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灰色の虹 の商品レビュー

4

73件のお客様レビュー

  1. 5つ

    16

  2. 4つ

    34

  3. 3つ

    15

  4. 2つ

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2022/01/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

前半のイライラは半端ない。 犯人に仕立てようと必死なあの刑事にも、曖昧な証言をした目撃者にも、志もやる気もない弁護士にも本当に腹が立って仕方なかった。 こんなクズ達が運悪く揃ったのはリアリティに欠けるけど、冤罪の恐怖はゾッとするほど伝わった。 今回しんどくてあまりにも救いがなくて、なかなか読み進められなかった。 最後まで信じてあげていた母親の愛の深さに泣けた。 こんな感情いけないのはわかってるけど、フィクションだからこそ殺されていく事にスッキリしてしまう自分が… いや、これは…ずっとしんどかったわ。

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2021/12/19

冤罪で刑に服した江木が出所した。 その直後、事件の関係者が次々と殺される。 本作では殺される側の人間と江木、2つの視点で物語が展開される。 とにかく江木の章はキツイ。 少しずつ希望を削り取られ疲弊していく様がひしひしと伝わるため、何度も中断しようかと思った。 逮捕されるまでの過程...

冤罪で刑に服した江木が出所した。 その直後、事件の関係者が次々と殺される。 本作では殺される側の人間と江木、2つの視点で物語が展開される。 とにかく江木の章はキツイ。 少しずつ希望を削り取られ疲弊していく様がひしひしと伝わるため、何度も中断しようかと思った。 逮捕されるまでの過程を読みながら「こうやって殺人犯の烙印を押されるのか」と心底ゾッとした。 悲しくてやるせない結末に胸が痛む。

Posted byブクログ

2021/10/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

冤罪と復讐をテーマにした重い話。 人の記憶の曖昧さ、ミス、間違った正義、間違いは起こさないという傲慢さ、自分が思い描いたとおりに話を作り上げ、それがあたかも真実だとねじ伏せる怖さ。 犯人を捕まえたい、罰したいと思う、警察・検察などの思いは、一致しているのにAという犯人ではなく、Bを犯人にして「事件解決!」と思えるのが怖い。事件によっては、数ヶ月から何年、(何十年も)かけて調べて、最後、自分が作った証拠と言えない証拠、でっち上げ、穴だらけの証拠、誘導尋問で納得することが、現実でも発生していると思うと怖い。 事件解決の快感、階級・出世、功績、ずれた正義、都合のいいもの、手っ取り早いもの、流れ作業、罵声、脅し、嘘、証拠の不正確さ、でっち上げなどのフルコース。 あらすじ、タイトルで重い話だとはわかっていたけど『灰色の虹』というタイトルが、グッとくる。 見えていて、色があるのに絶望的。どんなことをしても、色はつかないんだと。どんなに色を重ねても灰色は黒にはなるけど、明るさは二度と取り戻せない。見えない方が、まだましなのではなど。 読みながら、いろいろ考えた。 日々、事件のニュースは流れる。 犯人の名前、被害者の名前、事件の内容。自分達が知るのは最初だけ。メディアが取り上げるもの以外、続きは知らない、調べないし、調べたとしても深くは知れない。その中に、どれだけの誤りがあるのだろう、どれだけの江木がいるのだろうか。 余談 昔、面白い先生がいた。 授業中、知らない人が入ってきて三分ほど先生と会話をして去ってゆく。そして、30分後に、『さっき先生と話をしていた人はどんな人でしたか』というテスト・実験があった。その先生の授業が好きだったので、暇潰しにその人の絵を描いていたから、40代、女性、中肉中背、服の特徴、帽子を被っていたなどはノートにあって、身長はだいたい先生と同じくらいだったなぁとか、わかったけど、そもそもそんな人をみていないとか、先生が嘘を言っていると言う驚きの発言まであった。見ていたはずの人も、男だった、学生だった、用務員さんでしょなど、意見はバラバラだった。最後に三人が出てきて『さぁ、この三人の中で誰でしょう』となったとき、わからなかった。一人は確実に違うことは、わかるけど、二人は似たり寄ったりだったからだ。人を見分けるって難しいと思ったことを思い出した。 小説の中に出てくるグレーのパーカーの男。 なんと曖昧な…。道を歩けば何人と出会うことやら。

