私の暮らしかた の商品レビュー
「私の暮らしかた」というタイトルから ゆったりのほほんと暮らしている方のエッセイなのかなと思って借りましたが、 前半部分は、古き良き時代を讃えて、現代の日本や社会を憂いている内容が多く、思っていたのと違うなと感じました。 後半は心穏やかに読むことができました。
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著者に対して前知識があまり無かったので「ふわっ」とした人が書いた、ほっこりしたエッセイなのかと思ったが、とんでもない、しっかりとした真っ直ぐな人柄が滲み出る文章でした。 足りないものがあっても、今の暮らしは自分が選んで来たものであると納得して生きる。
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葉山の家、札幌の家、父と母のこと、庭の猫、四季のめぐり、歌をつくり歌うこと、友人たち…。大貫妙子が背筋のぴんと伸びた生きかたを綴る。『考える人』連載を単行本化。 シンプルで凛とした佇まいを感じる。
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彼女の歌が好きです。 繊細で透きとおった歌声も、外に向かって開いていくよようで、それでいてぶれない軸を持っているサウンドも好き。 「ピーターラビットと私」のようなかわいらしい曲も好きですが、「黒のクレール」がとにかく大好き。 なんて思いながら読んでいたら、彼女は歌のイメージのと...
彼女の歌が好きです。 繊細で透きとおった歌声も、外に向かって開いていくよようで、それでいてぶれない軸を持っているサウンドも好き。 「ピーターラビットと私」のようなかわいらしい曲も好きですが、「黒のクレール」がとにかく大好き。 なんて思いながら読んでいたら、彼女は歌のイメージのとおりの人でした。 しなやかで軽やかで軸がぶれない。 エコロジーについて、平和について、音楽について、決してきつい物言いではない、押しつけがましくない妥協のなさが心地よいのです。 “ステージで最も大事なのが、全部の音のバランスを決めるモニターだ。(中略)歌い手にとってはモニターから聞こえてくる自分の声が、いかに自分の声に聞こえるように調整するかで悪戦苦闘する。コンサート会場は音楽のために作られていない多目的ホールがほとんどなので、ステージ上にはホールのいたるところから、会場のスピーカーから出る音が跳ね返ってくる。(中略)とくに冬、たくさん着込んでくる方たちで埋まる会場は、その着ているものが音を吸収してしまうため、ステージ上は超ドライな音になってしまう。” “アナログによる録音は、実際には聴覚として耳で聴こえない中にもなお多くの音が存在する世界だが、デジタルは言うなればパルスみたいなものだから、物理的には音は繋がっていない。聴感としての音が繋がっているように聞こえているだけ、のものだ。(中略)LPからCDになったものは当然チェックしているけれど、LPの音を比較的忠実に再現しているものもあれば、すっかり痩せた音になっているものもあった。それは、CD化する人のセンスであり、さらにそれをプレスする機械の種類にもよる。” 音楽を生業としているから当たり前、なのかもしれない。 けれども、この音へのこだわりに圧倒されました。 “父は昭和二十年四月三日、鹿児島の知覧から沖縄特攻の第一弾として出撃した。まもなく敵八機のグラマン戦闘機の待ち伏せに遭い、オイルタンクを撃ち抜かれた。父の隼は機関砲二門に対してグラマン戦闘機は六門。そこから撃ち出される射弾は、真っ赤なアイスキャンディーの束のようだったという。” 彼女のお父さんは、いわゆる特攻隊の生き残りとして、多くの取材も受けたようです。 この時の凄絶な体験がその後のお父さんの死生観に一生消えない刻印を押し、それは彼女へも引き継がれていくことになる。 “近年もたびたび特攻隊を描く映画があるが、そのどれも、本当の特攻がどういうものであったかを描いてはいない。” 自分をせっかちだと言う大貫さんが、気に入った無水鍋を注文して “鍋を一年待つなんてしたことがないけれど、待つっていうのもいいなあと思う。そんなことあまりなくなったから。待てば待つほど届いたとき、その分嬉しいだろうと思うし、何でもすぐ手に入るって、あまり嬉しいことではないんだなという気持ちを久しぶりに味わっている。” 彼女が、ロンドンのエアー・スタジオで録音するはずだったアルバムを、急遽日本で録音することになった時に使用したのが、札幌の「芸森スタジオ」。 スケジュールの都合だけで決められた「芸森スタジオ」は、エアー・スタジオを設立したジョージ・マーティンがアドバイザーであり、レコーディング卓も元々はエアー・スタジオにあったものだとあとで知ったという。 きっと強い縁があったのだろうと。 そしてその後、別な縁で彼女は札幌にも居を構えることになった。 我が家と私の実家の間に家を借りているらしい彼女は、そこでまたネットワークを広げ絆を深めていく。 縁は運命的なものなのかもしれないけれど、絆って人の力なんだよなあって思いました。 その音楽のように、しなやかで軽やかで軸がぶれない生き方。 歌手としてだけではなく、人として好きな人になりました。
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読んだ 大貫妙子さん。 達観したニンゲンにしか描けない世界観。 (独身中年女性にありがちな偏見も若干あるが。)
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2013年で60歳を迎えたそうです。 ツアーの裏話や、札幌の暮らし、友人のことなど、飾りのない言葉は、大貫さんらしい。 彼女の音楽の聴き方が、ちょっと変わるかも。
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申し訳ないが、大貫さんのうたといったら、まともに覚えていないくらい、ただ名前しか知らない人だった。ああ、「風とライオン」を歌っていた人かな?と思ったら、尾崎亜美さんだった。このうたはわりと好きだったけど、人違いですね、ごめんなさい。 図書館でふと手にとって借りた一冊だった。 とこ...
