天切り松 闇がたり(第5巻) の商品レビュー
粋! 六夜にわたって語られる天切り松の闇語り。 ライムライト、との副題にあるように最終夜は喜劇王チャップリンの登場だ。 それにしても、ついついこちらの言葉までまっつぐな江戸っ子の言葉になっちまうとおくんねい! したっけ、こちとら生粋の江戸っ子じゃあねえが。 さて、本題。 『月...
粋! 六夜にわたって語られる天切り松の闇語り。 ライムライト、との副題にあるように最終夜は喜劇王チャップリンの登場だ。 それにしても、ついついこちらの言葉までまっつぐな江戸っ子の言葉になっちまうとおくんねい! したっけ、こちとら生粋の江戸っ子じゃあねえが。 さて、本題。 『月光値千金』はおこん姐さんの物語。 乗ってしまえば当代随一の玉の輿。 惚れられた強みで乗っかってしまえば良い物を..... しかしその高楊枝こそおこん姐さんの魅力なのだ。 そして、その話を聞いている女性の心の涙が心にしみる。 『箱師勘兵衛』 寅兄ィが律儀におこなっていること。香奠届け。 そのなかの一人の残された嫁の面倒を見る、という話だ。 これも人情いっぱいでつい惚れ込んでしまいそうになる。 この嫁が一緒に暮らしているというのが悪い男で、簡単に言えばろくでなし。 これは今も昔も変わらないねえ、と(若造が)茶々を入れたくなる。 その嫁と子供を助け出し、有り金全部押し付けていってしまうたぁ、仁も義も溢れてなかせるじゃあねえか! そして自分たちはすかんぴん。 確かに悪党だろうが、その鮮やかなやり口に、大いに声援を送りたくなる。 他の物語にもそれぞれ盗人としての矜持があっての行動がある。 粋、としか言いようが無いほどの鮮やかで、かっこいい彼ら。 一人ひとりに語りかけるような物語は現代人が忘れてしまった「心意気」を思い出させる。 悪党だからこそわかる「正義」。 それに私たちはある種の美を見出すのだ。
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天切り松闇がたりシリーズ、5作目。 前作の刊行から少し時間が空いているが、面白さは変わらず。目細の安吉親分を始め、子分たちもそれぞれ親分に引けを取らない「粋」を見せてくれるし、最後にはチャップリンまで共演してくれちゃって、盛り沢山。号泣モノの話はなかったけれど、さすがに黄不動の...
天切り松闇がたりシリーズ、5作目。 前作の刊行から少し時間が空いているが、面白さは変わらず。目細の安吉親分を始め、子分たちもそれぞれ親分に引けを取らない「粋」を見せてくれるし、最後にはチャップリンまで共演してくれちゃって、盛り沢山。号泣モノの話はなかったけれど、さすがに黄不動の栄治の親父さんの話にはウルウル(涙)。スカッとしたり、ウルッときたり、読んだ後すっきりできる良作です。シリーズ続編、期待してます。
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久しぶりすぎる天切り松闇がたり。 楽しめる。 2014/09/16朝の通勤電車から読み始め 2014/05に図書館に予約して,09/15に漸く借り出し。
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せつなく胸がつまる。 昭和時代に始まったシリーズが、まだ書き継がれていたのか? 平成の時代になっても大正ロマンは懐かしいと感じるものなのか。 松蔵は今生きていたら、100歳以上になっている。色あせてしまった感じもする。
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新刊発見したときの衝撃といったら。 過呼吸になるかと思った。 文体のリズムの良さは浅田先生と京極某が自分の中のツートップなのだけど、浅田先生はさすがに一切無駄の無い洗練された文章で、最大限に情景も心情も起伏も描ききる。京極某は小難しい文章も何故かスルスル入ってくる謎のリズム。 ...
新刊発見したときの衝撃といったら。 過呼吸になるかと思った。 文体のリズムの良さは浅田先生と京極某が自分の中のツートップなのだけど、浅田先生はさすがに一切無駄の無い洗練された文章で、最大限に情景も心情も起伏も描ききる。京極某は小難しい文章も何故かスルスル入ってくる謎のリズム。 特に時代物の日本独特の口語のリズムは、日本に生まれたからには自然に読めるようでありたいし、読めることが嬉しい。 天切り松シリーズの時代設定は、ちょうど「歴史」と「現代」の狭間なところが面白いし、それを両方「歴史」と感じない所で生きている自分がまた幸せなことだなぁとしみじみと。同時に、無くなりつつある「人情と気概」の精神を大切にしたいし、無くなりつつあるからこそあまりに眩しい。 ここ2冊(くらいだったか?)は初期から時代が下って、完全に「後日談」として語られているので、より一層現代に近づいて、フィクションとはいえこういった精神がついこの間までしっかりと息づいていたことが実感できるのが誇りに思えるような、たったこれだけの間に絶滅しつつあるのが情けないような(苦笑)。反対に、酷く理不尽で残酷な世の中がこの間まで実際に存在していて、今の世の中の何と安穏で平和であるか。 世の中が平和で豊かになればなるほど、人が堕落してしまうようではあまりに悲しい。 とはいえ平和な現代で草食的になることは悪いことではないと思し、一概にべらんめえともいかず、時代に合わせて形は変わっていくものだと思う。けれど、この物語をただ眩しくて憧れるヒロイックな物としてではなく、確かに自分達と一続きになっている所から「粋」な日本人の精神を受け継いでいるんだと自戒したい。 それにしたって相変わらず目細の一家は皆格好良すぎるけどね!
