密室・殺人 の商品レビュー
細部に至るまで計算され尽くした作品。クトゥルフ神話まで引き出す作者のこだわりと精緻な構成が見事。小林泰三ファンならお馴染みのキャラが共通して関係してくるのも嬉しい。事件は密室殺人ならぬ「密室・殺人」。窓もドアも施錠された部屋と、墜落死体という分断された謎に焦点を当て、その解決に至...
細部に至るまで計算され尽くした作品。クトゥルフ神話まで引き出す作者のこだわりと精緻な構成が見事。小林泰三ファンならお馴染みのキャラが共通して関係してくるのも嬉しい。事件は密室殺人ならぬ「密室・殺人」。窓もドアも施錠された部屋と、墜落死体という分断された謎に焦点を当て、その解決に至る過程は作者ならではのユーモアに溢れ、解決そのものは地味ながらも良くできている。そしてその先に潜む衝撃の真相はこの物語の全てを書き換えてしまう。形容し難い美しく切なく不安定な余韻はジャンルそのものが「小林泰三」であると思わせる。
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傍若無人な探偵・四里川陣に命じられて、助手の四ッ谷礼子は雪山に建つホテルへ殺人事件の調査に赴く。彼女を待ち受けていたのは、密室から消えた死体の謎だった。カードキーでロックされ、しかも衆人環視下に置かれた密室状況はなぜつくられたのか? 本作家さんを友人から薦められ、その中にあった...
傍若無人な探偵・四里川陣に命じられて、助手の四ッ谷礼子は雪山に建つホテルへ殺人事件の調査に赴く。彼女を待ち受けていたのは、密室から消えた死体の謎だった。カードキーでロックされ、しかも衆人環視下に置かれた密室状況はなぜつくられたのか? 本作家さんを友人から薦められ、その中にあった興味を覚えたタイトルが本作品でした。解説にはホラー作家として評価された云々とありましたが、巻頭には”本格ミステリ”とあるし、論理を飛躍したミステリではないにしても、一筋縄ではいかないだろうと想像していました。 読んでみると、とても丁寧に書かれている印象を受けます。連続殺人というわけではなく、関係者の話を伺いつつ一つの事件を検証していくので、話の展開にサスペンスを求める方や勢い込んで話が展開していく作品を期待している方にすれば、少々物足りないかもしれません。 ただ、じっくりパズルを解いて行くような、地味な論理の積み重ねが好きな方には楽しく読める作品ではないでしょうか。とは言え、本作品の妙味は本格ミステリとは少しズレたところにあります。 お話を読み進めていくと、所々何となく気になる記述が出てきます。ホラー作家さんということですし、あまり事件とは関係ないのだろうなあと思って読み進めていった訳ですが…最後の最後でそういうことか、と。 解説でも「未読の方は…」とありますし、伏せておきますが、探偵・四里川陣が推理を披露する場面でこんなに混乱したのは久しぶりでした。推理を読んでいる際、「いやいや、それじゃアレは解決できてないでしょう?」と疑問を残しつつ、そのまま幕は降りてしまうのです。 勘のいい方は分かるかもしれません。 私は解説を読んで得心しました。 ミステリは、犯人の視点を追いながら読む二回目も面白いのですけど、本作は違う意味で二回目が面白い作品です。
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最近は変り種のミステリーが多かったので今回のは正統派ミステリー・・・と思いきや最後に思わぬトリックがかくされていました。この前読んだ「アリス殺し」の方が面白かった。でももう少し他の作品も読んでみてもいいかな。
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『大きな森の小さな密室』作者の本を書店で売ってるのを見つけて、内容(登場人物)に気付かず買ったんだけど、あの作品に出てる人もちらほら。 元はホラー作家さん?なんですね。ある意味ホラー?オカルト?的話っちゃそうなんだけど、それだけじゃない。 密室殺人ではなく 密室・殺人というタイト...
『大きな森の小さな密室』作者の本を書店で売ってるのを見つけて、内容(登場人物)に気付かず買ったんだけど、あの作品に出てる人もちらほら。 元はホラー作家さん?なんですね。ある意味ホラー?オカルト?的話っちゃそうなんだけど、それだけじゃない。 密室殺人ではなく 密室・殺人というタイトルが既にツボでしたが最後の方のオチも私は気に入りました。 まだ四里川探偵&四ツ谷くんのシリーズ的なのって無いんでしたっけ?もっと読んでみたいんだけどなー…
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とある別荘で起きた殺人事件。 被害者は鍵のかかった部屋のベランダから10mほど下の池へ身を投げて死ぬ。 落ちた瞬間は見ていないが三人の人物が被害者が部屋に入るところ、そこから誰も出入りしていないこと、悲鳴が聞こえてから被害者の二つ隣の部屋のベランダから下に倒れている被害者を確認し...
