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グローバリゼーション・パラドクス の商品レビュー

4.2

13件のお客様レビュー

  1. 5つ

    7

  2. 4つ

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2023/08/10

窓を開けて蚊帳をはる 国民に安心感を与えて、成長できる環境を作ることがる国を発展させることになるのではないかと思った。

Posted byブクログ

2023/05/08

出版されたのはもう10年近く前ですが、2022年現在で読んでも面白い本だと思います。本書の主張を一言でいうなら、グローバリゼーションがもたらすトレードオフです。著者はこれを「トリレンマ」で表現しています。トリレンマとは3つの事象のうち、2つまでしか追求できない、3つ同時に追求する...

出版されたのはもう10年近く前ですが、2022年現在で読んでも面白い本だと思います。本書の主張を一言でいうなら、グローバリゼーションがもたらすトレードオフです。著者はこれを「トリレンマ」で表現しています。トリレンマとは3つの事象のうち、2つまでしか追求できない、3つ同時に追求することはできない、という状況をあらわしますが、具体的には「グローバリゼーション」「国家主権」「民主主義」の3つを同時に追求することはできない、という主張になります。 そのうえで (1)「グローバリゼーション」「国家主権」の追求=黄金の拘束服 (2)「グローバリゼーション」「民主主義」の追求=グローバル・ガバナンス (3)「国家主権」「民主主義」の追求=ブレトンウッズの妥協 と呼び、著者自身の意見として(3)が最も現実的かつベストな選択肢だと述べています。 (1)で失われているのは各国にいる市民の声、つまり民主主義です。「黄金の拘束服」という呼び名は20世紀半ばまで続いた金本位制を強く意識したものですが、国家は自身の主権を持ちつつも、経済ルールについては金本位制のような厳密なルールに従います。そこでは国内向け経済政策の優先順位が低い、あるいはないと言ってよい。つまり国民の不平、不満は棚上げして国際ルールを重視している状況です。 (2)で失われているのは国家主権です。ここでは民主主義=民意が重視されますが、それは国を飛び越えてグローバルに機能する、つまり世界政府のような存在が念頭に置かれているわけです。著者はこの案について一定の評価をするも、非現実的であること、文化や価値観の多様性を無視していることなどから却下しています。ここはまさに普遍主義と多様性重視主義との対立と言ってもよいでしょう。 そして(3)はまさに第二次世界大戦後のブレトンウッズ体制(制限されたグローバリゼーション)の世界になるのですが、グローバリゼーションを意図的に制限することで、国家主権と民主主義の両方が達成できる、そしてこれこそが最も現実的かつベストな選択肢ということになるわけです。 私の感想ですが、トリレンマの構造を明らかにしたこと自身は大変興味深く読みましたが、ブレトンウッズ体制に帰れ、という結論になっていて、こちらはあまり面白みがないなと言う印象を受けてしまいました。トリレンマを超克する方法はないのか、たとえばデジタル技術、ブロックチェーンのようなものを使うと、3つが同時に追求できるかもしれない、など、もう1歩先の議論を期待したいと思いましたので星4つにしました。

Posted byブクログ

2020/01/03

訳者あとがきにある通り、グローバリゼーション、民主主義、国家主権のトリレンマの解決を歴史的に分析している前半は面白く読めた。 しかし、競争的脅威以外へのセーフガード措置の拡大、国内規制への浸食を防ぐための国際金融取引の制限という、筆者の主たる提言が、どうすれば実現可能なのかは今ひ...

訳者あとがきにある通り、グローバリゼーション、民主主義、国家主権のトリレンマの解決を歴史的に分析している前半は面白く読めた。 しかし、競争的脅威以外へのセーフガード措置の拡大、国内規制への浸食を防ぐための国際金融取引の制限という、筆者の主たる提言が、どうすれば実現可能なのかは今ひとつ理解しにくい。

Posted byブクログ

2018/08/26

効率とか域内経済の発展のための仕組みは、短期的に成功することが可能でも、それらの歪みは域外なり、少し先の未来に必ず露見する。持続性を求めるなら何かしらの不自由(ルール・関税)を選択する必要がある。抜け駆け一抜けのマネーゲームはあまりにも空しい。 フェアなゲームにするためには痛み分...

