1,800円以上の注文で送料無料

一〇一年目の孤独 の商品レビュー

3.9

11件のお客様レビュー

  1. 5つ

    1

  2. 4つ

    7

  3. 3つ

    2

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2018/02/26

静かで優しい論調だけど,その中にとても強い思いが込められている。自由を求める旅。世界には希望にあふれた場所があることを教えてくれた。

Posted byブクログ

2014/08/07

弱者や弱さへの視点、弱者や弱さからの視点、優しさとゆったりとした時間をもって見つめる筆者のアプローチは心穏やかな世界を感じさせてはくれる。 しかし、筆者のルポに感心するだけではなく、実際に自分がどう動き感じ受け止めるかが肝心だと突きつけられているのではなかろうか。

Posted byブクログ

2014/07/07

小説家が我が子の脳性麻痺に出合うことで始まった 旅の出合いをドキュメントした本である どんな場所を選んだかというと ダウン症の人達の絵画教室 身体障害者が集まって立ち上げた劇団「態変」 ダッチワイフのオリエント工業土屋日出夫 非電化工房を立ち上げるに至った発明家藤村靖之 南アル...

小説家が我が子の脳性麻痺に出合うことで始まった 旅の出合いをドキュメントした本である どんな場所を選んだかというと ダウン症の人達の絵画教室 身体障害者が集まって立ち上げた劇団「態変」 ダッチワイフのオリエント工業土屋日出夫 非電化工房を立ち上げるに至った発明家藤村靖之 南アルプス子どもの村学校 子どもホスピスマーチンハウス チャプレンという開かれた聖職者マーク 山口県祝島の暮らしに根ざした反原発闘争 福岡市の宅老所よりあい 更に故郷である尾道を振り返り小津の「東京物語」 高橋さんは文学者であることを買い被っていないだろうか 小説は例え話としてウソを付くことで何かを伝える 手段だと考えられてもいるけれど 所詮暮らしを分断された環境に押し込められて 対等性も自在性も抵当に取られた中で プロという権利を掴み食い扶持を稼ぐ手段を 目的化して自己満足しているにすぎないだろう 競争社会の中で弱者と呼ばれている人々は こうした依存と権利による社会における価値観と それによる搾取と支配従属のシステムにとって 役に立たないが故により厳しく隔離されているのである ひょっとすると高橋さんはドキュメントだと言いながらも 社会的問題として捉えていないのかもしれない

Posted byブクログ

2014/06/24

作家が何かを求めて世間的弱者とつながる施設・場所をめぐる旅。行き先は、ダウン症の子供たちのアトリエ、障害者の劇団、ダッチワイフの製造業者、非電化の発明家、「なにもない」学校、イギリスの子どもホスピス、原発反対デモを三十年も続けている高齢者の島。 世間からは弱者とみなされている立場...

作家が何かを求めて世間的弱者とつながる施設・場所をめぐる旅。行き先は、ダウン症の子供たちのアトリエ、障害者の劇団、ダッチワイフの製造業者、非電化の発明家、「なにもない」学校、イギリスの子どもホスピス、原発反対デモを三十年も続けている高齢者の島。 世間からは弱者とみなされている立場の人々だが、彼らは自分自身のことを弱者だとは認識していない。ただ生を生きるのみである。そこに濃密な時間が生まれる、と著者の高橋氏は感じている。すぐそばに死が生々しく控えているからこその濃密な時間なのだけど、生老病死が遠ざけられてしまった現代の日本で、その濃密さを感じるのは困難だ。「死」に代表される弱さを追い払った時点で、「生」もまた貧弱なものになってしまい、あとに残るのは孤独。 これから長い斜陽の時代が始まるということ、斜陽の時代をより良く生きることは可能だということを教えてもらった。

Posted byブクログ

2014/06/12

趣味でボランティアを続けていて、それを話すたび「弱い人を助けたいんだね」と言われ、うまく言えないけどそれは違うと思っていた。 最近は「隠されている世界を知りたいから」「知った気になってその世界に飛び込んだけど、本当は何も知らないしできない自分に気づきたい」というのが自分の答えかな...

