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大奥(第十巻) の商品レビュー

4.5

85件のお客様レビュー

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    39

  2. 4つ

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知識の継承を邪魔するもの。

日本固有の赤面疱瘡という伝染病で、男が激減した江戸時代。将軍も女が継ぐことになって150年――。八代将軍吉宗の意向で赤面疱瘡の解明に挑み、十代将軍家治の御代でワクチンが開発されるが―!? 以前京都を旅行した時に色んな寺社仏閣で「――の戦いによって消失。現存しているものはその...

日本固有の赤面疱瘡という伝染病で、男が激減した江戸時代。将軍も女が継ぐことになって150年――。八代将軍吉宗の意向で赤面疱瘡の解明に挑み、十代将軍家治の御代でワクチンが開発されるが―!? 以前京都を旅行した時に色んな寺社仏閣で「――の戦いによって消失。現存しているものはその後建て直されたものである。」という表記がやたらとあり、全然歴史に詳しくないながらも憤りを感じたことを思い出した。 涙ぐましい努力で築き上げた知識の継承が、時の権力者の一声で簡単に潰されてしまう。牙も爪も脚力も持たない人間の唯一の武器である知識の継承を途絶えさせるもの。その罪の重さは計り知れないものがあると思う。 赤面疱瘡の解明に真摯であった者達が美しければ美しい程、権力争いの一環としてしか行動できない者達の醜さが浮き上がる巻になったと思う。解明に関わった方達のご冥福をお祈り申し上げます。 また菊乃丞は最悪だけど、源内がそれを余りあるイイ男?っぷりで包み込んでて脱帽です。懐深すぎです。お春さんの話は野菊の墓を思い出してしまった。しかも最期のセリフが・・・!!昔の方の奥ゆかしさが出てて良かった!!

ゴロー

2024/05/21

大奥第10巻。 源内は逆恨みから暴行され、その際に感染させられた梅毒で命を落とす。 田沼意次は、赤面疱瘡をなくすために奔走するなど、人一倍民のことを考えて政を進めていたにも関わらず、何も知らない民衆から逆恨みされたり、娘の意知が殺されたりと、読んでいて気の毒になった。 将軍家治に...

大奥第10巻。 源内は逆恨みから暴行され、その際に感染させられた梅毒で命を落とす。 田沼意次は、赤面疱瘡をなくすために奔走するなど、人一倍民のことを考えて政を進めていたにも関わらず、何も知らない民衆から逆恨みされたり、娘の意知が殺されたりと、読んでいて気の毒になった。 将軍家治にヒ素を飲ませ続けたのも、意次を失政させようとする出羽守が絡んでいたのか。ドロドロした権力争いの構図。

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2024/05/18

源内の身に降りかかった暴力(その裏に治済あり)、青沼への冤罪、そして処刑(やはり治済あり)… 黒木の慟哭に心を揺さぶられました。 田沼意次も気の毒…脳がありすぎ、嫉妬され恨みを買う…世の中にはそういうことが実際にあるんだろうな… 黒木の慟哭に、泣けてきたので記録しました。 追...

源内の身に降りかかった暴力(その裏に治済あり)、青沼への冤罪、そして処刑(やはり治済あり)… 黒木の慟哭に心を揺さぶられました。 田沼意次も気の毒…脳がありすぎ、嫉妬され恨みを買う…世の中にはそういうことが実際にあるんだろうな… 黒木の慟哭に、泣けてきたので記録しました。 追記 12巻で、黒木は穏やかな最期を迎えます。 でも、いろいろ思ったでしょう…

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2024/01/27

細菌はそれ自体がれっきとした原核生物であり遺伝子として安定した二重鎖DNAを持っているのに対してウイルスはDNAかRNAのどちらか一方の遺伝子しか持たず自身だけでは遺伝子情報を読み取り蛋白質を合成して子孫を残す事が出来ない これは瘡毒_梅毒の症状だ ワクチンの副反応で死んだ患者の...

細菌はそれ自体がれっきとした原核生物であり遺伝子として安定した二重鎖DNAを持っているのに対してウイルスはDNAかRNAのどちらか一方の遺伝子しか持たず自身だけでは遺伝子情報を読み取り蛋白質を合成して子孫を残す事が出来ない これは瘡毒_梅毒の症状だ ワクチンの副反応で死んだ患者の第一号であった 印旛沼の干拓事業は即刻中止せよとの上様よりのお達しで御座いまする 俺の母親はオランダ人相手に体を売る丸山遊女だった 青沼の手で人痘の接種を受けた豊千代は元服して家斉と名を改め_三代将軍家光以来初の男子の将軍として江戸幕府の頂点に君臨する事となる

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2023/09/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

平賀源内 いろんなドラマで 描かれているけど いろんな描き方があるだけに どういう結末になるかは知っていただけに この時間が来ることは知っていただけに やっぱり来るんだよね、この時は 進んだ道は このまま進んでいけるのだろうか 気になる展開です

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2022/12/27

徳川家治の時代。老中田沼意次。 赤面疱瘡の予防法を確立すべく動き回る、平賀源内、青沼、黒木、伊兵衛たちの活躍が見応えあり。 しかし田沼は失脚し、青沼は斬首、源内も命を落とす。 裏では徳川治済が暗躍しはじめている。 史実からの改変が大きく、構成がダイナミックで面白くなってきたー。