効率とか域内経済の発展のための仕組みは、短期的に成功することが可能でも、それらの歪みは域外なり、少し先の未来に必ず露見する。持続性を求めるなら何かしらの不自由(ルール・関税)を選択する必要がある。抜け駆け一抜けのマネーゲームはあまりにも空しい。 フェアなゲームにするためには痛み分けが必要。。

Posted byブクログ

2017/10/01

”「グローバリゼーション」、「国家主権」、「民主政治」の3つは同時に達成することはできない ” という考えで、昨今の英国や米国の政治的な動きが理解できる。 グローバリゼーションを選ぶと国家主権か民主政治のどちらかが犠牲になり、いま起きている英米のグローバリゼーションへの政治的反...

”「グローバリゼーション」、「国家主権」、「民主政治」の3つは同時に達成することはできない ” という考えで、昨今の英国や米国の政治的な動きが理解できる。 グローバリゼーションを選ぶと国家主権か民主政治のどちらかが犠牲になり、いま起きている英米のグローバリゼーションへの政治的反動は、国家主権や民主政治を取り戻そうという動きということだ。 ①英国のEU離脱:国家主権を取り戻す  経済的なメリットは大きいが、共通政策や膨大な規制にしばられ、国家主権が制約される。 ②米国のトランプ勝利  グローバル企業や投資家と政治家が結びつき、その利害のみを保護する政治への中下層の不満を取り込んだ グローバリゼーションへの政治的反動は、まだ続くと思われるが、米国ほどの格差社会ではなく、中下層の疲弊も少ないと思われ、TTPなどの貿易交渉は行っているが、EUほど国家主権が制限されているとは思えない日本。 通称国家として繁栄し、グローバリゼーションの恩恵を受けている日本であるだけに、グローバリゼーションへの政治的反動の動きは気になるところである。 ーーーー 追記 ーーーーーー 「『米中経済戦争』の内実を読み解く」(著者:津上俊哉)の中で 「グローバリゼーション」、「国家主権」、「民主政治」の3つに対し、「民主主義」が「自由主義」や「資本主義」と、どう折り合いをつけていくかは永遠の課題と書かれていた。 ・「グローバリゼーション」=「自由主義」「資本主義」 ・「民主政治」=「民主主義」 また、民主主義が資本主義に深く絶望し、忍び寄る何らかの脅威が強い恐怖をもたらすとき、社会には全体主義の種が捲かれると。 昭和初期から世界大戦までの過去の過ちを犯さないように、気をつけたい。

Posted byブクログ

2018/10/20

170520 中央図書館 貿易は、世界の富を総量で増やすためには有益だが、リスク、不安定性の問題に顧慮が必要であり、一定の「制度」のもとで営まれなくてはならない。市場は統治なしには健全に機能し得ない、という立場。

Posted byブクログ

2016/01/31

国際経済学者の著した本で、とても読みごたえがありました。数式や図は一切使っていませんが、入門レベルの知識は前提となっています。 歴史的にグローバリゼーションが拡大した時期には、どのような条件が揃っていたのか。市場は統治なしには機能しない。世界経済の政治的トリレンマが存在する等々の...

国際経済学者の著した本で、とても読みごたえがありました。数式や図は一切使っていませんが、入門レベルの知識は前提となっています。 歴史的にグローバリゼーションが拡大した時期には、どのような条件が揃っていたのか。市場は統治なしには機能しない。世界経済の政治的トリレンマが存在する等々の主流派とは異なった切り口の内容が展開されています。 著者の考える健全なグローバリゼーションも提示されています。

Posted byブクログ

2015/07/20

僕はぼんやりと「自由貿易支持派」である。ぼんやりと、というのは所詮教科書に出てくるリカードの比較優位に惹かれただけであり、それ以上に何か考えている訳ではない。あとは、より良いものが安く手に入るという直感だろうか。 さて、そんな浅はかな気持ちで本書を読み始めたのだが、唸らせられた。...

