東京ロンダリング の商品レビュー
原田ひ香さんは少し辛い経験を持ちながら、ひっそりと生きている人を描きながら、周囲との関係の中で変化していく人々を描くのがとても上手いと思う。この小説も訳あり物件に住んで、説明責任を無くすために、人と関わらないで生きている主人公が少しずつ変わっていく物語。
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東京ロンダリングというタイトルに惹かれて、冒頭とラストをサラッと読んで購入。 いわゆる事故物件に一定期間住み、建物のロンダリングを繰り返す職につくりさ子と、ロンダリングでりさ子が住むこととなった物件周りの人たちとの交流からりさ子が自分を取り戻していくお話というのが主軸である。 話の初めはりさ子の頓着のなさが際立つが、話が進むにつれて人間らしさを取り戻していく様が丁寧に描写されている。 お話自体は200ページ弱と軽い読み物なので、日々の生活に疲れてしまった人、自分らしさを取り戻したい人にぜひ読んでいただきたい。
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事故物件に住む仕事… ロンダリングを続ける女性が主人公の話。主人公の名前がりさ子っていうのもなんだか良くて、りさ子の慎ましい性格も良いなって思った。最後いい感じに終わってホッ。でもロンダリングの仕事大変すぎるな。 原田ひ香さん2冊目もほっこり出来て良かった。 まだまだひ香さんの小説読んでみたい。
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軽快な印象を受けるタイトルに惹かれて読んだ。 東京に住んでいたこともあるので なんとなくこんな仕事ありそうと思いながら読み進めた。 個人的にはとても好みの作品。 主人公りさ子の再生の物語。 同業の菅さんのエピソードも相まって 人には何かしらの存在意義があるように思えた。
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主人公のりさ子は、夫と離婚し、住むお金がなくロンダリングを始める。 ロンダリングという存在を知らなかった。 事故物件に一時的に住み、部屋を浄化する職業とでも言えばよいのだろうか。 住み移ることを仕事とし、移り住んだ先で人々とのつながりも生まれはじめる。 そのことが、りさ子自...
主人公のりさ子は、夫と離婚し、住むお金がなくロンダリングを始める。 ロンダリングという存在を知らなかった。 事故物件に一時的に住み、部屋を浄化する職業とでも言えばよいのだろうか。 住み移ることを仕事とし、移り住んだ先で人々とのつながりも生まれはじめる。 そのことが、りさ子自身を浄化させているようにも思えた。 りさ子の恋愛事情を始め、仕事仲間のその後など、いろいろ気になる。
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笑顔を作ってごらん そう言われ、りさ子は何度もその表情を作った。 りさ子のちょっと変わった仕事の心構えとして言い渡されたことだった。自分の意思は必要はない。 心に傷を負った無気力なりさ子がロンダリングという仕事を通し、自分を取り戻してゆく再生物語。 その若さで人との関わりを避け、...
笑顔を作ってごらん そう言われ、りさ子は何度もその表情を作った。 りさ子のちょっと変わった仕事の心構えとして言い渡されたことだった。自分の意思は必要はない。 心に傷を負った無気力なりさ子がロンダリングという仕事を通し、自分を取り戻してゆく再生物語。 その若さで人との関わりを避け、抜け殻のように過ごす。と言えばその仕事は合っているかもしれない。 そんな頃出会う、亮と真鍋夫人、ふたりはとても温かい。人間関係、時には垣根を越え来てくれる「おせっかい」もありがたいと思えた。 りさ子が元気を取り戻し綺麗になって生き生きしてゆくところが良かった。 ロンダリングが自分の力だと気づき自分自身を肯定し始める。りさ子の心の動きがすごく伝わり、共感あり、奇抜な設定ありで面白かった。 なにもかも満たせているのが幸せではなく、身の丈にあった、ということが大事なんだと。 個人的には、こしょう焼きと煮玉子がとても美味しそうだった。ぜひレシピを知りたい。 ロンダリングという仕事があってもいいと思った(私は無理だが)。
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事故物件に一定時間住んで、その家を浄化するなんて・・お化けが平気なら美味しい仕事だなと。 まぁ一種の才能だけど、中々面白かったです。
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いわゆる事故物件に期間限定で済むことで告知義務を回避させる仕事をしている女性が主人公。 実際にこういう仕事ありそう…。 物語を進める言葉はとても静かで優しい。
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すごく良かった!自己再生の物語ですが、登場人物や展開、物語の世界観はわりと淡々としていて、自分好みの雰囲気でした。 一見すると社会にあまり溶け込めていないような人でも、ロンダリングや蝉を鳴かせない才能など、その人にしかできない仕事があるって、すごく温かくて素敵だなと。 東京という...
すごく良かった!自己再生の物語ですが、登場人物や展開、物語の世界観はわりと淡々としていて、自分好みの雰囲気でした。 一見すると社会にあまり溶け込めていないような人でも、ロンダリングや蝉を鳴かせない才能など、その人にしかできない仕事があるって、すごく温かくて素敵だなと。 東京というきらびやかな大都会の街でも、そこに住む人間には様々な人生があることを強く感じました。
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「東京ロンダリング」ってラ行が入ってはずむ感じもあって何だかおしゃれな響き。でも実は、ワケあり直後の物件に一定期間住むことで次の住人へのワケありの説明をしなくてすむようにすること。そんなことしながら何とか生きてるりさ子さんもワケあり。すべては明かされないけど、読んでいるうち何とな...
「東京ロンダリング」ってラ行が入ってはずむ感じもあって何だかおしゃれな響き。でも実は、ワケあり直後の物件に一定期間住むことで次の住人へのワケありの説明をしなくてすむようにすること。そんなことしながら何とか生きてるりさ子さんもワケあり。すべては明かされないけど、読んでいるうち何となく何があったのかはわかる。 ストーリーはシンプル。ただ住んでいるだけでお金になるロンダリングをしながら先の見えない無気力な日々を過ごしていたりさ子さんが、移り住んだ街でおせっかいな人たちに干渉されているうちに気持ちが変わっていく。おせっかいな人たちだけでなく、ロンダリングの元締めの不動産屋の社長や事務員、同業の菅さんとか、周囲には実はいい人に囲まれている感じ。 シンプルなストーリーで読み終えれば気持ちがちょっとほっこり。面倒な社会を裏から支えている人たちの世界が垣間見れる感じ。
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