続・風の帰る場所 の商品レビュー
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・「君たちはどう生きるか」効果で文庫化されるだろうと見積もっていたが一向にされず、やきもきして単行本を買った。 ・4分の1はアリモノでお茶を濁した、やや志の低い単行本(渋谷陽一単独で単行本化しきれなかった?)だが、駿中級者にはほどよい駿所感。 ・前作の感想で〈駿へのインタビュアーとしては、ともかく続けてくれという懇談、そして次の回においては、だから前回私は駿さん続けるって言ったでしょー!? という、その鼻息に終始している。とはいえ駿も鼻フンフンの若者に対し、ジジイとして鼻の穴をフンフンしているので、共犯。素材としては悪くないが。1951評論家は、こういういけ好かないインタビュー集を材料にして色々考えなければならないんだろうね、難儀だねえ。〉と書いたが、宮崎駿1941年生まれ、渋谷陽一1951年生まれ、ってことは、年配と若者という構図はやや見当違いだった。 むしろ押井守1951年生まれと同い年で、ロック雑誌で、アニメ業界関係ない人に対して、駿がどれだけ話すかという、スペクタクルな本。 個人的な感想としては、業界外の人がフンフン鼻息出して迫ってくるのに対して、10歳年上の駿がまずまず応えながらもマスコミマンに「核心は分かるまい」と訴え続けているような、隔靴搔痒の感。 @ 2013/11/30発売 『崖の上のポニョ』『風立ちぬ』から引退宣言に向かうまでの5年間の12万字! 今年9月、長編アニメーション映画製作からの引退を発表した宮崎駿。1990年の創刊時から彼に幾度もロング・インタビューを重ねてきたロッキング・オンは、その貴重な言葉をまとめた単行本の第2弾を刊行します! 2008年の『崖の上のポニョ』から、最後の長編監督作品となった『風立ちぬ』までの5年間に雑誌CUTで行った4本のロング・インタビュー、そして徳間書店『出発点』にも収録されている、初演出作品『未来少年コナン』と長編監督デビュー以前のキャリアを語った2本を加えた計6本、12万字を一挙に掲載。映画監督・宮崎駿の本質に迫る決定版インタビュー集です!また、この第2弾刊行と同時に、『ナウシカ』から『千尋』までを語った宮崎駿のインタビュー集第1弾『風の帰る場所』の6刷も決定! 〇初めて人間に憧れる主人公を描く――2008年9月 「崖の上のポニョ」 〇もう少年が主人公の映画しか作らない――2010年9月 「借りぐらしのアリエッティ」 〇震災、そしてファンタジーの終わり――2011年9月 「コクリコ坂から」 〇初めて自らの映画に泣く――2013年9月 「風立ちぬ」 〇演出家・宮崎駿の誕生――1983年10月 「未来少年コナン」 @アニメージュ文庫「また、会えたね!」 〇宮崎駿はいかにしてできあがったのか――1984年3月 (長編監督デビュー以前総括インタビュー) @「風の谷のナウシカGUIDE BOOK」
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本音炸裂。隠しているところもあるだろうが。 〇ポニョ 抽象度を上げてシンプルかつ力強く。 今度こそ子供たちのために映画をつくろうと思った。 肯定的なメッセージ 女性は異界から平気な顔してくる。 東日本大震災で津波が来て、現実に追いつかれた。 〇ハウル 分からない奴はとことん分からないことが分かった 〇アリエッティ 米林監督にやらせた。今の時代は人間の方が小人になったなと思ったからこの企画を出した。 少年の存在っていうのは、悲劇にならざるを得ない。女性は元気。何も持っていないんです、少年っていうのは。少年が冒険に出ていけたのは戦後の10年間だけ。 ジブリの高齢従業員を養わなければならない。 〇トトロ トトロは美術的なピーク。 〇風立ちぬ 本当に何かやろうとする人間は、でかい声で叫ばない。 堀越二郎は兵器を作っているという自覚、なかったと思う。 庵野の悲劇は、自分がコピーのコピーのコピーだってことを自覚していること。 僕は自分のことを描いたんじゃない。堀越二郎を描いたんだ。 二郎を取り戻したんです。僕流に取り戻したんです。
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ロッキング・オンからの発行なので、「CUT」からのインタビューを中心に構成。 著者の世界観を知ることができたのは、巻末にある徳間書店の刊行物からの転載。面白かった。 作品を見てきてなんとなく感じていた、理想の女性のイメージもよくわかる。「僕らはみんなジムシィ」--、男性読者はす...