Posted byブクログ

2021/09/22

キャラクターの造形がわざとらしいと感じる人もいるかもしれません。しかし、それぞれのキャラのわざとらしさがありそうなことだというリアリティを醸しだすのに効果的だったと私は思います。

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2021/06/07
  • ネタバレ

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「冤罪」と「復讐」いう重いテーマでした。 「冤罪」が発生するきっかけや、仕組みが刑事、検事、裁判官、弁護士、目撃者を通して描かれています。 強い正義感や責任感をもって希望した職業に着いた人達が、慣れや思い込み、メンツを気にして取り返しがつかないミスを発生させる怖さを感じました。 私達も仕事のミスの原因の大半は、きっとこうに違いないと言う「思い込み」であることを経験上知っています。だからこそ、組織としてのチェック機能、他者の意見が重要なのですが、そう言った機能がない、また言えない空気感が暴走させてしまったのではと感じました。 こうなってしまうと犯人にされた人には底知れぬ絶望感しかなく、江木や両親、姉弟、婚約者達に感情移入してしまうほど心理描写が詳細に描かれています。 特に子供を最後まで信じる母親の言葉には涙が溢れました。 ただ一つ、疑問に感じたことは、山名刑事も、この事件の関係者が次々に死亡しているのはきっと犯人は「江木に違いない」と証拠もなく「思い込み」で捜査を始めたことです。 これも一歩間違えれば、と思いながら読んでました。 「復讐」は許されるものではありませんが、「冤罪」と結びつけ、考えさせられる作品になっています。 おすすめしたい本の一冊です。

Posted byブクログ

2021/03/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

3/26読了。 がっつり冤罪テーマの本は2冊目。 より一層冤罪について深く考えさせられた。 冤罪を被った人が今実際に刑に服しているかもしれない恐ろしさ。 普段見るニュースは大抵よく聞くような怨恨、強盗、狂った無差別、、 被害者でも家族でもなくても憤りを感じる犯人像。それが当たり前で過ごしている人にとっては捕まった犯人はただの悪い人にしか映らずそれ以外のなにものでもなかった。 江木の為人を知る彼女でさえ分からなくなるのも、それは裁判までの過程で間違いがあるわけない、あってはいけないものって誰もが分かってることで、、どれだけ信用している人でも最高裁まで有罪という判決をしてしまう積み重なった間違い。ほんと恐ろしい。特に適当な証言の目撃者、あんなの正義でもなんでもない。 それにしても母親の信頼を貫く姿勢と強さには脱帽。でも誰が本当の犯人だったのかまでは書いてほしかった。(冤罪テーマがメインだから省かれても仕方ないとも思うけど) 最後が江木の幸せなときで終わるのは良かったような複雑な感情で涙でた

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2021/02/07

冤罪の話。 人とのコミュニケーションが苦手な江木雅史。 そんな彼がたまたま上司の物言いに腹が立ち、言い争いになった夜、その上司は殺された。 江木にはその殺人については関わっていなかったが、その日の言い争いや夜のアリバイがなかったことから、自供を迫られる。 警察の脅しともとれる取り...

