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アノスミア の商品レビュー

3.5

6件のお客様レビュー

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2019/09/19

こんなこと初めてなのですが、装丁が受け入れられずに読み進められなかった。。 最初から目次や見出しのフォントが、なんでこんなファンシー?? と感じてたけど、内容と合わなくて読むのがきつくなってしまった…

Posted byブクログ

2018/11/05

シェフ見習いの若い女性が交通事故の後遺症で嗅覚を失う。そこからの回復の過程を、嗅覚に関する豆知識(?)を交えながら描く。 嗅覚は日ごろあまり気にしない感覚だが、失ってみるとシェフ志望ならずともその損失に驚くようだ。味覚と思っているものもかなりの部分は嗅覚だし、記憶や感情とダイレ...

シェフ見習いの若い女性が交通事故の後遺症で嗅覚を失う。そこからの回復の過程を、嗅覚に関する豆知識(?)を交えながら描く。 嗅覚は日ごろあまり気にしない感覚だが、失ってみるとシェフ志望ならずともその損失に驚くようだ。味覚と思っているものもかなりの部分は嗅覚だし、記憶や感情とダイレクトに結びついている感覚である。また、危険察知(火災、腐った食べ物)などの実利的な不利もある。 科学的な考察はあっさりめだが、嗅覚を失った当人の筆によるものなので、精細な心理描写は読み応えがある。自分の人生、それも特異な体験を元手にしているわけで。嗅覚の専門家の他、オリバー・サックスにまでインタビューしたり、香料業界に首を突っ込んでみたりと、著者の行動力あふれるところも読んでいて楽しい。出てくる食べ物の描写もおいしそう。 敢えて難を言えば、やや冗長なところか。アメリカ人は、本は長いほど上等だと思っている節がある。

Posted byブクログ

2016/08/04

休日に時間をとってじっくり読んで欲しい、知的好奇心を刺激する良本です。アノスミアとは、嗅覚脱失ともいう全く匂いの感覚が分からなくなる症状です。視覚や聴覚と違い、嗅覚がなくなっても日常生活にはさほど不便を感じないと思うかも知れません。しかし実際は、食事の味の半分は嗅覚で感じていたり...

休日に時間をとってじっくり読んで欲しい、知的好奇心を刺激する良本です。アノスミアとは、嗅覚脱失ともいう全く匂いの感覚が分からなくなる症状です。視覚や聴覚と違い、嗅覚がなくなっても日常生活にはさほど不便を感じないと思うかも知れません。しかし実際は、食事の味の半分は嗅覚で感じていたり、感情が嗅覚によってコントロールされていたりと、嗅覚の重要性は計り知れません。著者は幸いにもだんだんと嗅覚を取り戻していきます。その間に、嗅覚の専門家に会いに行き意見を聞いたり、他のアノスミアの患者と話しをしたりと、著者は精力的に匂いについて調べていきます。その過程で、人間にとって如何に匂いが大切であるかが分かります。それによって読者は、芳香も悪臭も自分の人生の欠かせない一部であると気付かされます。読み終わったときには、あなたの周りの匂いについて、今までよりきっと敏感になっているでしょう。

Posted byブクログ

2015/02/03

ピルを飲んでいる女性は、体臭が似ている男性に惹かれる。本来なら妊娠中に分泌されるホルモンが家族や親類に似たにおいを好むようにさせるからだ。 嗅覚神経細胞は再生可能。においに含まれる汚染物質や危険物の代謝にも関係するためとも考えられる。 選択的アノスミアという現象もあり、これは遺伝...

ピルを飲んでいる女性は、体臭が似ている男性に惹かれる。本来なら妊娠中に分泌されるホルモンが家族や親類に似たにおいを好むようにさせるからだ。 嗅覚神経細胞は再生可能。においに含まれる汚染物質や危険物の代謝にも関係するためとも考えられる。 選択的アノスミアという現象もあり、これは遺伝子の突然変異などにより特定のにおいだけわからなくなるもの。遺伝的に我々は異なる仕方でにおいを感じており、例えばアンドロステノンというステロイドはある人には「古くなった尿のにおい」、別の人には「花のような甘い匂い」に感じられ、中間はないという。 ワインの専門家に、白ワインをテイスティングさせると、「フレッシュ」などの表現をした。同じ専門家に、同じ白ワインを着色料で赤く染めてテイスティングさせると、「濃厚な」など全く異なる表現が得られた。

Posted byブクログ

2015/05/12

タイトルのアノスミアとは、嗅覚脱失、すなわち匂いを感じない状態のこと。 著者はシェフ見習いだった22歳の時に交通事故で大けがをおい、嗅覚を失う。 嗅覚のこと、食べる・作ること、仕事、恋愛、それらのある人生についてつづった手記。 嗅覚は地味だ。 なくなっても見えないし、他の機能の...