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2021/12/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読み進めるのがとても辛い巻。 江島生島事件の時に近い気持ちだ。 どうして罪もないどころか、真面目に頑張っていた人たちが こんな目に遭わなければならないのだろう。 失脚を覚悟していた田沼意次が凛々しく だからこそ救ってあげたかったし 青沼がお咎めが自分だけで済んで良かったというところに 泣けてくる。 そこまでしなくとも、というくらい、手強い『敗者』に対して 非人道的な振る舞いをして徹底的に潰そうとするのは いつの時代のどの歴史を見ても同じだ。 自分は主に幕末を勉強してきたのだが その時代でも庶民は政治に興味がなく、言いたい放題で そうやって鬱憤晴らしでストレス解消をしようとしていて、 結果そのせいで何がどうなって、国がどのような方向に行くのか まで考えている人は少なく 目先のお金欲しさに敵軍に自分の殿様を売ったりしている。 真実も知らないのに、歯がゆいことだ。 源内さんの最期も哀しかった。 汚い人たちに目をつけられなければ、彼女だって幸せに生きられたかもしれないのに。 それでも最後まで源内さんらしく、また黒木さんの方でも真実を告げず。あの世で青沼さんに会えて、びっくりしただろうか。 これまであまり感情を表に出さすにいた黒木さんの慟哭が切ない。

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2017/01/28

蘭学が入ってきたあたりから、泥々した権力争いや男女の哀切な情愛が薄まってきて、大奥に良い空気が流れてきたように思ったけど、やはりそれでは終わらせないよしなが先生。 平賀源内の底抜けの明るさと聡明さ、青沼の強い意志と優しさが際立っていました。電車で読んでて泣きそうになった…。さて1...

蘭学が入ってきたあたりから、泥々した権力争いや男女の哀切な情愛が薄まってきて、大奥に良い空気が流れてきたように思ったけど、やはりそれでは終わらせないよしなが先生。 平賀源内の底抜けの明るさと聡明さ、青沼の強い意志と優しさが際立っていました。電車で読んでて泣きそうになった…。さて11巻へ。

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2017/01/24
  • ネタバレ

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ネタバレ 田沼意次編完。そして松平定信政権期へ。◆漸う史実から抜け出そうという意図、つまり、歴史を物語として語る意味が見いだせた田沼編。吉宗編の片鱗を大々的に展開してきたのは田沼編だ。理由不明だが、作り手の自由度が増した印象が強い。◆その中で、特筆すべきは青沼吾作(蘭人との混血児で蘭方医学の指南役)と平賀源内(男の扮装をするが実は女)であろう。ジェンダーのゆらぎを語りうる男女逆転物語の中、従前はどうしても愛憎劇に偏りがちで、女性が子供を産む性の意味(生物学的な意味合いが強い)からみて、首を傾げる件が散見された。 ◇しかし、仕事が絡んでくると、生物学的視座を超えて、社会科学的な意味合いを付与することが可能になる。男女逆転の物語は、こうして初めてジェンダーの物語として説得力を持ちうるのだろう。◇それが表れているのが、実は女の源内の死である。彼女は、他の女性たちから待遇面(能力でないところが心憎い)での厚遇による嫉妬を受け、それに起因する強姦・梅毒罹患による死を迎えるが、多少の誇張・作りすぎのきらいは置くとしてもなかなか見応えのある風刺図。◇こういうのが出てくると、男女逆転の物語として十分楽しめるものと思えてくる。

Posted byブクログ

2023/10/18
  • ネタバレ

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2016.10.23市立図書館(長女) →2020.7購入 前巻に続いて家治編。赤面疱瘡解明に尽力する源内の来し方、青沼門下の伊兵衛の来し方。自由奔放すぎるけれど愛すべき源内、なのになんと理不尽な…。家治の世継ぎ家基の死、江戸に相次ぐ大洪水に大地震、浅間の噴火からの飢饉、田沼意次の失脚、家治の死に伴う粛清…そして11代将軍は… 読み終えてあらためてみると、カバーのみなの笑顔がかなしい。何代にも渡る悲願をついにかなえたというのに。 平賀源内は記録や伝承の逸話を散りばめつつ、赤面疱瘡解明という一つ事に尽力する情熱は今までにないイメージ。8巻の家重の代に大奥御膳所に入った料理人芳三の鰻丼が、源内の手土産のうなぎで再び大奥に供され、源内を介して城下に文化として広まっていく。そして赤面疱瘡の予防接種もまた。 表紙は赤面疱瘡撲滅チーム。 *** 2023年ドラマ10「大奥2」(脚本:森下佳子)をみながら読み返している。 シーズン2の始まりは8巻終盤から。医療篇第二回は前の巻中盤からこの巻前半辺りまで。源内の城下での暮らし、菊之丞とのあれこれや鰻は登場しそうにないが赤面疱瘡撲滅にフォーカスしてうまく再構成しているなと思う。医療篇第三回はこの巻の最後まで。死病に冒されつつ赤面疱瘡撲滅のために奔走する源内、人痘接種を軌道に乗せるも副反応死の責任を問われる青沼、そして将軍(権力)の座をめぐる女たちの思惑で命を蝕まれる家治母子とさまざまな言いがかりで老中の座から追い落とされる田沼意次。こうした人びとの無念を目の当たりにしてきた黒木の叫びまで涙なしにはみられなかった。 當真あみ再登場を期待した意次の子意知がドラマ版では割愛だったのが惜しかったが、伊兵衛がどさくさまぎれに人痘接種第一号になる場面展開はお見事だった。

Posted byブクログ