検事の死命 の商品レビュー
第2話の「業をおろす」は、「検事の本懐」の中の「本懐を知る」の完結編ということだったので、もう一度「本懐を知る」も読みなおした。そうそう、そんな話だった、と遠い記憶が蘇ってきた。 「業をおろす」では、佐方貞人の父親の真意がわかることになっているのだが、読み終わってじっとりと重苦し...
第2話の「業をおろす」は、「検事の本懐」の中の「本懐を知る」の完結編ということだったので、もう一度「本懐を知る」も読みなおした。そうそう、そんな話だった、と遠い記憶が蘇ってきた。 「業をおろす」では、佐方貞人の父親の真意がわかることになっているのだが、読み終わってじっとりと重苦しいものが残った。 確かに、正義だろうし、約束を守る信義の人なのだろうが、こういうタイプの人がいちばんはた迷惑なんだよなあ、とため息つきたくなるような気持ち。 自分は約束を守って満足だったろうが、根っこにある事実が恥ずべきことだっただけに、約束を守れば守るほど傷つく人が増えてしまうのだ。 こんなに周囲の人を苦しめて傷つけて、それで黙ったまま死んでしまう。残ったものにも沈黙を確約させるというのは、ほんとに業の深い人だと思う。これが正義なのだとしたら、そんな正義はいらない。 表題作の「検事の死命」も、戦い方こそ緊迫感のあるものなのだが、争っている案件があまりにも卑小で、そんな事件のためにそこまでムキになることもないんじゃなかろうか、とつい思ってしまう。 どんな事件であろうとも全力であたる、という姿勢を表現するためなのだろうが、感情移入しにくいことおびただしい。 それでも筆力があるから、最後まで興味深く読み続けることができる。 主人公の飄々とした佇まいは、魅力的であると同時に、鼻持ちならないものを感じるので、むしろ事務官の増田に感情移入してしまうなあ。
Posted by
大好きな作家さんのひとりです。 本の出るペースがゆっくりなのでよけい期待しちゃうんですが、 期待を裏切らない面白さ、これこそ正義は勝つ!! おもしろいです。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
前作「検事の本懐」に続き佐方検事を主人公としたお話。 前作で分かった佐方の父親の実刑を受けた考え方をこれまでその罪にさいなまれてきた 家族が知ることとなったのは良かった。 佐方の政治権力や検察上層部の圧力に押されることなく真実を導き出し、それを貫く姿勢が好き。
Posted by
ヤメ検弁護士の物語としてスタートしましたが…、 その検事時代のエピソードを描いた前作の出来が、 とてもよかったためか、本作も、引き続き、 検事時代のエピソードを描いた短中編集でした…。 検事小説としての醍醐味は、 後半の中編(2編)といぅことになるでそぅが…、 前作に比べると、...
ヤメ検弁護士の物語としてスタートしましたが…、 その検事時代のエピソードを描いた前作の出来が、 とてもよかったためか、本作も、引き続き、 検事時代のエピソードを描いた短中編集でした…。 検事小説としての醍醐味は、 後半の中編(2編)といぅことになるでそぅが…、 前作に比べると、パンチ力がちと足りなぃかも…。 人物、物語ともに、深堀感が足りなかったかな~。 でも…、 このシリーズは、検事時代のエピソードの方が、 何気にしっくりときており、むしろよぃかも…。 弁護士編ともうまく調整しながら、続けて欲しぃ。
Posted by