タイトルのアノスミアとは、嗅覚脱失、すなわち匂いを感じない状態のこと。 著者はシェフ見習いだった22歳の時に交通事故で大けがをおい、嗅覚を失う。 嗅覚のこと、食べる・作ること、仕事、恋愛、それらのある人生についてつづった手記。 嗅覚は地味だ。 なくなっても見えないし、他の機能の損傷よりもダメージが少ない(気がする)。 生活だって普通にできる。 だから、つらさを伝えにくいし伝わらない。 実を言えば私も読んでいて、ちょっと嗅覚を重視しすぎじゃないかと感じてしまうところがあった。 仕事の部分は面白かったし、伝わらないもどかしさには納得した。 コミュニケーションの不安もある程度はわかる。 失ったものが大きく見えるのも当然だ。 でも嗅覚だけで相手を判断するわけじゃないんだし、そこまでアイデンティティが揺らぐようなことかと思ってしまった。 嗅覚がないから人とちゃんと関われないのではないかという不安は、その状態に陥った人の反応としてはおかしくない。でも正しくない。 聴覚が欠けても視覚がなくてもコミュニケーションがとれている人はいっぱいいるんだから、地の文でフォローを入れないのは欠けた人たちに失礼じゃないか。 たぶん、著者は「自分の」いっぱいいっぱいな感情をそのまま描いているだけだ。 それを私は「人として」を語っているように受け止めてしまう。 著者が大切にしているものの多くは、私にとってはどうでもよかったり最初から持っていなかったりするものだ。 だから「こんなに大切なものを失ってしまったなんて人間として終わった」ぐらいな勢いの狼狽をみると、はじめから持ってない私を否定されているような気分になる。 全然そういう話じゃないんだけど。 食べ物や恋愛にたいする感覚が違いすぎた。 そういうわけで恋愛や人間関係に比重が傾く後半は微妙な感想しか出てこなかったけれど、嗅覚や仕事の部分は興味深かった。 もっと知られるべき事象だし、知ることができてよかった。 私この人と友達にはなれないな、と思うけれども本としては面白かった。 ・事故直後の描写、意識がはっきりするまで失った物に気づかない辺りなどは『昏睡Days』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4863850107とよく似ている。 ・著者の場合は事故による完全な喪失だったが、生まれつき嗅覚がない人やアレルギー等が原因の人、少しは嗅ぎとれるとか、存在しない匂いにわずらわされる人もいる。 ・生まれつき嗅覚がない人の中にも、喪失感にさいなまれている人がいる。 ・普段味覚で感じていると思っているもののかなり大きな部分に嗅覚が関わっている。 そういえば前にためしてガッテンで、無添加のリンゴ果汁よりも香料入りのリンゴ果汁のほうが「本物」らしく感じるとやっていたな。 文章が読みやすかった。 「性的志向」と、「繊切り」という言葉があったのだけ気になる。 志向は変換ミスかもしれないけれど、繊切りは何度か出てきたからあえてのはず。 千切りとは違うのかな。「チーズおろし器で繊切り」が想像できない。

Posted byブクログ

2014/01/19

アノスミアとは、嗅覚を失った状態をさすのだそうだ(ちなみに、一部わかるものはハイポスミア、存在しないにおいを感じるのは幻臭)。 一流大学を卒業しながらも、どうしてもシェフになりたくて料理の勉強を始めたばかりの著者が、交通事故にあったことで嗅覚を失い、一度は絶望しつつも立ち直り、も...

アノスミアとは、嗅覚を失った状態をさすのだそうだ(ちなみに、一部わかるものはハイポスミア、存在しないにおいを感じるのは幻臭)。 一流大学を卒業しながらも、どうしてもシェフになりたくて料理の勉強を始めたばかりの著者が、交通事故にあったことで嗅覚を失い、一度は絶望しつつも立ち直り、もがき続ける中で少しずつ回復してゆくまでの物語。 もっと科学的論証中心の本と想像していたのだが、どちらかというと、著者の体験を軸に、それを解明するべく専門家を訪ねて様々に検証した科学的視点も加えた手記という感じ。サブタイトルもだからこそ「物語」とするのがふさわしかったんだなと納得した。 ただ、非常に探求心の強い女性のようで、数々の著名人(あのオリバー・サックスも!)に会ったり、いろいろな文献を紐解いたり、はては香水の調香師の学校に通ったりと、自身の置かれた状況をより突き詰めて知ろうとする努力は並々ならぬものがある。それに加えて彼女の交通事故がかなりの重大事故であったにもかかわらず、驚異的な嗅覚の回復をみることができたラッキーも重なって、この物語に、単なる手記で終わらせない深みを持たせている。 実際、中で述べられている神経学的な考察は非常に興味深く、ラマチャンドランや、レイチェル・ハーツ(そしてもちろんオリバー・サックスも)、またフェロモンに関してや、共感覚についてなど、取り上げられている著作や関連事項は、それ単独でもとても興味を引くものばかりで、既読のものもいくつかあったが、これを機に手にしてみようと思うものも多くあった。 私にとってひとつ残念だったのが、それこそ学歴をなげうってでもシェフになりたいと思うほどの著者であるからこそ、料理や食にまつわる描写がとても豊かであったこと。 実は、私は自他ともに認める大の料理嫌い。やらずに済むなら一生やりたくないと心底思っているという不届きな輩。著者の綴る、におい立つほどの料理、食材の描写は、好きな人にはたまらなく豊穣な世界なのだろうが、私にはどうもピンとこず…。しまいに読むのが面倒臭くなってきて、そういう箇所は結構斜め読みになりました。すみません。 おそらく、脳科学や神経科学的なことに興味がなくても、料理が大好きな人なら本書は楽しめるのではないか。 そう考えると尚更、味の楽しみは実はそのほとんどがにおいだという事実からすれば、この著者を襲った体験がどれほど不運なことだったかとも思う。

Posted byブクログ