とある別荘で起きた殺人事件。 被害者は鍵のかかった部屋のベランダから10mほど下の池へ身を投げて死ぬ。 落ちた瞬間は見ていないが三人の人物が被害者が部屋に入るところ、そこから誰も出入りしていないこと、悲鳴が聞こえてから被害者の二つ隣の部屋のベランダから下に倒れている被害者を確認した。 SFものやホラーものしか読んでこなかったがこの作品はロジックで積み立てられた純粋な推理小説である。SFな要素は主人公側にある。そしてこの要素は好きな人は好きだろうけど私は不要だと思う。物語に関わらなさすぎるしぼかされてもいる。 それと登場人物の女性が気持ち悪いくらい現実離れした会話をするため(他の登場人物は現実にいそうな人物像で描かれてるから際立つ)完全に満足はしにくい。だが事件の真相や探偵の導き方だけでも楽しめる作品なのは確かだ。
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この満載の遊び心がたまらない。 密室の中にいたはずの被害者の死体が密室の外にあるという謎。奇妙な探偵とその助手の存在がそもそも謎。地域に伝わるおどろおどろしい伝説。一癖も二癖もある登場人物たち。 ホラー要素も織り込みつつ二重三重の謎をいったいどう着地させるのかと楽しみに読めた。一...
この満載の遊び心がたまらない。 密室の中にいたはずの被害者の死体が密室の外にあるという謎。奇妙な探偵とその助手の存在がそもそも謎。地域に伝わるおどろおどろしい伝説。一癖も二癖もある登場人物たち。 ホラー要素も織り込みつつ二重三重の謎をいったいどう着地させるのかと楽しみに読めた。一応の論理的解決はあったけれど、実はもっとホラー方面に振れることも期待していて、解釈次第ではそう読めないこともないかもなと考えたりしている。
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途中から違和感に気付いたが何なのかわからなかった。読み終わって、あぁそういうことか。と思うも、何かもやもや。以前読んだ作品の登場人物が出てきたので、この探偵“二人“もまた登場して欲しい。そして何故そうなったのか知りたい。
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探偵助手・四ツ谷礼子は探偵・四里川陣に命じられ殺人事件の調査に赴くことになる。その事件は密室にいたはずの被害者が外で転落死していた、という不可解なものであった。 自分の中で小林泰三さんはヘンな小説を書く人、というイメージが出来上がっているのですが(笑)、今作は礼子が事件関係...
探偵助手・四ツ谷礼子は探偵・四里川陣に命じられ殺人事件の調査に赴くことになる。その事件は密室にいたはずの被害者が外で転落死していた、という不可解なものであった。 自分の中で小林泰三さんはヘンな小説を書く人、というイメージが出来上がっているのですが(笑)、今作は礼子が事件関係者から話を聞く様子がとても丁寧に書かれていて 「あれ? 普通の本格ミステリだ」とすこし意外な印象すら感じてしまいました(笑)。 事件の調査をする礼子も関西弁やドタバタっぷり、四里川に振り回される様子も読んでいて楽しく、 「あれ? キャラもそこまでぶっとんでないのにいいキャラだな」と思ったり(普段小林さんにどんなイメージを持ってるんだ、ということになりますが…) 事件の解決も非常に本格っぽい…、かと思いきや意外なところではしごを外されます(苦笑)。個人的には納得しきれないというところもあるのですが。 やっぱり小林作品は一味違うな、と改めて思いました。
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どんでん返しの傑作、と聞いていて、(まあネットの情報だけど)ずっと探していたのだが、絶版になっていたらしく、なかなか見つからず、今回再販ということでようやく手に入った。 内容はそれほど引き込まれるものではなかった。どんでん返しがあることは当然知っていたので、興味はどんな叙述トリックだろう?の一点に。 その体で読んでいると、明らかに怪しい所が・・・ ただ、そうなると警部の存在が・・・ 最後は、ああ、なるほどね、と。 結構楽しんで読めた。 以前読んだ「大きな森の小さな密室」は、この作品の登場人物が多く登場する、スピンオフ的な作品だったのね。読む順番が逆だったら、楽しみ方も違ったのに、残念。
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傍若無人な探偵・四里川陣に命じられ、助手の四ッ川礼子は殺人事件の調査に行く。密室から消えた死体の謎を解く本格ミステリ。 と言いつつ、ホラー要素もある作品。 最後まで四里川の正体がいまいち分かってなかったのですが、解説を読んで納得。
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