ぐるぐる猿と歌う鳥 の商品レビュー
父親の転勤で東京から北九州の社宅に引っ越した小学校5年で悪ガキの高見森(たかみしん)。隣に住む同級生の心と仲良くなり、学校のことを教わっていく。その地域にはパックという同級生くらいの男の子がいて、家などの詳細がわからない。転校して初登校の日、パックを追いかけて高見森は校庭の木に登...
父親の転勤で東京から北九州の社宅に引っ越した小学校5年で悪ガキの高見森(たかみしん)。隣に住む同級生の心と仲良くなり、学校のことを教わっていく。その地域にはパックという同級生くらいの男の子がいて、家などの詳細がわからない。転校して初登校の日、パックを追いかけて高見森は校庭の木に登ると…。 加納朋子の十八番である、子供だけの世界を描いた小説である。パックというわからない少年に、夜中に呼ばれて平屋の社宅の屋根を飛び回り、学校では体育館の屋根に登る。街の秘密を解き明かすが、大人たちの世界には干渉できない。 不満点としては、プロローグとインタールード的なモノローグが必要以上に重要な役割をしていて、ちょっとバランスが悪い。 加納朋子らしさではあるが、目標が特に掴みきれないため、中途半端に他の作品を知っている手前、お得意の幽霊の話?違うの?というところで先を予想して読んでしまうのが辛いところ。知らないで読む分には全く問題はない。 童話的に書かれていることもあり、フワフワと本筋が掴めないままどんどん読み進めるところが、加納朋子の苦手なところでもあった。 序盤で予想はつくと思うが、虐待がキーになっている。苦手な人はご注意を。
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子ども目線で大人や社会を書く、宗田理みたいな話。昭和感も。この子たちは強いけど、それでもやっぱり子どもで、なんとかしたいと思っても、そこに触れられるのはやっぱり子どもなんだろうなぁ。
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図書館本 サクッと読めました。 子どもの頃って、どうしてこんなに秘密が多くて、冒険に満ち溢れているんだろう。 ギザギザ屋根の猿と鳥。 よくわからないパックの存在は、子どもの世界ではすんなりと受け入れられるのだ。 大人の、とやかくうるさい道理なんて関係ない。 ほんのりミステ...
図書館本 サクッと読めました。 子どもの頃って、どうしてこんなに秘密が多くて、冒険に満ち溢れているんだろう。 ギザギザ屋根の猿と鳥。 よくわからないパックの存在は、子どもの世界ではすんなりと受け入れられるのだ。 大人の、とやかくうるさい道理なんて関係ない。 ほんのりミステリー。
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大人の現実に追い込まれる子供達が、狭い世界ながら冒険をする良い小説だった。短いミステリー仕立ての面も散りばめられており、児童書を意識しているため読み易さも抜群だった。高見森をはじめ子供達がはちゃめちゃ元気で方言丸出しなのも物語を明るくしてくれていた。
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数年寝かせてあったかも。ようやく読んだ。なんか、自分で買いはしたものの、タイトルがあまり心惹かれなくて。 でも何よ〜面白いじゃないの! 途中からはすっかり夢中になって一気に読んじゃった。 私が読んだことのある加納朋子さんの作品同様、小さな謎を解いていくし、ゆったりとした感じも...
数年寝かせてあったかも。ようやく読んだ。なんか、自分で買いはしたものの、タイトルがあまり心惹かれなくて。 でも何よ〜面白いじゃないの! 途中からはすっかり夢中になって一気に読んじゃった。 私が読んだことのある加納朋子さんの作品同様、小さな謎を解いていくし、ゆったりとした感じもある。それに加えて、先がとっても気になる展開。後半はぐいぐい読まされてしまった。 彼らの日常の中には、嫌な過去、悲しい状況、未来への不安などが横たわっていて、脳天気なだけの毎日ではない。最後にはひと通りいろいろ解決するものの、どうにもならない部分もある。それでも悲壮感はなく、全体を通じて感じるのは、楽しい雰囲気。 パックと心が通っていく様子は、読んでいて嬉しくなった。そして私には、あの親子を目一杯ギャフンと言わせたい気持ちが今もある! 続きは出ないのかな。みんなの今後をもっと読みたい。
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読書レビューを掲載していただきました。 "不思議あふれる子どもの世界。『ぐるぐる猿と歌う鳥』" https://fpcafe.jp/mocha/308 Webメディア「Mocha(モカ)」 Money Career Happily Powered ...