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
どうやらこれでシリーズ打ち止めっぽいなぁ。なんか、出会いで感じた胸のすく名調子が、大団円になるにつれ、胸を刺すゆったりした情の話に変わってった感。面白かったしこのシリーズ大好きだけど、通してみて、いっちゃんの花は第1巻に勝るものはない、個人的には、派手に粋にすぱん!いやさお見事、目細一家!と緞帳を降ろしてほしかったかな。 男意気初春義理事(銀次葬儀)/月光値千金(振袖おこんと安吉の出会い、おこんの想い)/箱師勘兵衛(説教寅×伝説の箱師)/薔薇窓(懺悔と自首 安吉、虎弥、松)/琥珀色の涙(根岸の棟梁の死 栄治との親子愛)/ライムライト(締めに犬養毅&喜劇王登場、5.15事件は或は。。。) 根岸の棟梁を見送る栄治の最後の啖呵の場面が、とても視覚的に印象に残った。さいごにさあっと黄色が射して空気の色が絢爛になるような、こういうのを文章で描けるのが浅田マジックだよなあ。 絢爛豪華な花吹雪のなか粋で鯔背な義賊の話っていうのに惚れ込んだのに、いつのまにか、人の弱さや世の中の不条理や、理不尽なんかを考えさせられてたり。苦労の上にしか花は咲かないし、必ず咲くもんでもない。でも自分のなかに一本筋は通して生きていかないとなあ。 なんて、しんみりと読み終えちゃった。 読むならイッキに5冊続けて味わってほしい、歴史好きにもオススメな浅田ファンタジーの舞台でござんした。 ごめんなすって。金輪際とはいわず、いずれまた読み返したくなる魅力ある連作でした!
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懐かしのシリーズで、もう終わってると思ってました。「プリズンホテル」とこの「闇がたり」シリーズで浅田次郎にはまったんですよね~ 短編6話、明治末期から大正初期の雰囲気が魅力ですが、4巻までで出し尽くした感もあり、最初の5話には物足りなさも覚えました。6話の表題作ライムライトで解消...
懐かしのシリーズで、もう終わってると思ってました。「プリズンホテル」とこの「闇がたり」シリーズで浅田次郎にはまったんですよね~ 短編6話、明治末期から大正初期の雰囲気が魅力ですが、4巻までで出し尽くした感もあり、最初の5話には物足りなさも覚えました。6話の表題作ライムライトで解消。歴史的人物と絡ませるのが面白い。まだまだシリーズは続くのかな?(^.^)
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かっこいい。そして泣ける。 「ライムライト」の書生常とチャップリン。お国は違えど、芸に対する心意気は同じだと感動した。 「月光価千金」のおこんも、無くしてはいけない芸の道、命と引き換えにしてでも欲しいと思ったものならば、決して手放してはいけない。それは簡単なことではないかもしれな...
かっこいい。そして泣ける。 「ライムライト」の書生常とチャップリン。お国は違えど、芸に対する心意気は同じだと感動した。 「月光価千金」のおこんも、無くしてはいけない芸の道、命と引き換えにしてでも欲しいと思ったものならば、決して手放してはいけない。それは簡単なことではないかもしれないけれど、おこんはそれを立派にやり遂げたのだ。
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一巻の頃の若い勢いとは違った、年を経た哀愁や苦さを感じても、カッコつけるかっこよさが素敵です。 http://books117117.blog110.fc2.com/blog-entry-3676.html
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映画を映画館に観に行く時代を思い出させる小説という表現が、この作品には一番かも… 何年かに一度の楽しみをワクワクしながら待っている。 エンターテイメントってこういうものだと思う。 男意気初春義理事 目細の安 月光価千金 振袖おこん 箱師勘兵衞 説教寅 薔薇窓目細の安 琥珀色の涙...
映画を映画館に観に行く時代を思い出させる小説という表現が、この作品には一番かも… 何年かに一度の楽しみをワクワクしながら待っている。 エンターテイメントってこういうものだと思う。 男意気初春義理事 目細の安 月光価千金 振袖おこん 箱師勘兵衞 説教寅 薔薇窓目細の安 琥珀色の涙 黄不動の栄治 ライムライト 書生常
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