僕はぼんやりと「自由貿易支持派」である。ぼんやりと、というのは所詮教科書に出てくるリカードの比較優位に惹かれただけであり、それ以上に何か考えている訳ではない。あとは、より良いものが安く手に入るという直感だろうか。 さて、そんな浅はかな気持ちで本書を読み始めたのだが、唸らせられた。まず、経済史を紐解きながら、自由貿易、保護貿易の相対性を考えていく。そして、自由貿易の性質について考えて行く。安く手に入るとはどういうことなのか。本当に公正な取引なのか。この時、教科書のような単純な図式では済まされないことに気づく。そして、それは民主主義や国家主権を巻き込んだ問題になっていく。 筆者によれば、民主主義、国家主権、グローバリゼーションは、同時に追求することが不可能な目標であり、どれか一つは諦めなければいけない。そこで筆者は「完全な」グローバリゼーションを諦めるよう説く。特に、アルゼンチンやアメリカの経済危機や、日本などブレトンウッズ期の経済成長の例を引く。無秩序なグローバリゼーションがもたらした破滅と、管理されたグローバリゼーションの栄華である。この本は何も極端なことは言わない。(最後の提言は若干怪しいが)節度あるグローバリゼーションの実現である。 その前提にあるのは、よく機能する市場経済はすべて、国家と市場、自由放任と介入の組み合わせであり、経済の繁栄と安定は労働市場、金融、企業統治、社会福祉など様々な領域における様々な組み合わせを通じて実現することが可能である、という考えである。つまり、経済発展の仕方は十人十色ということである。それを国際協調の下に上から縛るのはどうなのか、という疑念がそこにはある。 当然だが、グローバリゼーションを否定するものでもない。国家の介入を徒に賛美するものではない。ただ、行きすぎたグローバリゼーションに警鐘を鳴らすものである。TPPはなかなか決まらない。ドーハラウンドに至っては開かれもしない。この一冊を読むとそれも納得がいく。 そもそもグローバリゼーション、特にスーパーグローバリゼーションというのはごく一部のグローバルエリートの特殊関心事項に過ぎない、というのは考えさせられる点である。

Posted byブクログ

2016/10/24

衝撃的だったのは、イデオロギーとしての「自由貿易」――瞬く間に各界を侵食し、ついには“神聖にして犯すべからざるもの”として位置づけられるまでに至った、その渦中に居た著者自身や他の経済学者らのエピソードにみる異常な空間である。 ヴァンダービルト大学経済学者ロバート・ドリスキル氏論...

衝撃的だったのは、イデオロギーとしての「自由貿易」――瞬く間に各界を侵食し、ついには“神聖にして犯すべからざるもの”として位置づけられるまでに至った、その渦中に居た著者自身や他の経済学者らのエピソードにみる異常な空間である。 ヴァンダービルト大学経済学者ロバート・ドリスキル氏論文に関するエピソード(86~87頁) http://book.g.hatena.ne.jp/xyn9/20140216/isbn4560082768p86 「サックス=ワーナーの分析」と経済学界の反応~著者の実体験(195~198頁) http://book.g.hatena.ne.jp/xyn9/20140226/isbn4560082768p195 --- +装丁が素晴らしい

Posted byブクログ

2014/04/20

内取引と国際取引の大きな違いは、世界政府が存在しないこと。取引コストは当然後者のほうが当然高い。たとえ関税が下がっても法規制や治安のグローバル取引のリスクは大きい。数%の利益しかないモノを海外で売っては利益など出ない。国内で売れば、代金とモノが共に国内に残り、利益を生むるが、海外...

内取引と国際取引の大きな違いは、世界政府が存在しないこと。取引コストは当然後者のほうが当然高い。たとえ関税が下がっても法規制や治安のグローバル取引のリスクは大きい。数%の利益しかないモノを海外で売っては利益など出ない。国内で売れば、代金とモノが共に国内に残り、利益を生むるが、海外で売れば代金だけで、モノは永久に戻ってこない。国内取引は2倍の経済効果があることを忘れてはならない。

Posted byブクログ