読書レビューを掲載していただきました。 "不思議あふれる子どもの世界。『ぐるぐる猿と歌う鳥』" https://fpcafe.jp/mocha/308 Webメディア「Mocha(モカ)」 Money Career Happily Powered by FP Cafe®
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できないことは多かったが友達と一生懸命遊んだり、他愛のない秘密を守ったりして過ごしていた子供の頃を思い出す良い本・・・というだけでは片付けられない、大人の事情や身勝手さ、汚さに翻弄される部分が描かれており、なんとも言えない読後感。できないことは多かったし、知らないことだらけだった...
できないことは多かったが友達と一生懸命遊んだり、他愛のない秘密を守ったりして過ごしていた子供の頃を思い出す良い本・・・というだけでは片付けられない、大人の事情や身勝手さ、汚さに翻弄される部分が描かれており、なんとも言えない読後感。できないことは多かったし、知らないことだらけだったけど、それでもこんな子供時代に戻りたいと思わせる本。夏休みの帰省前に一読をお勧めします。
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引っ越してきた先で、同じ社宅の子どもやパックという謎な少年と物語がつくられていく。 作中に少しずつ謎解きが設けられ、読みごたえもある。そして何より少年時代特有の感情や時間経過が鮮明に描かれ、懐かしいよりも羨ましく感じてしまう自分がいた。
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小・中学生が読むなら十分面白く、文句なし。エンタメ小説として、合格だと思う。 社会の問題を告発する小説としては不十分。 パックは知能、体力共に優れた子どもだから、大人の力を借りなくても、健康な限りは生きていける。 でも大多数の無戸籍の子どもはそうじゃない。だから、パックのように自...
小・中学生が読むなら十分面白く、文句なし。エンタメ小説として、合格だと思う。 社会の問題を告発する小説としては不十分。 パックは知能、体力共に優れた子どもだから、大人の力を借りなくても、健康な限りは生きていける。 でも大多数の無戸籍の子どもはそうじゃない。だから、パックのように自由に生きることはできない。 普通の子どもにとって、親の世話にならず、気の合う友達だけで暮らすのは、叶わぬ夢であり、そういう意味では、子どもの希望を満たす物語である。フィクションの世界では、それが可能であってほしいという切なる思いを叶える小説であることは評価に値する。 近頃、地方を舞台にした小説でも標準語で語らせるものが多いが、自然な北九州弁でリアリティが増していることも評価したい。
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小学生時代の魅力ってなんだろうか。探検? 自由? 友情? それとも……? 「夏休みの思い出」に代表される不思議な開放感。小学生は探検していた。小学生は自由だった。小学生は友情を育んでいた。何もかもが懐かしく、そして今なら羨ましくさえ思う。インドア派で、都会育ちの僕でさえ、そう...
小学生時代の魅力ってなんだろうか。探検? 自由? 友情? それとも……? 「夏休みの思い出」に代表される不思議な開放感。小学生は探検していた。小学生は自由だった。小学生は友情を育んでいた。何もかもが懐かしく、そして今なら羨ましくさえ思う。インドア派で、都会育ちの僕でさえ、そう思う。 『ぐるぐる猿と歌う鳥』には、あの小学生のころの思い出がたくさんつまっている。「ああ、こんなことあったなあ」、「ああ、これが小学生時代の魅力か」。本書を読み進めていくと、きっとたくさんの懐かしさに出会うことができるだろう。「かつて子どもだった人へ」という売り文句は、あながち間違いではない。 しかしその一方、単なるノスタルジーに陶酔させるだけでないのが本書の巧みなところである。「解説」のなかで大矢さんは、本作を「カプチーノ」に喩えている。「カプチーノはミルクだけでできているのではない。その下には濃いエスプレッソがある」。「子どもにはきつい、けれど大人ならその意味をちゃんと考えることのできる苦み」。 理想的な小学生の暮らしの中に垣間見える「苦い」現実。あの時は気づかなかった、あるいは気づけなかった。けれど、今から思い返せば、あの探検にも、自由にも、友情にも、そんな現実は付いていたのではないか。甘いミルクの下には、苦いエスプレッソが潜んでいる。 【目次】 ぐるぐる猿と歌う鳥 プロローグ あるいは、物語の前のひとりごと 第一話 ぐるぐる猿と歌う鳥 モノローグ 第二話 図書室の暗号 モノローグ 第三話 社宅のユーレイ エピローグ 解説 大矢博子
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