リテラリーゴシック・イン・ジャパン の商品レビュー
ゴシック小説とは、18世紀後半から19世紀初頭にかけて英国で流行した、中世の古城や寺院が舞台となった神秘的で幻想的な物語のことなんだそうですが、そもそもゴシックという言葉自体、建築から音楽や文学、ファッションに至るまで、いろんな分野で多用されているため、その定義は曖昧で、比較的自...
ゴシック小説とは、18世紀後半から19世紀初頭にかけて英国で流行した、中世の古城や寺院が舞台となった神秘的で幻想的な物語のことなんだそうですが、そもそもゴシックという言葉自体、建築から音楽や文学、ファッションに至るまで、いろんな分野で多用されているため、その定義は曖昧で、比較的自由な解釈が許されているようです。で、本書は北原白秋や宮沢賢治、三島由紀夫に古井由吉などの大御所から、現在第一線で活躍中の作家まで、ジャンルも作風も異なる、日本の39名の作家とその作品を紹介したアンソロジーです。残酷さやおぞましさの中に、偏愛や美が垣間見られる作品もあれば、中にはただただ気持ち悪いなぁと、眉をしかめてしまうものもあります。考えてみれば、本書には掲載されていませんが、川端康成や谷崎潤一郎にも、ゴシック的な作品はありますネ。人間の心の奥底には、このようにダークなものを好む傾向が秘められているということなのでしょうか・・・。
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こういうアンソロジー、待っていました! 編者:高原英理、カバーデザイン:柳川貴代、表紙の人形:中川多理と、表紙だけでもうお腹いっぱいになりかけて、いやいや本番はこれから!とゆっくりと目次を見たら、「血と薔薇」時代・幻想文学領土中心に好きな作家or気になっている作家のオンパレード...
こういうアンソロジー、待っていました! 編者:高原英理、カバーデザイン:柳川貴代、表紙の人形:中川多理と、表紙だけでもうお腹いっぱいになりかけて、いやいや本番はこれから!とゆっくりと目次を見たら、「血と薔薇」時代・幻想文学領土中心に好きな作家or気になっている作家のオンパレード!私が買わずして誰が買うよ!?という普段の冷静さを失った頭で即レジへ行きました。 捜しているけれども書店に見当たらない葛原妙子、赤江瀑、久世光彦が読めて非常に嬉しい。今すぐamazonさんに頼みたい。塚本邦雄はすぐに詩集を買いました。世界に浸りながら読んでおります。 「人間の持つ暗黒面への興味」、そして「不穏」。 ブクログには折角タグ機能があるので、「自分のリテラリーゴシック」を選んでみるのも面白いでしょう。
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日本のゴシック文学(詩や短歌含む)を黎明期(北原白秋、宮沢賢治、泉鏡花)から現在(乙一、伊藤計画とか)まで、時代ごとに編まれたアンソロジー。 高原英理さんの名とこの表紙に惹かれて手を伸ばし、目次1頁目の「毒もみのすきな署長さん」と目が合い即購入。 タイトルと作者名見ただけでも興...
日本のゴシック文学(詩や短歌含む)を黎明期(北原白秋、宮沢賢治、泉鏡花)から現在(乙一、伊藤計画とか)まで、時代ごとに編まれたアンソロジー。 高原英理さんの名とこの表紙に惹かれて手を伸ばし、目次1頁目の「毒もみのすきな署長さん」と目が合い即購入。 タイトルと作者名見ただけでも興奮してくるラインナップなのです。 ゴシックとは「残酷」であるとか「崇高」なものへのこだわりとかそういう部分なんですが、中でも「残酷」の開かれ加減というのは私の中では非常に重要で、スプラッターな感じの全部見せ感は絶対にいけないのです。「残酷」に惹かれる心の様態や「崇高」にたいする偏執的な様式美がディテールにあったりとか、体の一部への異常なまでのこだわりであったりとか、つまり「そのもの」ではなく「周辺」の方向性のことなのです。 そういう私の拘りから見ると、このアンソロジーのラインナップは素晴らしいです。 ゴシック小説ってどんなの?と思ったら宮沢賢治の「毒もみのすきな署長さん」、三島由紀夫の「月澹荘綺譚」、吉田知子の「大広間」、乙一の「GOTH」を読めば大体つかめると思います。 私がこのアンソロジーの中で特に気に入ったのは、 「月澹荘綺譚/三島由紀夫」「醜魔たち/倉橋由美子」「第九の欠落を含む十の詩編/高橋睦郎」「紫色の丘/竹内健」「ジャングリン・パパの愛撫の手/桜庭一樹」です。 ちなみに金井美恵子の「兎」は脳内再生可能なぐらい読み返している。「森のメリュジーヌ」もいいけどやっぱり「兎」が一番好きかも。
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日本の、所謂『ゴシック小説』を集めたアンソロジー。『黎明』から始まり、『戦前ミステリの達成』『「血と薔薇」の時代』……と、基本的には年代を追う構成になっている。 こういったアンソロジーではお馴染みの泉鏡花、江戸川乱歩、横溝正史以外に、詩、短歌、俳句が収録されているのは珍しい。残念...
日本の、所謂『ゴシック小説』を集めたアンソロジー。『黎明』から始まり、『戦前ミステリの達成』『「血と薔薇」の時代』……と、基本的には年代を追う構成になっている。 こういったアンソロジーではお馴染みの泉鏡花、江戸川乱歩、横溝正史以外に、詩、短歌、俳句が収録されているのは珍しい。残念ながら明るくないので、普段はどんな作風なのかは解らないのだが。 伊藤計劃と金原ひとみを『ゴシック』と考えたことは無かったので、その点は新鮮だった。尤もこの本で定義されている『ゴシック』はかなり幅広いようではあるが。 さて、読んだことがない作家を知ることが出来るのもアンソロジーを読む楽しみのひとつだが、その条件で絞ると吉田知子『大広間』が一番印象的だった。木下古栗は先日読んだ『群像』にも掲載されていたのだが、非常に濃厚ではいテンションな文体が癖になる。
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