申し訳ないが、大貫さんのうたといったら、まともに覚えていないくらい、ただ名前しか知らない人だった。ああ、「風とライオン」を歌っていた人かな?と思ったら、尾崎亜美さんだった。このうたはわりと好きだったけど、人違いですね、ごめんなさい。 図書館でふと手にとって借りた一冊だった。 ところが、このひとの文章を読み始めたら、不思議な説得力に捕らえられてしまった。彼女が原発を語るとき、けっして感情論ではなかった。父親の特攻について記すとき、事実の重みがずっしりとしていた。御蔵島へ行き、そこで感じたことが説得力を持って響いてきた。 どの文章も短いが、大貫さんの、一歩一歩踏みしめられた人生の足跡がくっきりとしている。自分がこう感じる、思う、ということを文章に書いて、伝えることの出来る確かさ。漢字のつかいかた、表現の自由なところ、文体のうまさ。ようするに魅力的な文章だった。 私は大貫さんの歌を知らなかったし、どういう人かも知らなかった。それでも本を読む楽しさを味わうことができたのです。 私はこの本を返却したら、自分のために購入しようと思う。私は大貫さんの書く文章のファンになりました。
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繊細で女性らしい楽曲が持ち味のわりには男っぽい性格という印象があった著者ですが、このエッセイでは、女性らしい繊細な感覚が瑞々しく溢れていて最初は楽しく読み始めました。葉山の自宅周辺の自然や猫の話題などを中心に描かれています。随所に同居されていたご両親のエピソードが紹介され、そのう...
繊細で女性らしい楽曲が持ち味のわりには男っぽい性格という印象があった著者ですが、このエッセイでは、女性らしい繊細な感覚が瑞々しく溢れていて最初は楽しく読み始めました。葉山の自宅周辺の自然や猫の話題などを中心に描かれています。随所に同居されていたご両親のエピソードが紹介され、そのうちに相次いで亡くされることになるわけですが、その経緯について描かれている箇所はとても優しく寂しい思いが溢れていて、エッセイを読み終えたというよりは、細やかな感性で書かれた私小説を読み終えたような読後感が残りました。
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この人の透明感あふれる歌声が好き。 で、エッセイも読んでみた。すごく丁寧に生きている人(生活している)なんだな。 真摯に自然と向き合って(田植えまでしているし)高齢の両親と同居して料理も作って。父親は特攻隊の隊員で本まで出していたとは。 その両親も相次いで亡くなり、その欠乏感は想像に難くない。 得るものがあったという、”ダイアログ・イン・ザ・ダーク”行って暗闇の対話くを体験してみたい。
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雑誌「考える人」に連載されていたエッセイ。2006~2013年。震災前からグリーンエネルギーの必要性を説き、原発につよう反対する大貫さん。老いていく両親を最後まで自分の家でいっしょに暮し、見送った大貫さん。 コンサート中の大変さと全く違う大変さに感動する米作り。 大貫ワールドは、...
雑誌「考える人」に連載されていたエッセイ。2006~2013年。震災前からグリーンエネルギーの必要性を説き、原発につよう反対する大貫さん。老いていく両親を最後まで自分の家でいっしょに暮し、見送った大貫さん。 コンサート中の大変さと全く違う大変さに感動する米作り。 大貫ワールドは、こうして出来上がっていく。
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