本の神話学 の商品レビュー
https://twitter.com/kotonisha/status/1184251405520928768 「『本の神話学』の中公文庫版(1977)と岩波現代文庫版(2014)。単なる復刊と思うなかれ。2014年版は精緻に校閲されています。特に引用文の校正、抜けていた引用出...
https://twitter.com/kotonisha/status/1184251405520928768 「『本の神話学』の中公文庫版(1977)と岩波現代文庫版(2014)。単なる復刊と思うなかれ。2014年版は精緻に校閲されています。特に引用文の校正、抜けていた引用出典の追記等。編集・校閲サイドの情熱を感じる、40年近い年月を経た類稀なる復刊の事例です。良書はこうして生き残ります。」 中公文庫増補新版は岩波現代文庫版が元か?山口昌男は細かいところが雑なのは割と知られていたと思う。
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山口昌男が逝って二年が経つが、本書とともに『 歴史・祝祭・神話 (岩波現代文庫) 』という山口の初期の傑作が昨年再び文庫化された。と言ってもこの二著が最初に世に出た時、小学生の評者が山口昌男を知るはずもない。大学に入って多少本を読み出した頃にはニューアカデミズムが全盛で、ブームに...
山口昌男が逝って二年が経つが、本書とともに『 歴史・祝祭・神話 (岩波現代文庫) 』という山口の初期の傑作が昨年再び文庫化された。と言ってもこの二著が最初に世に出た時、小学生の評者が山口昌男を知るはずもない。大学に入って多少本を読み出した頃にはニューアカデミズムが全盛で、ブームに先鞭をつけた山口は既に過去の人となっていた。評者も一世を風靡した『構造と力』を鵜呑みにして「中心と周縁」なんてもう古い、などと読みもせずに山口理論を分かったつもりになっていた。それから四半世紀、遅まきながら本書を読み、その凄さを思い知った。 本書で山口は評者などが一生読むこともないであろうマニアックな本について縦横無尽に語りまくる。欧米の流行の表層をなぞる我国の学界や読書界に一石を投じたいという気負いもあっただろうが、とても論壇デビューしたばかりの若手とは思えない挑発的な語り口と、それを裏付ける博覧強記ぶりに恐れ入る。しかも目茶苦茶面白い。さすが「知のトリックスター」と言われただけのことはある。個々の思想を抽象的に扱うのではなく、それらを生んだ「歴史的環境の全コンテクスト」の中において理解する、まさに「思想の社会史」の名に値する名著だ。 ロシアフォルマリズムの構造分析、パノフスキーの図像を単語とする空間芸術の意味論、モーツァルトの遊戯的精神に満ちた祝祭空間、芸能の世界が喚起する始原的想像力など、本書で論じられる文学、美術、音楽、演劇に通分野的に共通するのは、既成のイメージとの馴れ合いに対する嫌悪、それゆえに内容を捨象した「かたち」「身振り」への着目、そしてそれらの意外な組み合わせがもたらす神話的世界との共振といったモチーフだが、世界を事物の「かたち」相互の関係構造として捉える構造主義的アプローチと言えるだろう。 興味深いのはそれが「ユダヤ的」知性の特質である境界性ないし越境性と共鳴し、亡命知識人の多いワイマール文化がその培養器となり得たということ、と同時に、カバラの伝統である秘教的な宇宙観に思想的源泉を持つということだ。後者は日常的世界の彼方に、隠された根源的な意味を見出だそうとする精神的態度であり、世界を解読されるべき一つの書物とみる。新プラトン主義がルネサンスに大きな影響を与えたように、自明的世界のベールを剥ぎ取り、その謎の解明へと向かう飽くなき欲望において、神秘主義と科学的精神は地続きなのである。
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最後の補遺まで読んで、一書である。 広がりはあるが、深みがない。と読中は思った。博覧強記、ふん。本が出てこない章もあるからだ。 しかし、最後まで読んで、過去の刺激が舞い戻ってきた。言葉が生まれる始原に立ち会った思いだ。
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このボリュームの本を読むのにこれだけ時間がかかったのは久し振り… と言っても、真面目に引用先を調べながら読んだ(と言い切れないが、それを試みるだけの気持ちが持続した)のは一章だけで、後は字面をひたすら眺めただけ… 補遺でボルヘスやアーレントの名前が出てきて、また少し興味を持って読...
このボリュームの本を読むのにこれだけ時間がかかったのは久し振り… と言っても、真面目に引用先を調べながら読んだ(と言い切れないが、それを試みるだけの気持ちが持続した)のは一章だけで、後は字面をひたすら眺めただけ… 補遺でボルヘスやアーレントの名前が出てきて、また少し興味を持って読めたけど。これが入門書とは… 知の探求のとば口に立つのにすら、まだまだお勉強が必要と痛感しました。
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二十世紀後半の知的起源(思想史としての学問史;ピーター・ゲイの『ワイマール文化』;精神史の中のワールブルク文庫) ユダヤ人の知的熱情(ユダヤ人の知的環境;構造とかたち;知の存在形式としての亡命;受難と知的熱情) モーツァルトと「第三世界」(モーツァルトの世紀;二十世紀オペラのアル...
二十世紀後半の知的起源(思想史としての学問史;ピーター・ゲイの『ワイマール文化』;精神史の中のワールブルク文庫) ユダヤ人の知的熱情(ユダヤ人の知的環境;構造とかたち;知の存在形式としての亡命;受難と知的熱情) モーツァルトと「第三世界」(モーツァルトの世紀;二十世紀オペラのアルケオロジー;音楽的思考;現象学的モーツァルトと「第三世界」) 「社会科学」としての芸能(政治とその分身;政治の論理と芸能の論理;シェイクスピア劇における芸能の論理;見世物小屋としての世界) もう一つのルネサンス(蒐集家の使命;世界の本とルネサンス;ルネサンスと本の世界;カバラの伝統―ゲーテ、フロイト、ボルヘス;知の越境者) 補遺 物語作者たち 著者:山口昌男(1931-2013、北海道美幌町、文化人類学者) 解説:今福龍太(1955-、東京都、文化人類学者)
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チャップリンはユダヤ人とも言われていたが、結局は本人でもはっきりしていなかったそうだ。 意識的にせよフロイトはユダヤ的神秘主義を世俗化したのである。 カバラは世界を知ることを目指す。世界の期限、世界の不思議、世界の統治、世界の終りについて知ろうとする。
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知の大海に投げ出されたように、右往左往しながら読み進んだ。 知の断片に遭遇しながら、書かれたものはすべて神話が生みの親であるらしいこと、ユダヤが生み出したものは、ルネサンス期にも、20世紀に至ってもなお、それを根源としていること。 山口ワールドは余程「知」に傾倒していなければおも...
知の大海に投げ出されたように、右往左往しながら読み進んだ。 知の断片に遭遇しながら、書かれたものはすべて神話が生みの親であるらしいこと、ユダヤが生み出したものは、ルネサンス期にも、20世紀に至ってもなお、それを根源としていること。 山口ワールドは余程「知」に傾倒していなければおもしろいとは思えないでしょう。
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