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内藤廣と東大景観研の十五年 の商品レビュー

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2014/11/27

筆者篠原の手に汗握る仕事を(自伝的に)振り返っている文体に、「死期が近いと悟ってでもいるのだろうか?」とさえ思わされて、不安になるような一冊(笑)。それは気になるものの、いくつかのプロジェクトでの人間関係(人間模様)だとか、後任や内藤氏の人事にかかわる話は面白い。内藤着任のころの...

筆者篠原の手に汗握る仕事を(自伝的に)振り返っている文体に、「死期が近いと悟ってでもいるのだろうか?」とさえ思わされて、不安になるような一冊(笑)。それは気になるものの、いくつかのプロジェクトでの人間関係(人間模様)だとか、後任や内藤氏の人事にかかわる話は面白い。内藤着任のころのワクワクを振り返るようだ。 また後半では、篠原の、「歴史(的背景)」への博識っぷりが印象に残った。元々は建築家といえば丹下くらいしか知らず、内藤の作品もほとんど見たことがなかったという篠原が、土木と建築の対比を志向するうち、近代(あるいはそれ以前!)からの両者の歩みについて熟知するようになったようだ。 その過程では前川國男に傾倒し、そのほとんどの建築作品をみたとも言い、「前川の5原則」までまとめあげた上、内藤こそ前川の正統をくむモダニズム建築家だという。篠原のデザインセンスの裏には、それを支える幅広い勉強と思考があるものなのだと感じ、感銘した。

Posted byブクログ