カルニヴィア(1) の商品レビュー
奥村章子の翻訳が悪い。 https://sessendo.hatenablog.jp/entry/2023/10/06/094041
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ネットで見かけて。 ヴェネツィアが舞台というだけで、華やかな印象を受ける。 強力な建築規制があり、許可を得るには強力なコネが必要だとか、 憲兵隊はレストランで店主が代金を請求しないとか、 マフィアのことは誰もしゃべらないとか、 負の側面もちりばめられているが、その華やかさは失われない。 それは、世界的な観光地が登場するからなのか、 バスではなくヴァポレットに乗っているからなのか、 カソリック教会の強大な力が見え隠れするからなのか。 それだけではなく、 ヴァーチャルなヴェネツィアである「カルニヴィア」や、 オカルトのシンボルかと思われたクロアチアのタトゥー、 人身売買にユーゴスラヴィアでの虐殺、誘導砲弾による爆撃と これでもかというぐらい詰め込まれている。 それでいて、 憲兵隊の大尉と米軍の少尉の女性二人と、 幼少期に誘拐事件に遭ったハッカーの活躍も光を放っている。 色とりどりに輝くきらめきの流れに溺れそうになりながら、 最大の証拠は人の中のDNAなのではと、 気が付いた自分をほめてあげたい。 要するに、面白かった。
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著者はロンドン在住で本作はデビュー作になります。 ポケミスは文庫本より少し背が高く本棚での納まりが悪いので購入は敬遠しがちだったのですが小説の舞台がヴェネチアとの事でなかなかこの地を描いた小説が少ない事とつい最近出張で現地を訪れて事もあって衝動買いしました。 物語は運河で流さ...
著者はロンドン在住で本作はデビュー作になります。 ポケミスは文庫本より少し背が高く本棚での納まりが悪いので購入は敬遠しがちだったのですが小説の舞台がヴェネチアとの事でなかなかこの地を描いた小説が少ない事とつい最近出張で現地を訪れて事もあって衝動買いしました。 物語は運河で流されたと思われる女性司祭の死体をきっかけに殺人が次々と発生し現地の憲兵と駐アメリカ軍少尉が事件の真相を明らかにするという単純なストーリーですが、舞台のヴェネチアの静かで優雅な雰囲気や事件の背景には国際的な紛争やネット上のバーチャル世界が絡んでおり主人公である二人の女性が陰謀に迫る様は欧州を舞台とした”ダビンチコード”や”ミレニアム”を彷彿とさせ大変に面白い出来で処女作とは思えない仕上がりです。 尚、本作は3部作シーリズとの事で既に後続2作品の英文での題名も発表されて居り早く2作目の刊行が待たれる所です。
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いろんな要素てんこ盛り系ですね。ディティールが書き込まれていて切れ味もよい。イタリア・クロアチアという地理感覚は今まであまりありませんでした。3部作ですが1作目は切りがいいところで一旦終わってます。2部以降で1部の登場人物がどう関わっていくのかは楽しみ。
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イタリアが舞台の、読み応えある怒涛のミステリ。 三部作の一作目です☆ ヴェネツィアのとある教会前で、司祭の格好で倒れていたのは実は女性。 それはカトリックの教会では今もあり得ないことだった。 捜査に当たるのは、憲兵隊の大佐ピオーラと、女性の大尉カテリーナ。 イタリアの警察という...
イタリアが舞台の、読み応えある怒涛のミステリ。 三部作の一作目です☆ ヴェネツィアのとある教会前で、司祭の格好で倒れていたのは実は女性。 それはカトリックの教会では今もあり得ないことだった。 捜査に当たるのは、憲兵隊の大佐ピオーラと、女性の大尉カテリーナ。 イタリアの警察というのは複雑で、憲兵隊と別な組織が張り合っているんですね。 米軍基地に赴任したばかりのアメリカ女性のホリー少尉も、捜査に関わってきます。 イタリアの基地育ちのホリーは、故郷に帰ったかのようなくつろぎを感じていたのですが‥? ヴェネツィアっ子のカテリーナはすごい美人で奔放だが、野心家で何より大事なのは仕事。 ホリーはもっと親しみやすそうな若い娘でおだやかな性格だけど、陸軍少尉ですから訓練で身につけた勇ましい所も。 この二人に加えて、異色な人物が加わります。 SNSで本物のヴェネツィアそっくりというカルニヴィアを作り上げた天才、ダニエーレ・バルボ。 彼は幼いときに誘拐されて犯人に鼻と耳をそがれ、トラウマで自閉症になっていた壮絶な過去がある。 豪華な古い館から出ることもなく過ごしていましたが‥ イタリアにある米軍基地がそれほど大きいとは知りませんでした。 ヴェネツィアというだけでも魅力がありますが、戦争犯罪、マフィア、米軍基地への反対運動、秘密組織の暗躍、カトリック内部や警察内部の葛藤、さらに男女の問題など、思わぬ要素がてんこ盛りで濃い! 「ミレニアム」と比較されてしまうと、う~ん、どうだろ‥ていう気にもなりますが。 読み応えは十分です!
