数学序説 の商品レビュー
図書館で借りた。 ちくま学芸文庫の数学書からchoice。最初のページから引用すると、「数学とはどんな学問か」を分かりやすく説明した本とのこと。ふむふむ、敢えて最近の本からもじれば、さながら『数学の世界地図』古典版といったところかな? ざっと読んでみると、数学史から世界を広げて、...
図書館で借りた。 ちくま学芸文庫の数学書からchoice。最初のページから引用すると、「数学とはどんな学問か」を分かりやすく説明した本とのこと。ふむふむ、敢えて最近の本からもじれば、さながら『数学の世界地図』古典版といったところかな? ざっと読んでみると、数学史から世界を広げて、ざっと数学の世界を紹介しているようだ。歴史が得意な文系寄りな方や、そもそも「数学史も好き!」って人は入りやすい切り口な気がする。 文庫ではあるが内容は濃いし、文庫にしては薄くない。それこそ地図帳的に本棚に起きつつ、専門書で深堀りしていくような存在がいいのかな。 目次でルベーグの名前もあったので「おっ、ルベーグ積分まで紹介するのか」と思ったら、名前だけだった(笑)
Posted by
本書は1954年3月に培風館より刊行、その後、改訂を経て、2013年3月に筑摩書房より文庫として刊行された。実に60年以上を生き延びてきたロングセラーである。 著者の吉田洋一(1898-1989)は、数学者・数学教育者で、また優れた随筆家でもあった。『零の発見』(岩波新書)は一般...
本書は1954年3月に培風館より刊行、その後、改訂を経て、2013年3月に筑摩書房より文庫として刊行された。実に60年以上を生き延びてきたロングセラーである。 著者の吉田洋一(1898-1989)は、数学者・数学教育者で、また優れた随筆家でもあった。『零の発見』(岩波新書)は一般向けの数学読み物として広く読まれた。 共著者の赤攝也は、吉田の娘婿に当たる数学者である。 本書は、 「数学者」を増やすためのものではない。素人でも数学を楽しむことができることを説明したい との著者らの意図から生まれている。 大学の一般教養における数学の教科書とするのが第一の意図であり、「教養としての数学」を平易な形で提供しようとするのが第二の目標である。 数学の成り立ちから発展、現代の最先端に至るまで、「比較的平易に」「技術的要素を極力少なく」記述されている。 エウクレイデス(ユークリッド)の「原論」、代数学の誕生、デカルトの幾何学、接線と微分法、面積と積分法、ヒルベルトの公理主義、群・環・体、実数と無限、確率と統計などが扱われる。 各章は比較的細かい節に分けられ、懇切な解説が加えられている。 文中の注や巻末には、さらに知りたい人向けの参考文献付き。 以下、書評ではなく、感想で。 個人的に、「数学のできる人になりたい」と漠然と思いつつ、大学教養以降はほぼ数学から離れて数十年。さて、何をどこからやればよいのかさっぱりわからない。教育テレビの高校数学Iなど見始めてみたが、基本的には数学が苦手だと思う子が受験期を切り抜けるための作りであるようで、それはそれでおもしろいのだが、自分が知りたいのは本当にこういうことなのか、というとよくわからない。 それで本書を読んでみたのだが。 幾何学と代数学のつながり、あたりは、はぁなるほど、とおもしろく読んだのだが、群・環・体となると「んー??」とよくわからない。やはり自分にはあまり数学的センスがないのかもしれないという身も蓋もない結論に傾きそうになる。 何とはなしに、物理も数学も、古典幾何学や古典力学のように直観的な目に見える世界から、複素数や多次元、量子力学などの、感覚とは離れた「理論」の世界に向かっているように見える。 自分はそちらに少しでも向かっていけるのかな? それは基礎をがっちり身に付けないと無理なのか? そもそもやはりセンスがないのか? よくわからないながら、もう少し、自分は数学のどこに惹かれるのか、何が知りたいのか、(まだあきらめずにw)断続的に考えてみたいと思っている。
Posted by
数学の壮大な歴史を紐解きながら、その動因と繋がりを示す名著。数学への興味がないとつまらないだろうが、私にはどの章も面白かった。 ユークリッドの幾何学の具体的な証明、代数学の萌芽、解析幾何学、微分法、取り尽くしの方法、ヒルベルトの公理主義、非ユークリッド幾何学、脱皮した代数学、直...
数学の壮大な歴史を紐解きながら、その動因と繋がりを示す名著。数学への興味がないとつまらないだろうが、私にはどの章も面白かった。 ユークリッドの幾何学の具体的な証明、代数学の萌芽、解析幾何学、微分法、取り尽くしの方法、ヒルベルトの公理主義、非ユークリッド幾何学、脱皮した代数学、直線を有理数で切る実数の概念、集合、濃度、証明論、確率
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
この本を読んで初めて数学というものを知ることができた。数学をもう一回勉強し直したいと思わせる本だった。 昔は数学の厳密さにイライラしたが、今はその厳密さをきれいに感じる。
Posted by
ユークリッド幾何、微積分から数学基礎論まで概念的なところから数学とは何かを解説する。数学の学問としての面白さに触れることのできる本。 大学で数学を学ぶとあれよあれよという間に抽象化の度合いが高まっていく。新しい概念を手に入れると何とも言いようのない高揚感を感じることができる。そ...
ユークリッド幾何、微積分から数学基礎論まで概念的なところから数学とは何かを解説する。数学の学問としての面白さに触れることのできる本。 大学で数学を学ぶとあれよあれよという間に抽象化の度合いが高まっていく。新しい概念を手に入れると何とも言いようのない高揚感を感じることができる。その一旦を初学者にも何とか理解してもらいたい、そういう思いで本書は書かれているように思う。高揚感を感じるには一定の努力は必要だ。だから、教養としての数学云々…と帯にはあるが、この教養は、昨今、流行のお手軽で日々の生活に役立つような教養ではない。もっと重厚で役立たずでそれでいて理解するためには読者に努力を強いる教養だ。 数学なんて役に立たないとある人はのたまう。しかし、役に立たなくたって、いや役に立たないからこそ、数学はこんなに面白い。(ところで、役に立つことばかり追いかけてしまうのは何故だろう?)有理数の切断として実数を捉えることで何かが変わるわけではない。でも、有理数の切断として実数を捉えることができればそこにある種の感動があることは間違いない。
Posted by
2014/03/13 購入。竹内薫氏が日経新聞の書評で絶賛してたので、今更だけどつい買ってしまった。それにしても、著者の吉田洋一氏は函数論やルベグ積分入門で、赤攝也氏は集合論入門で、それぞれ学生時代にお世話になった。
Posted by
永らく単行本で読み次がれてきた名著の文庫化は嬉しい限り。"素人でも数学を楽しむことができることを説明したい"と冒頭に書いてある。数学書を読むときは紙と鉛筆を手元において図や計算を確かめながらというのが一般的だが本書はその必要がないともある。云わば人類が歩んでき...
永らく単行本で読み次がれてきた名著の文庫化は嬉しい限り。"素人でも数学を楽しむことができることを説明したい"と冒頭に書いてある。数学書を読むときは紙と鉛筆を手元において図や計算を確かめながらというのが一般的だが本書はその必要がないともある。云わば人類が歩んできた道程を綴った短編集。接戦の考えから微分法へ、面積の考えから積分法へ、両者を繋ぐ代数学の基本定理へ、記述が淀みなく進む。結果がガチガチで誰がやっても同じと思われる数学という学問が実はヒトによって考えが大きく異なる極めて人間臭いモノだと感じられるはず。
Posted by
- 1