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宇宙が始まる前には何があったのか? の商品レビュー

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39件のお客様レビュー

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2017/01/21
  • ネタバレ

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2013年(原著2012年)刊。著者は米アリゾナ州立大学教授?。  サイモン・シン著「宇宙創成」で解説された天文学・宇宙論史の、その後の時代を繋いだのが本書だと評し得るだろうか。  一般相対性理論とシュレディンガーらの量子力学発見の業績に軽く触れつつ、それ以降の宇宙論(特にダークエネルギー、インフレーション仮説とマルチバース仮説、物質・反物質の非対称性)の展開を詳述する。  数式を使わない点が文科系に優しい。  内容を見るに、空間がありさえすれば、極短時間のエネルギー発生がありうるという量子力学の基礎を呑み込めれば、非納得感はそれほどないはず。  とはいえ、空間(時間も)を生みだした原初インパクトはまだまだ把握し難い。  とはいえ、インフレーション仮説(指数関数的膨張仮説)に言及しつつ、佐藤勝彦氏の業績に何ら触れないのはなんともはや、と言わざるを得ない。  その一方、進化論すら聖書に矛盾するかどで否定的に見る米国一般の知的土壌において、「神」に対して理詰めで反旗を翻す著者の苦闘は想像するに余りある。それは本書の書き方にも如実に反映していることは明瞭だ。  加えて、著者自身のスタンス、すなわち、超弦理論には反対していないと目される叙述を展開しながらも、逆に、その理論の問題点を臆せずに展開するあたりは、著者の知的に誠実な姿勢を読み解けそうだ。

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2024/03/08

第7章の2兆年後には銀河系以外は見えなくなる。は大変に刺激的だった。ビッグバンモデルを支える3つの観測事実(ハッブル膨張、宇宙マイクロ背景放射、軽い元素の存在量)が分からなくなっているだろう、との指摘で、今という時代は、宇宙論的には本当に恵まれた時代であるという認識が述べられてい...

第7章の2兆年後には銀河系以外は見えなくなる。は大変に刺激的だった。ビッグバンモデルを支える3つの観測事実(ハッブル膨張、宇宙マイクロ背景放射、軽い元素の存在量)が分からなくなっているだろう、との指摘で、今という時代は、宇宙論的には本当に恵まれた時代であるという認識が述べられている。 他の章は、どこかで一度は読んだことのあるはなしでした。 ただし、キリスト教原理主義者を意識した記述がしばしば出てくるのが、日本人のわたしには違和感があった。宗教には、神には科学とは違った意味での役割があるだろうから。反神論をここで論じる意味はなかったと思う。

Posted byブクログ

2016/04/06

無神論者にならざる得ない物理学の重鎮(?)の苦悩に驚くとともに、科学の最先端が教える宇宙の神秘に心が躍る。目の前にある空間に真空が潜んでいることを想像できても、その真空に無限のエネルギーが隠れ潜んでるなんて信じられない。そして、2兆年先には我々の銀河からは他の銀河は見えなくなり、...

無神論者にならざる得ない物理学の重鎮(?)の苦悩に驚くとともに、科学の最先端が教える宇宙の神秘に心が躍る。目の前にある空間に真空が潜んでいることを想像できても、その真空に無限のエネルギーが隠れ潜んでるなんて信じられない。そして、2兆年先には我々の銀河からは他の銀河は見えなくなり、今のような宇宙観を持つことができなくなるなんて!それは、宇宙が始まって30万年は光より速く傍聴したため、その期間の光を我々は決して見ることができないのと同じことだ。なんて壮大な世界、なんて事実、なんて人が読むことに一切の妥協をせずに自分の伝えたいことに集中した本なのだろう!

