疑惑 の商品レビュー
早川版が絶版になって久しいため新訳で出たそうだが、この平尾浩三氏の翻訳はだめだ。2部構成で、どちらも病室での会話を基調として話が進むのだが、肝心の1人称の選択よくない。いくら固いドイツ語といっても医師と警部の会話に「おれ」は不自然だし、逆に隠遁生活のユダヤ人が「おれたち」ではなく...
早川版が絶版になって久しいため新訳で出たそうだが、この平尾浩三氏の翻訳はだめだ。2部構成で、どちらも病室での会話を基調として話が進むのだが、肝心の1人称の選択よくない。いくら固いドイツ語といっても医師と警部の会話に「おれ」は不自然だし、逆に隠遁生活のユダヤ人が「おれたち」ではなく「われわれ」というのは唐突。警部が自分を「わし」と呼んだり「おれ」と言ったりも混乱。 スイスの作家の1950年の作。ミステリというより、ナチス収容所の夜と霧の記憶が鮮烈だった時代の心理描写作品として読まないといけないのだろう。
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[関連リンク] Twitter / wtnbt: デュレンマットの『疑惑』読んだ。早川で昔出ていた『嫌疑』の新 ...: https://twitter.com/wtnbt/status/431762239364681728
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