず、生きたままかわいそうな患者を切り刻む。 一方、恋の病には、患者が男性の場合、女性に患者が恋い焦がれる麗しの君の悪口を言わせることで治療しようとした。 これはあながち間違いではないかもしれないが、もしかしたら、より一層恋の病が悪化してしまうかもしれない。 あの子をわかってあげられるのは俺だけだ、なんてね。 20世紀に入っても、恐怖の医療は続く。 その代表としてあげられているのが「ロボトミー手術」。 眼窩から脳に棒を差し込み、精神を落ち着かせるというもの。 今でこそ、そんなばかな、と思えるが、それが皆に歓迎されていた時代は確かにあったのだ。 本書は医療の歴史、それぞれの項目を端的に記述している。 だから、一つの技術を通しで見るのは難しいが、ある時代に最高だとされていた医療がそれほどあったのかを知るのには適している。 それにしても恐ろしい。 しかし、多くの医師は本気で患者を治したいと思っていただろうし、それが最善だと考えていたはずだ。 今も医療に従事する人々を私は尊敬するし信頼もする。 その歩んできた道は間違ってきたこともあるだろう。 そして今も間違っていることがあるかもしれない。 だからあえて言いたい。 最高の医療というものはない、そのためにあなたたちがいるのだと。

Posted byブクログ

2015/02/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

医療が約2000年もの間、いかに人に苦痛を与えてきたかをただひたすら綴った本書。医療の過ちの歴史をあつかったものかと思い興味をもちましたが、どうもネタ本みたい。 占星術と医術を兼ねていた中世の医療や患者を傷つけた道具にふりかけると傷を癒す効果がある"共感の粉"。興味を掻き立てられる話題でもっと知りたいと思うのですが、ざっとふれただけで次の話題へと移ってしまい、かゆいところに手が伸びません。参考文献一覧も記載されておらず、不親切。 酒の席での話題づくりくらいのつもりで軽く読むならいいですが、体系的な知識を身に着けたい方にはおススメできません^^;

Posted byブクログ