冤罪の話。 人とのコミュニケーションが苦手な江木雅史。 そんな彼がたまたま上司の物言いに腹が立ち、言い争いになった夜、その上司は殺された。 江木にはその殺人については関わっていなかったが、その日の言い争いや夜のアリバイがなかったことから、自供を迫られる。 警察の脅しともとれる取り調べ。 検察官も江木の言うことは聞き入れてくれなかった。 絶望的な中、江木には殺人者としての判決が下る。 刑期は終えたが、全てを失ってしまった江木は復讐に走る。 ただ、判決までの江木のことを見ているこちらにとって、江木のしていることが悪いことだとはわかっていても、批判することは難しいと思ってしまう。 一人の人間の人生を左右するということの重さをあらためて感じる作品だった。 2021.2.7

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2021/01/25

常日頃、私自身がこの世の中で一番悔しい事は「冤罪」だと思っているので、かなり興味を持って読みました。 日常の生活の中でさえ人から疑われたり、信じて貰えない事は悔しい事であるのに、それが犯罪(殺人事件)での冤罪となれば、それ程悔しい事はないのではないでしょうか? 今回の主人...

常日頃、私自身がこの世の中で一番悔しい事は「冤罪」だと思っているので、かなり興味を持って読みました。 日常の生活の中でさえ人から疑われたり、信じて貰えない事は悔しい事であるのに、それが犯罪(殺人事件)での冤罪となれば、それ程悔しい事はないのではないでしょうか? 今回の主人公、江木雅史(えぎまさふみ)とその母の苦悩があまりにも辛くて可哀想で、復讐自体(殺人)は当然悪いことと思えても、肩入れしてしまう自分がいました。 もし自分が冤罪になったら…と想像しながら感情移入して読めた一冊です。

Posted byブクログ

2021/01/13

かなり重い内容の小説でした。 殺人の罪を着せられて有罪判決を受けた 無実の男の物語。 警察官も検察官も弁護士も 自分は間違えているとも悪いことをしたとも気付いていない 自分のしたことで一人の人間の人生が とことんまで狂わされたことに気付かぬまま 普段の態度を見ていると、殺され...

かなり重い内容の小説でした。 殺人の罪を着せられて有罪判決を受けた 無実の男の物語。 警察官も検察官も弁護士も 自分は間違えているとも悪いことをしたとも気付いていない 自分のしたことで一人の人間の人生が とことんまで狂わされたことに気付かぬまま 普段の態度を見ていると、殺されても仕方ない 天罰と言われても当然 とも思える もっとも殺されていい人間なんていないんだけど 一番最後に、江木がもっとも幸せであったろう頃のシーンが 描かれているのが辛かった 冤罪って恐ろしい だけどそれをどこで判断すれば

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2019/09/29

身に覚えのない殺人罪で刑務所にまで送られた江木雅史。彼は自分を冤罪に陥れた刑事に検事、弁護士、そして裁判官への復讐を誓う。殺人を犯してまでも復讐を成し遂げようとした江木の真意とは…。 キーワードは“灰色”。灰色のウィンドブレーカーに、灰色の空、灰色の心、灰色の虹、そして灰色の世...

身に覚えのない殺人罪で刑務所にまで送られた江木雅史。彼は自分を冤罪に陥れた刑事に検事、弁護士、そして裁判官への復讐を誓う。殺人を犯してまでも復讐を成し遂げようとした江木の真意とは…。 キーワードは“灰色”。灰色のウィンドブレーカーに、灰色の空、灰色の心、灰色の虹、そして灰色の世界。 無実の罪で逮捕されてから、江木雅史を取り巻く環境は、全てが灰色に変わってしまった。 こんなに不幸な人、いる?と何度も本を閉じて考えてしまうほど、気の毒な主人公。冤罪がいかにして作られるのか、よく分かった。だが、刑事も、検事も、弁護士も、裁判官も、皆それぞれの「正義」を信じて任務を遂行していたことは間違いない。では、誰が悪いのか? 実は、彼らの誰も悪くはない。それは犯人に仕立て上げられた江木雅史自身もそうだ。本書に出てくる人物の誰もが悪人ではないが、1人の無実の人間の人生を破壊したことも間違いない。それをキーワードの“灰色”で表現している気がする。 貫井徳郎さんらしく、ストーリーに救いはないものの、最後まで母の愛だけは確固たるものとして存在していたことがありがたかった。

Posted byブクログ