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米軍に駐屯されている国はどこも似たような悩みを抱えているな。戦争犯罪をここまで女性への性的犯罪に特化してるのも珍しい。戦争それ自体が人体実験なのか。
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結構導入が長いなという印象。 男性作家がこんな風に女性の気持ちを描くということについて考えつつ、全体的にはスパイもの風味。 「天使と悪魔」が好きな人は好きだろうな という印象。
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2015.10 確かにダンブラウンとドラゴンタトゥーの女の作家さんを合わせた感じですね。面白い!すぐ次の本読まなくちゃ。
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図書館で。 ヴェネツィアは行ったことないですがなんとなく潮の匂いが嗅げそうなお話でした。結構生臭く、淀んでると汚水の匂いがしそうな感じの描写がリアルだなあ、と。 という訳でイタリアの警察事情とか知らないので警察機構が重複してるとか本当なのかな?とか思いながら読みました。 それに...
図書館で。 ヴェネツィアは行ったことないですがなんとなく潮の匂いが嗅げそうなお話でした。結構生臭く、淀んでると汚水の匂いがしそうな感じの描写がリアルだなあ、と。 という訳でイタリアの警察事情とか知らないので警察機構が重複してるとか本当なのかな?とか思いながら読みました。 それにしても貧しい国の弱い立場の女性が食い物にされるのはいつの時代も変わらないんだなあ、とげんなりします。日本だって以前は貧しい農村から、今は多分海外から女性を風俗に無理やり従事させてるんだろうなあ…と思うと胸が痛いです。ボスニアの内戦は相当ひどい状況だと聞いたことはありますが…本当に胸糞悪い事態だったんですね…。今のISとかでも相当残虐な事が行われてるんじゃなかろうかと思うと…なんとかならないのかなあと無念で一杯です。 お話に出てくるカルヴィニアは是非訪れてみたいなあ。個人情報が吸い取られるのは怖いですが飛行機に12時間以上乗って行くよりもオンラインで1秒かからず観光出来るならその方が良いなあ。3部作みたいなのでこの3人組がこれからどう動くのか楽しみです。
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最近はポケミスでも、相当数、新時代のエンターテインメントと思われる小説が多く散見されるようになった。アメリカの作家であっても、米国国内舞台に限らず、かと言って国際冒険小説というジャンルでもなく、東西ヨーロッパや中南米などを舞台に異国人を主人公にした作品などを果敢に綴ってゆく作家...
最近はポケミスでも、相当数、新時代のエンターテインメントと思われる小説が多く散見されるようになった。アメリカの作家であっても、米国国内舞台に限らず、かと言って国際冒険小説というジャンルでもなく、東西ヨーロッパや中南米などを舞台に異国人を主人公にした作品などを果敢に綴ってゆく作家が多くなったように思う。 その背景としては異国の状況や歴史が調べやすくなった情報社会の進歩ということが十分に考えられると思う。図書館で文献を検索しなくてもあるレベルのものまでであれば、ネットを検索してみるだけでも一通りの情報が得られる現在、国境なき世界に勇躍活躍の舞台を求める小説作品が増えてゆくのもむべなるかな、というわけであろう。 さてそんなネット社会を背景に、ヴェネツィアというこれまた迷宮要素の高い、歴史も地理的複雑さも兼ね備えた都市を舞台に、英国作家のジョナサン・ホルトが新鮮な作品をかつ三部作という予告付きで世に贈りだしているのをご存知であろうか。 一見簡単に見える事件の深層に向かって捜査を進めるのが、ヴェネツィア憲兵隊の大尉カテリーナと、イタリア駐留米軍少尉ホリーという二人の女性。それぞれが別々の軌道を経て、同じ事件、同じ闇の奥に存在する謎に行き当たり、小説途中で合流してゆくという構成である。 そしてさらに本書の邦題タイトルともなっているカルニヴィアというソーシャルネットワークの創設者ダニエーレ・バルボという天才奇人がまたも異なる道から合流して三人のトリオが出来上がるというあたりが本作品のハイライトである。 ダニエーレというキャラクターが凄まじい。幼少期に誘拐され、切り取られた耳と鼻を資産家の父に送りつけられた末に解放されるという強烈なトラウマを抱え自閉症に陥るが数学の天才でもあるダニエールは人間との繋がりに関心を覚えず、全くの虚構の世界でありながらヴェネツィアそっくりの架空都市カルニヴィアをネット上に作り出し、そこでは絶対的な匿名性による情報の王国が築き上げられている。 捜査に行き詰まった時の検索基地として存在するカルニヴィアという仮想都市を使っての敵と見方の化かし合いがある一方で、現実世界での血と暴力に満ちた闘争もあり、その向こうに見え隠れするのはボスニア内戦を通して行われた多くの兵士たちの殺戮と狂乱であり、NATOや米軍の暗躍でもあった。主人公の二人である女性の視点から女性犠牲の歴史を真っ向から凝視して提示して見せた作品でもあり、多くの犠牲者の墓の上に築かれた壮大な物語は、ある正義の意志で貫かれた本物の輝きを感じさせる。 崇高な精神と泥沼のような世界悪がカオスのようにごった煮にされた町ヴェネツイァ、もしくはカルニヴィアで繰り広げる新時代の冒険小説が誕生。一話完結の型式なのでシリーズ2や3の登場を待たずして楽しむことができる大作である。
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