第三の警官 の商品レビュー
やや飽きながら読んでいた。起こっていることが意味不明なことが多くやたら疲れた。俺がこの小説のノリの問答を好きだったらもっと面白かったのに。 あと、舞台がどこなのかとかは見当がついてしまうのに最後にドドンと明かされてもなあ。全編を通してにおっているこういう妙な感じは謎が持つ意味を...
やや飽きながら読んでいた。起こっていることが意味不明なことが多くやたら疲れた。俺がこの小説のノリの問答を好きだったらもっと面白かったのに。 あと、舞台がどこなのかとかは見当がついてしまうのに最後にドドンと明かされてもなあ。全編を通してにおっているこういう妙な感じは謎が持つ意味をいやでも予想させるが、それ自体が邪魔だなとも思う。 それでも読めたのは描写に説得力があったからだ(訳文だけど)。警察署が立ち現れ巡査部長が登場するくだりは、早くこの世界を見せてくれという気にさせてきた。 目撃者の頭脳を破壊する禁断の自転車。
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古書市で偶然見つけた本。作者名や本のタイトルについての予備知識はなかった。 だから読むにあたってまずしたのは、私が海外小説を読むときにいつもする「地図帳を手元に置いて広げる」こと。 ―なになに、アイルランドって島全体でみると北海道と同じくらいの大きさやん。そういえばアイルランド作...
古書市で偶然見つけた本。作者名や本のタイトルについての予備知識はなかった。 だから読むにあたってまずしたのは、私が海外小説を読むときにいつもする「地図帳を手元に置いて広げる」こと。 ―なになに、アイルランドって島全体でみると北海道と同じくらいの大きさやん。そういえばアイルランド作家の作品って読んだことあったっけ?J.ジョイスのダブリナーズは読んだことあるけど。大江健三郎の小説によく出てくるイェーツの詩も少し読んだことはあるな…etc. その程度の知識で読みはじめたが、アイルランドに関するそういった事前の知識なんか全く必要なかった。と言うよりも、アイルランドっぽさをそれほど感じなかった。 そりゃ出てくるのはビールじゃなくてスタウト(黒ビール)だし、特に自然現象の描写に、科学的側面に織り交ぜるような形で精霊的と言っていいような側面が見える瞬間があるのがアイルランド的とも言えるかもしれないけど。 でもアイルランドっぽさを感じなかった一番の原因は、翻訳者・大澤正佳さんの訳文にあると思う。日本人作家が日本語で書いたのかと見間違えるくらいのナチュラルな訳文。いわゆる直訳文っぽい日本語がほとんどない。だからつっかかる感じを受けずに読み通せた。 次に内容に踏み込むと、簡潔に説明するというのは極めて難しい。 内容に関しては他のレビューに断片的に書かれてはいるが、私からは「読んでみたらわかる」としか言いようがない。 でも少し踏み込んで言うとすると、「風には色があって、ある瞬間にだけ色が見えるはず」というような、自分には実は他人が見えていないものが一瞬見えているのでは?と少しでも考えたことがある人にはお薦めできる。 (一方で、逆に「実際にそんなものが物理的に考えて見えるはずがない」と考えるタイプの人にはお薦めできない。現実はそのとおりなので否定するつもりはないけど、この本は合わない。) 例えると、宮澤賢治の世界観が好きな人はこの本も好きになれるのかな?そう考えると、アイルランド人と日本人とは、文学的感性が意外と近いのかもしれない。 あるいは、中期ビートルズでのジョンレノンの詞(ex. Tomorrow never knows)のような、意味の無いようでいて多義的な不思議な感覚にも通じるだろうか。 私はどちらも好き。だからこの本も楽しめた。
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面白い。 不条理で奇妙な世界に巻き込まれた主人公。しかし、この奇妙な世界に主人公がいる理由はちゃんとある。 情景描写が(冗長な向きはあるけれども)優れていると思う。 安部公房に似ているなと思ったが、安部公房より面白いかもしれない。 「地獄はぐるぐる繰り返す」
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理解が深まるとても良いあとがきですが、ネタバレですのでお気をつけを。やはり何も知らず「おおっ」と驚くのが良いかなと。 インテリの孤独な青年が罪を犯すあたり『罪と罰』を思い起こし、途中は『不思議の国のアリス』やカフカやダンテの『神曲』も感じる実験的な小説だった。 主人...
理解が深まるとても良いあとがきですが、ネタバレですのでお気をつけを。やはり何も知らず「おおっ」と驚くのが良いかなと。 インテリの孤独な青年が罪を犯すあたり『罪と罰』を思い起こし、途中は『不思議の国のアリス』やカフカやダンテの『神曲』も感じる実験的な小説だった。 主人公に全然気負いがなく、深刻なぐるぐるとした地獄巡りもさらっと展開していく。こうしたぐるぐると回る感じを自転車の車輪に例えているのかもしれない。(運命の輪=自転車の車輪) しかしある場面では自転車が主人公に寄り添い優しく触れ心の支えのようにもなり、また第一、第二の警官は自転車をとても大切にしている。つまり自転車は人生や自らの運命を象徴している気がする。 もしかしたら、これはあの世ではなくアイルランドでの人生そのものの物語なのかもしれない。 文章ではp78遣る瀬無い(水)→煙草の香り(煙)→道→小川と全て流れるイメージに統一されていたり(ここに出てくる主人公に似たトボケタ人物フィヌカンはフィネガンズ・ウェイクを思わせる) p312では口は火照った舗道に落ちた一滴の水のように干上がり→心は燃えさかると火のイメージで統一等独特のこだわりというか美学が面白かった。 分身のジョーのお別れの言葉がとても詩的で美しくアイルランドらしかった。 そして裁く事も威圧する事も無かった第三の警官とは何だったのだろうか。閉塞感と謎が解けても解けも残る小説であった。
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主人公の殺人の告白から話は始まるが、読み進めるうちに、カフカを思わせる不条理世界が広がっていく。 解説ではカフカの他にベケットの名前も挙がっているが、確かに同じUブックスから出ている『ゴドーを待ちながら』にも通じるものはあるのではないか。 巻末の解説で、作中の仕掛けについて盛大に...
主人公の殺人の告白から話は始まるが、読み進めるうちに、カフカを思わせる不条理世界が広がっていく。 解説ではカフカの他にベケットの名前も挙がっているが、確かに同じUブックスから出ている『ゴドーを待ちながら』にも通じるものはあるのではないか。 巻末の解説で、作中の仕掛けについて盛大にネタバレしているのはご愛嬌w 気にする人は先に解説を読んではいけない。 とは言え仕掛け自体はさほど複雑なものではなく、ある程度の読書量があれば予想がつく範囲。 3人の警官が現れる世界が妙に楽しそうで、死んだ後の世界がこうなら意外に悪くないんじゃないの、と思わせる。ところで、主人公があのまま処刑されてしまっていたら、果たしてどうなっていたのだろう?
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