趣味でボランティアを続けていて、それを話すたび「弱い人を助けたいんだね」と言われ、うまく言えないけどそれは違うと思っていた。 最近は「隠されている世界を知りたいから」「知った気になってその世界に飛び込んだけど、本当は何も知らないしできない自分に気づきたい」というのが自分の答えかなあ、とようやく考えがまとまりつつあった中で読んだ本。 弱さと自由。社会の構造。私は、隠されている知らない世界のことをもっと知りたい。その先で、自分に何ができるかみつけたい。とても分かりやすい文章で、だからこそ著者が伝えたいことがストレートに胸に響いた。

Posted byブクログ

2014/05/06

高橋源一郎氏はとてつもなく困難な方向へとチャレンジしている。それはとうてい到達不可能な場所なのかもしれない。だが到達不可能であることをわかっていながらチャレンジするという行為にこそ意味がある。 本書は元雑誌掲載という制約上からか、それぞれのテーマの扱う問題に対して、ページ数が物足...

高橋源一郎氏はとてつもなく困難な方向へとチャレンジしている。それはとうてい到達不可能な場所なのかもしれない。だが到達不可能であることをわかっていながらチャレンジするという行為にこそ意味がある。 本書は元雑誌掲載という制約上からか、それぞれのテーマの扱う問題に対して、ページ数が物足りないような気もした。ルポという形式をとるのであれば、高橋源一郎氏自身の想いだけではなく、もう少し、その想いへとつながるための周辺事実を積みかさねた文章のほうがリアリティが出るだろう。 ために、少しセンチメンタルというかエッセイのようになってしまっているところが難。 でも、いい。僕は氏の本を読むと心が若返るような気がするのだ。

Posted byブクログ

2014/04/30

「弱さ」をテーマにしたエッセイ?帯にはルポルタージュと書いているが。なぜ「101年目」なのか?100年が上りなら101年目から下るということか?世に言う「弱さ」が実は「強い」ものであり、それが著者の「文学」の礎であるとしめられる。

Posted byブクログ

2014/03/22

いつも何色のフィルターを通して見ているんだろう? 飾りのない素直な気持ちなら、違う世界が見えるのだろうか?失ってはいけないもの、現実を真っ直ぐ見つめることができる自分自身の弱さ。強く生きようとすればするほど、気づかなくなってしまう大切なもの。 最後に思い出すのはチャンドラーが残...

いつも何色のフィルターを通して見ているんだろう? 飾りのない素直な気持ちなら、違う世界が見えるのだろうか?失ってはいけないもの、現実を真っ直ぐ見つめることができる自分自身の弱さ。強く生きようとすればするほど、気づかなくなってしまう大切なもの。 最後に思い出すのはチャンドラーが残したフレーズ… "強くなくては生きていられない。でも、やさしくなければ、生きている資格はない。"

Posted byブクログ

2014/03/15

祝島の上関原発建設に対する30年以上続く抗議デモはいろいろなところで取り上げられていて、気になる土地です。それに、別の章にある東京物語の尾道に暮らす老夫婦の話が重なります。自分たちを産み育てた両親を地方に残し、東京で就職した場合、残された老いていくばかりの親たちは、その間ずっと田...

祝島の上関原発建設に対する30年以上続く抗議デモはいろいろなところで取り上げられていて、気になる土地です。それに、別の章にある東京物語の尾道に暮らす老夫婦の話が重なります。自分たちを産み育てた両親を地方に残し、東京で就職した場合、残された老いていくばかりの親たちは、その間ずっと田んぼや畑や、漁場を守って、ときどきは子どもたちが帰って来ることを楽しみに待っているとう姿を常にイメージ出来ていなければいけないと思いました。

Posted byブクログ

2014/02/11

"その「弱者」といわれる人たちの世界が、わたしがもっとも大切にしてきた、「文学」あるいは「小説」と呼ばれる世界に、ひどく似ていることだ" "わたしたちは、社会を作り、ことばを作った。そして、「弱さ」を忘れようとしたのである。"

Posted byブクログ