聖書を語る の商品レビュー
久しぶりの佐藤本。 中村うさぎさんとの掛け合いは面白い。所々に冴えたフレーズはあった。 博覧強記の佐藤さん。相変わらず舌を巻く博識。
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佐藤優と中村うさぎ。共にキリスト教徒の二人が火花を散らす異色対談です。クロノスとカイロス、「新世紀エヴァンゲリオン」の最終結論、宗教に何が出来るのか…。などのテーマを縦横無尽に語りつくします。 中村うさぎさんと佐藤優さんは文学部と神学部で学部こそ違えど同じ同志社大学の先輩後輩の...
佐藤優と中村うさぎ。共にキリスト教徒の二人が火花を散らす異色対談です。クロノスとカイロス、「新世紀エヴァンゲリオン」の最終結論、宗教に何が出来るのか…。などのテーマを縦横無尽に語りつくします。 中村うさぎさんと佐藤優さんは文学部と神学部で学部こそ違えど同じ同志社大学の先輩後輩の仲だということは知っていました。しかし、中村うさぎさんのほうが先輩で、佐藤優さんのほうが後輩だということを僕はこの本を読むまで知りませんでした。この本は宗派こそ違えど、同じキリスト教を信じる二人が、時間の概念であるクロノスとカイロスにはじまって、キリスト教は元本保証型ファンドであるとか、「新世紀エヴァンゲリオン」の最終結論について。『1Q84』は男のハーレクイン、日本は近代以前かポスト近代か、そして、宗教に何が出来るのか…。というさまざまなテーマに基づいて、縦横無尽に語りつくす対談本です。 佐藤優さんの古今東西の知識を駆使した語り口と、中村うさぎさんの体を張って獲得した「知恵」があいまって、ものすごく刺激に満ちた物となっております。面白いなと思ったのが「旧世紀版」の「新世紀エヴァンゲリオン」のラストの解釈。佐藤優さんは「モナド」という言葉を使って説明されていましたが、それがすごく印象に残っています。 次に、中村うさぎさんが村上春樹の名作「1Q84」について、ヒロインである青豆の行動が終始一貫していない、ということを語り倒す場面があって、僕が今まで考えたことのない読み方で、彼女ならではの読みの鋭さに舌を巻いてしまったことを思い出します。 そして、最後のほうに『「地震と原発」を読む。―日本人を繋ぐものは?』という箇所で出てくる「ニガヨモギ」と「メメント・モリ」という箇所で 「お笑い番組がはやるのは、実は死を忘れようとしていることの現われだということですね」 という佐藤優さんに、 「(中略)目の前にドーンと真っ黒い「死」が立ち塞がったのよ。それでも目をそむけて続けている人はいるけどね」 と重ねていたことが強くこころに残っています。すごく異色といえば異色の対談本なんですけれど、読んでいてすごく面白かったです。
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