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2018/08/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

最近の宇宙論を書いた本である。ビックバンから二兆年後の宇宙まで、宇宙の始めから終わりまでを論じている。 基本的には、宇宙は極小の点からビックバンによって、インフレーションを起こし、指数関数的に膨張し、現在の空間ができあがった。超新星の観測から宇宙の膨張速度は加速をつづけていることが判明し、空間の膨張速度は一般相対性理論の制約をうけないので、光速を突破する可能性があり、他の銀河は二兆年後には見えなくなる。銀河系もその一部である乙女座超銀河団とそのころには融合する。  宇宙の年齢は、絶対温度三度ほどの「宇宙マイクロ波放射」が、WMAPという観測衛星プロジェクトによって解っており、その年齢を算定すると137億2000万歳だそうである。そして、これほどの年齢であるためには空っぽの空間がエネルギーをもっていなければならず、宇宙の99%は見えない「暗黒物質」とか「暗黒エネルギー」といわれる未知の素粒子でできているということになる。  空っぽの空間はこのようにエネルギーをもっており、「無」から全てが生じるという、一般的な物理学の常識に反することが起こるそうである。宇宙に物質があるのは、初期宇宙の「量子ゆらぎ」により、反物質より物質のほうがわずかに多かったためであるが、「無」からは単に物質が生じるだけでなく、空間や物理法則そのものも生じてくることになるそうである。宇宙は「無」とか「空っぽの空間」とはことなり、極小の時間に生成消滅する「仮想粒子」で「煮えたぎるスープ」のようなものだという。  基本的に人類は進化の産物なので、動物としての偏見をのがれられないが、「好むと好まざるとに関わらず、宇宙はあるようにある」ので、宇宙をありのままにみることが重要であると力説している。人間やその他地球上の物質をつくっている炭素などの重い原子はビックバンによってできたのではなく、超新星爆発によってできたもので、右手と左手が違う星の残骸であった可能性が高く、人間は文字通り「星の子」なのだそうだ。

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2015/06/01

最新の宇宙事情、創成から未来像までをまとめた本。自分が一番宇宙の情報を集めてたのは20年以上前なので、そこからの違いに隔世の感すらある。とはいえ実際あんまり理解できず、ふんわり概念を得ただけだが。

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2015/02/13

宇宙論のトレンドが分かりやすく書かれている 量子の揺らぎで無から宇宙が発生した、とか複数の宇宙マルチバースとか中2病心をくすぶられる

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2015/01/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

なかなか難しい本で、量子力学を中心とした宇宙論の仕組み自体は、はっきり言って理解できなかった。しかし、この宇宙が無(これは時間的物理的に何もないことであり、極めて不安定なゆえに)から宇宙が生まれ、137億年経った現在も加速的に膨張しつつ、2兆年後には我々の銀河(そのときには天の川銀河は2倍の大きさのアンドロメダ銀河や他の銀河と合体したメガ銀河)だけがあり、今我々が見ることのできている数千億の他の銀河系等全ては宇宙の地平線の彼方に消え去り、もはやどんな(2兆年後の!)最先端科学的手法を使っても、ビックバンの痕跡すら観測できなくなるらしい、という事を知ることとなった。なぜそうなのかは理解不能だが・・・

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2015/01/07

村山斉氏の著作と併読推薦。標準理論、暗黒物質、ダークエネルギーなど最新トピックについて。 一兆年先、10の120乗の話がバンバン出てくる天文学のスケール感に酔う。 宇宙膨張などの一般的なトピックの説明も著者なりの解説になっているので、誰かの解説を引き写したような啓蒙書よりも読みご...

村山斉氏の著作と併読推薦。標準理論、暗黒物質、ダークエネルギーなど最新トピックについて。 一兆年先、10の120乗の話がバンバン出てくる天文学のスケール感に酔う。 宇宙膨張などの一般的なトピックの説明も著者なりの解説になっているので、誰かの解説を引き写したような啓蒙書よりも読みごたえがある。

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2014/10/23
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宇宙は137億2000万歳。 我々の宇宙は非常に大きいので、 不可能でないことは絶えず、どこかで起こっている。 閉じた宇宙の全エネルギーはゼロ。 宇宙はありうる限りもっとも対称的で何もない状態で始まり、物質は存在しなかった。 次の状態では対称性が崩れ、粒子が発生し、ビッグバンとなった。 空間そのものの性質に対しても量子力学の規則を当てはめられる理論が必要。 宇宙はひとつではないかもしれない。

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2014/10/11

サイモン・シンの『ビッグバン宇宙論』 (文庫化の際、改題され『宇宙創成』)を読んだ後に、 本作を読むとより理解が深まる作品だと思う。翻訳も同じ青木薫氏だし。 人類の探究心のすばらしさ、科学の素晴らしさに感動する。

Posted byブクログ