ヘイト・スピーチとは何か の商品レビュー
法学的観点から規制積極派の主張を論じたもの。国際法に依拠しつつ慎重派の主張に反論を試みてはいるが、立憲主義を重視する憲法学者とはそもそも立場も考え方も違うので、弁護士である著者の一方的な主張が有効な批判になっているかには疑問が残る部分はある。ただし、積極派と慎重派の意見の対立が確...
法学的観点から規制積極派の主張を論じたもの。国際法に依拠しつつ慎重派の主張に反論を試みてはいるが、立憲主義を重視する憲法学者とはそもそも立場も考え方も違うので、弁護士である著者の一方的な主張が有効な批判になっているかには疑問が残る部分はある。ただし、積極派と慎重派の意見の対立が確認できるという意味では有意義ではあるように思える。
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ヘイトスピーチ事案が沢山記載されており、教科書で聞くような話とは違うリアルな話だったので、少し差別主義者にひいてしまった。一方で、「これヘイトスピーチなのか...?マイノリティ側がどうにか対応できるのでは?」と感じる事案もあったので、ここの兼ね合いをどうするのかが今後の論点になっ...
ヘイトスピーチ事案が沢山記載されており、教科書で聞くような話とは違うリアルな話だったので、少し差別主義者にひいてしまった。一方で、「これヘイトスピーチなのか...?マイノリティ側がどうにか対応できるのでは?」と感じる事案もあったので、ここの兼ね合いをどうするのかが今後の論点になっていくのではないかと思う。 また、「ヘイトスピーチには厳しい法整備を」という論調で終始論じていますが、そうすると迂闊に物申すことができなくなる言論封殺社会に陥ってしまう危険もはらんでいるのではないかとも思ってしまった。 最後に、ヘイトスピーチとは関係なく、憲法について。 憲法が多少曖昧に記述されている分、様々な解釈ができるため、やはり憲法は面白いなとこの本を読んだことで改めて実感した。
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第1章 蔓延するヘイト・スピーチ(マスメディアに登場した「ヘイト・スピーチ」;京都朝鮮学校襲撃事件;狙われるマイノリティ) 第2章 ヘイト・スピーチとは何か(ヘイト・スピーチの定義;ヘイト・スピーチの害悪―傷つけられるマイノリティ;ジェノサイドの経験と国際社会の認識) 第3章 法...
第1章 蔓延するヘイト・スピーチ(マスメディアに登場した「ヘイト・スピーチ」;京都朝鮮学校襲撃事件;狙われるマイノリティ) 第2章 ヘイト・スピーチとは何か(ヘイト・スピーチの定義;ヘイト・スピーチの害悪―傷つけられるマイノリティ;ジェノサイドの経験と国際社会の認識) 第3章 法規制を選んだ社会(イギリス―多民族社会の模索;ドイツ―負の歴史と向き合う;カナダ―国際人権基準から見た一つのモデル;オーストラリア―多文化主義への転換) 第4章 法規制慎重論を考える(アメリカ合衆国の選択;日本における法規制慎重論;法規制慎重論の検討) 第5章 規制か表現の自由かではなく(現行法で対処可能なのか;包括的な制度構築―調査、差別禁止法、救済制度;ヘイト・スピーチ規制条項の検討) 著者:師岡康子(弁護士)
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表現の自由の問題がからむヘイトスピーチ。 日本のヘイトスピーチに対する姿勢はまだまだ世界的に遅れをとっていて、もっと向き合っていくべきだ!ということを学んだ。
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全日本人必読の書であると言いたい。評論というのは多少なりとも筆者の思想や立場によって偏りがあるし絶対的にこれが正しいということがないのが通例であるが、こと差別に関して、人種や民族、障害者、社会的マイノリティといったジャンルで概念化した差別に関してはいかなる事情があろうとも絶対的悪...
全日本人必読の書であると言いたい。評論というのは多少なりとも筆者の思想や立場によって偏りがあるし絶対的にこれが正しいということがないのが通例であるが、こと差別に関して、人種や民族、障害者、社会的マイノリティといったジャンルで概念化した差別に関してはいかなる事情があろうとも絶対的悪であり、ましてやその差別を助長し扇動するような汚らしい罵詈雑言など文明社会に存在してよいはずがない。
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ヘイトスピーチの定義から、その形成の歴史、国際的な潮流、わが国での法規制の是非について総合的に論じた書。ヘイトスピーチ対策法が成立する前に書かれた書なので、若干古いのですが、わが国におけるヘイトスピーチをめぐる議論が紹介されており、いずれもヘイトスピーチの法規制が必要という立場か...
ヘイトスピーチの定義から、その形成の歴史、国際的な潮流、わが国での法規制の是非について総合的に論じた書。ヘイトスピーチ対策法が成立する前に書かれた書なので、若干古いのですが、わが国におけるヘイトスピーチをめぐる議論が紹介されており、いずれもヘイトスピーチの法規制が必要という立場から論じており、勉強になりました。
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ヘイト・スピーチは、表現の自由によって守られるのか、法規制で一定制限するのか、ここの話はよく語られるところかと思う。 でも、議論の土壌は、あとがきにもあるように、①マイノリティーに対する差別を合法として容認・黙認し、その苦しみを放置し続けるのか、それとも②これまで日本がしてきた(...
ヘイト・スピーチは、表現の自由によって守られるのか、法規制で一定制限するのか、ここの話はよく語られるところかと思う。 でも、議論の土壌は、あとがきにもあるように、①マイノリティーに対する差別を合法として容認・黙認し、その苦しみを放置し続けるのか、それとも②これまで日本がしてきた(植民地支配など)ことを反省し、差別を許さない社会にしていくかだと思う。 差別の多くを煽動、助長しているのは権力である。忘れたらあかん。
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非常に良い、と最初は思ったけどねぇ。 でも、この手の問題でポジションを取って、丁寧に一般向けに論じるというのは大事な事だと思う。
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日本が圧倒的に遅れた状況にあることが、はっきりとわかった本。 著者は法整備を、と訴えているけれど、日本ではなぜ法整備に至らないのか、どのように法整備に至るよう人々の認識を変えていくか、ということにまで言及しなければ、改善に時間がかかりそうだと思う。
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「ヘイト・スピーチとは何か」というよりは、「ヘイト・スピーチを法的に規制するにはどうすればよいか」といった内容だと思った。 そもそもヘイト・スピーチとは何なのか、ということを多角的に考察したり、その内実を検証するという本ではない。 あくまで著者は「他国と比較してみても、日本はヘイ...
「ヘイト・スピーチとは何か」というよりは、「ヘイト・スピーチを法的に規制するにはどうすればよいか」といった内容だと思った。 そもそもヘイト・スピーチとは何なのか、ということを多角的に考察したり、その内実を検証するという本ではない。 あくまで著者は「他国と比較してみても、日本はヘイト・スピーチの現状にきちんと向き合っておらず、早急な対策が必要」だという立場で論じている。 しかし、著者がそう言葉を尽くすのももっともだ、としか言いようがない。日本におけるヘイト・スピーチ対策の現状はあまりにもひどい。たとえ著者の視点が多面性に欠けているにしても、この現状は日本社会の怠慢だといえるだろう。そして私もまた、その現状に関心を持っていなかった日本社会の一員なのだ。…… 差別の問題は根が深く、一義的に解決できるものではないが、それに社会が蓋をすることは全く話が違う。ないものとしないこと。実際にこれらは今の日本社会であっていること。それを許さないと「私」が思うこと。 差別によって傷ついている人たちがいる、その問題をないものにしてはいけない、と思った。
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