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かなたの子 の商品レビュー

3.2

46件のお客様レビュー

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    3

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2025/02/06

ホラーでもサスペンスでもなく背筋がゾッとする怖さ。夢とも現実ともわからない過去の罪に追われる恐怖や、人間の生死の描写がさすがだなと思う。

Posted byブクログ

2025/01/19

平成24年 泉鏡花文学賞受賞作品。巻末の安藤礼二さんの解説で「『かなたの子』は、ラフカディオ・ハーンの「子供たちの死霊の岩屋で」を読み直し、書き直すことで可能となった作品である」とありました。この「かなたの子」をはじめ、ここには 8つの短編が収められています。どれも暗闇の中で 命...

平成24年 泉鏡花文学賞受賞作品。巻末の安藤礼二さんの解説で「『かなたの子』は、ラフカディオ・ハーンの「子供たちの死霊の岩屋で」を読み直し、書き直すことで可能となった作品である」とありました。この「かなたの子」をはじめ、ここには 8つの短編が収められています。どれも暗闇の中で 命と死が入り混じり、前世と現実、 罪と罰を背負って生きる女たちの(或いは男たちの)荒く湿った 息遣いが聞こえるような作品群です。「おみちゆき」では、田舎に伝わる即身成仏した和尚の声に、「闇の梯子」では、わけのわからない言葉を呟くようになった妻に、ゾワリとした怖さを感じました。 ミステリー小説でもオカルト小説でもないのに、夜ひとりで この小説を読んでいると怖さを感じるのは、作者が、土俗的な因習と死や、身ごもる女や、生まれなかった子の心理を、ぐっと読み手の位置までたぐり寄せているからでしょう。 人は死ぬ瞬間まで生きているし、生まれる瞬間まで子宮という暗闇にいる、そのことを肉感的にあらためて感じさせる作品でした。 余談ですが、作者の角田光代さんは『八日目の蝉』の時にも感じたのですが、子を宿した時の体感や、母性を子宮感覚で表現するのがとても上手いと思います。ご本人はたしかお子さんはいらっしゃらないということですが、想像で書けるとしたら、本当に凄い作家だなと敬服いたします。

Posted byブクログ

2024/05/20

わー。色々たくさん、一つ一つのストーリーがあって、イメージしやすく読みやすく、とてもジーンとしました。これは、私が女だからかな。

Posted byブクログ

2024/04/26

 日本の古くからある民話や伝承の延長のような、ねっとりとした闇を感じる短編集です。  ホラーやオカルトといった雰囲気のお話が集まった一冊でした。  即身仏の話、田舎から上京した旧友との同窓会の話、押し入れの中の梯子の話、『道理』の話、前世の話、生まれる前に一人になった双子の話、...

 日本の古くからある民話や伝承の延長のような、ねっとりとした闇を感じる短編集です。  ホラーやオカルトといった雰囲気のお話が集まった一冊でした。  即身仏の話、田舎から上京した旧友との同窓会の話、押し入れの中の梯子の話、『道理』の話、前世の話、生まれる前に一人になった双子の話、生まれる前に死んでしまった子の話、パワースポット巡りのツアーの話。  どれも、読んでいる間に何とも言えない、暗い何かを覗くような感触がありました。虫の声がうるさい蒸し暑い真夏の夜に、突然ふっと虫の声が止んでねっとりとした重苦しい闇が迫ってくるような、明るいところにいてもそこここにわだかまる暗がりに何かが潜んでいる息遣いを感じるような、なんとも重たい短編が続きます。  この人たちは結局どうなってしまったのだろう、と話の最後に思うことが多かったですが、綺麗なオチでまとまらないからこそ、闇が深いように感じました。昔の日本には、もしくは今でもどこかの田舎では、こんな風習や伝承が残っていたのかもしれないと思わせるものがあります。  ファンタジーにも見えるような題材であるのに、妙にリアルな描写がファンタジーとして読ませない、リアルな『死』を感じました。

Posted byブクログ

2023/05/27

ホラー要素のある短編集 人生の道理について語るヨガ講師に恋してせいで振った元カノが数年ぶりに再会すると人生の道理について語ったりし出した「道理」が一番好きだった けどどの話も私的に消化不良起こす終わり方 角田光代の短編集はこのパターン多い、それでも作中にでてくる言葉選びとストーリ...