ロッキング・オンからの発行なので、「CUT」からのインタビューを中心に構成。 著者の世界観を知ることができたのは、巻末にある徳間書店の刊行物からの転載。面白かった。 作品を見てきてなんとなく感じていた、理想の女性のイメージもよくわかる。「僕らはみんなジムシィ」--、男性読者はすごく納得したはずだ。
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宮崎駿の口から魁男塾の名前が(笑) 自分が描いてきたものに現実が追いついてしまったという焦りが震災後のインタビューに見て取れる。 実に雄弁で、現代社会への憎悪が激しくて、宮崎駿らしい。
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上巻の方が圧倒的に面白い。 特にアリエッティの監督を過大評価して人が育っていることを捏造するような投げかけをしたり、ゲド戦記などについてはプロモーション上の都合なのか宮﨑駿に気をつかっているのか知らないが、不可侵領域が暗黙に感じられて読んでいて不快にさえなってしまう。これはよろし...
上巻の方が圧倒的に面白い。 特にアリエッティの監督を過大評価して人が育っていることを捏造するような投げかけをしたり、ゲド戦記などについてはプロモーション上の都合なのか宮﨑駿に気をつかっているのか知らないが、不可侵領域が暗黙に感じられて読んでいて不快にさえなってしまう。これはよろしくない。こんな褒められ方をされて喜ぶ人でも無かろうにと思うのだが。 未来少年コナンなど、今さら観直すことも無さそうな作品について語られるインタビューも収録するのであれば、何らかそれらのデータを並べても良かったのではないかと思う。前提の欠落したインタビューは空虚に感じる。一応、ウィキで調べながら読んだが、正直煩わしい。 なんとなく読み終えてしまう構成も含めて、編集上工夫の余地があったのではないかと思わせるという意味で、凡作。 宮﨑駿の話は、前作に引き続き興味深い。
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ポニョ、アリエッティ、コクリコ坂、そして風立ちぬの作品発表後のインタビュー集。そしてコナン、ハイジに遡る。ポニョの爆発的なエネルギーが宮崎にとって大きな意味のある作品だったと分る。やはり一作ごとに引退を意識したのだろう。「少年が主人公になると悲劇的になるので避けている」との言は興...
ポニョ、アリエッティ、コクリコ坂、そして風立ちぬの作品発表後のインタビュー集。そしてコナン、ハイジに遡る。ポニョの爆発的なエネルギーが宮崎にとって大きな意味のある作品だったと分る。やはり一作ごとに引退を意識したのだろう。「少年が主人公になると悲劇的になるので避けている」との言は興味深く、この人の深層心理にあるのだろう。主人公が少年を避け、魚、小人になっていった過程は面白い。「トトロが藝術的にピークだった。自然、日本の風土を愛情持って描いた」との言は、トトロ1作だけでも、宮崎が後世に残る仕事をしたと思う。「風立ちぬ」で宮崎が泣いた理由が、<悲しい場面ではなく、自分が意識しない形で自分を反映している場面>との説明は納得。宮崎は自分自身を描くことができ、それに反応したのだ。
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非常に才能のあるひねくれ者の物語作家が、自分の作品や社会状況、映画を取り巻く環境などについて語っている。とても面白い。 インタビュアーとしての渋谷陽一が、宮崎駿と非常に相性が良いように感じれられる。ちゃんと宮崎駿が気持ち良いように褒めるところを褒め(しっかり自分の言葉で)、突っ...
非常に才能のあるひねくれ者の物語作家が、自分の作品や社会状況、映画を取り巻く環境などについて語っている。とても面白い。 インタビュアーとしての渋谷陽一が、宮崎駿と非常に相性が良いように感じれられる。ちゃんと宮崎駿が気持ち良いように褒めるところを褒め(しっかり自分の言葉で)、突っ込むところを突っ込んでいる。 特に興味深かったのは、「最近の若い人はロケハンに行っても写真しか撮らない」というくだり。自分の目で見た自然の色ではなく、写真や映像を通して見た色しか再現できなくなっているらしい。 確かに、肉眼で見る自然と写真で見る自然とは色味が異なる。ロケハンで画を描くことの是非はともかくとして、絵で描くことでしか表せない(写真や映像では再現できない)情景というものが実は数多くあるのだ、と気づかされた。
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