ホラー要素のある短編集 人生の道理について語るヨガ講師に恋してせいで振った元カノが数年ぶりに再会すると人生の道理について語ったりし出した「道理」が一番好きだった けどどの話も私的に消化不良起こす終わり方 角田光代の短編集はこのパターン多い、それでも作中にでてくる言葉選びとストーリーの最初から続きをどんどん読みたくなる文章で楽しく読めるからすごい あとは即身仏の話、飢餓のせいで子供を殺す女、生まれた時に死んだ双子の片割れにずっと見られながら生きてる女、死産した女、過去に同級生をスーツケースに誤って閉じ込めてしまって殺したことがずっとトラウマになってる男とかの話

Posted byブクログ

2023/05/11

ホラー?というのか? 内容としては 読見やすいかもしれないけど 見事に全ての話が好きにはなれなかった。

Posted byブクログ

2023/02/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

短編集。角田光代ってこんなホラー(というよりファンタジー?)も書くのかとちょっと驚き。 「おみちゆき」 村で即身仏となった和尚を掘り起こすと、無残に苦しむ姿でミイラ化。のちに見世物小屋で残虐な殺人鬼として紹介されるミイラと再会する。 和尚の真意はわからないけど、せっかくみんなの幸せを祈って死んだのにこの仕打ちはかわいそう。無常。このお話が一番まとまっているしオチもあって好き。 「同窓会」 暗闇を恐れる主人公。トラウマの原因は、昔スーツケースに入ったまま見殺しにした同級生だった。 遊びの延長で死んでしまった友達、という設定はよくあるのでそこからの同級生のどろどろを見たかったのにあっさり終わってしまった。 「闇の梯子」 謎の言葉を話すようになる妻。押入れの奥のはしごを登ると、謎の部屋があった。 え、結局なんだったの…?主人公までどうしちゃったの…?と消化不良。 「道理」 妻と喧嘩した男は元カノに電話をする。久々に会った元カノは、昔男が言った「道理」を信じて奇妙な発言を繰り返すのだった。 男がクズ野郎過ぎて元カノが狂った話。結局、妻まで道理と言い出したのは何だったのか…? 「前世」 母に殺される夢を見る女。嫁いだ女は口減らしに自分の子を殺す。 愛している子を殺すというのは、私には考えられないけどかつて日本で実際にあったこと。心が痛い。 「わたしとわたしではない女」 生まれなかった双子の妹に恨まれていると思いながら生きてきた女が、孫の出産に立ち会う。 結局生まれなかったのは誰なのか?境目があいまいになった。 「かなたの子」 女は生まれなかった子に「きさらぎ」と名をつけ、家族に内緒で会いに行く。妊婦なのに水なんかに浸かって大丈夫!?というのが気になってしまった。お腹の中の子ときさらぎの扱いの差…。 「めぐる」 パワースポット巡りの最中に倒れた主人公は、自分の子であるなつきのことが思い出せない。 この短編集はこの話を書くための習作だったのでは?と思った。結局なつきのことどうしたのだろう?虐待?殺害?許された感じになってるけど、それでいいの?

Posted byブクログ

2023/01/24

表題作を含む8編からなる短編集です。現実世界から地続きで不思議な世界に迷い込んでしまったような錯覚に襲われます。どれも深い話で珠玉の短編集だと思いますが、熱に浮かされて悪い夢を見ているような気分になります。

Posted byブクログ

2022/12/12

角田光代の短編集。ホラーかと思ったらそんなことはなく、世界観は違うのだけどすべて「繋がっている」というほかない作品集だった。 「前世」で語られるフレーズ、「私は母で、子で、だれかによって生かされただれかでもあったのか」がとても好きで、これまでふわっと考えてきたことがギュッとまとま...

角田光代の短編集。ホラーかと思ったらそんなことはなく、世界観は違うのだけどすべて「繋がっている」というほかない作品集だった。 「前世」で語られるフレーズ、「私は母で、子で、だれかによって生かされただれかでもあったのか」がとても好きで、これまでふわっと考えてきたことがギュッとまとまっていて、ずっと反芻している。 私の父や母、祖父母、その前の前の前のずっと前に生きていて私が血を受け継いだ人たちの誰か1人欠けても私はここにいなかったし、子供も生まれなかった。とんでもなく果てしなく、世界は全て繋がって巡っているのだという気持ちになる。 赤ちゃんの頃の子供に会いたくなる作品だった。

Posted byブクログ

2022/03/13

「前世」、なんて酷い物語。安藤礼二は「人々の間に昔から伝わる物語は、残酷で不気味で恐ろしい。しかし、そこには常に人間が背負わなければならない真実が語られている。それゆえ、悲しく美しい。物語を聞いた人々に、すぐには言葉にできないような感動をもたらしてくれる」と言う。オイラにはその真...

「前世」、なんて酷い物語。安藤礼二は「人々の間に昔から伝わる物語は、残酷で不気味で恐ろしい。しかし、そこには常に人間が背負わなければならない真実が語られている。それゆえ、悲しく美しい。物語を聞いた人々に、すぐには言葉にできないような感動をもたらしてくれる」と言う。オイラにはその真実はわからないし、知りたいと思わない。人殺しだ、しかも子殺しだ。時代、貧困とかオイラにはわからない真実があるのかもしない。子殺しをしてまで守らなければならないもの、生きていかなくてはならない訳……。そこに美しさなんてあるの。オイラは悲しいだけだ。「私」に笑う日が来ることが想像できない。

Posted byブクログ