宮本武蔵(巻八) の商品レビュー
佐々木小次郎が信じていたものが、技や力の剣。 宮本武蔵が信じていたものが、精神の剣。それだけの差でしかなかった。 同じように、我流で剣の道を極めようと努力を積み重ねてきたが、暗殺剣を産み出す事のみに、夢中になっていた小次郎に対し、剣の道を追求していくうちに、同時に人間力も向上さ...
佐々木小次郎が信じていたものが、技や力の剣。 宮本武蔵が信じていたものが、精神の剣。それだけの差でしかなかった。 同じように、我流で剣の道を極めようと努力を積み重ねてきたが、暗殺剣を産み出す事のみに、夢中になっていた小次郎に対し、剣の道を追求していくうちに、同時に人間力も向上させなければ、剣の道も極められない事に気づいた武藏に、軍配が上がったのが興味深かった。
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漫画「バガボンド」がなかなか再開しないので原作を読んでみた。 てか、原作とは随分違うんだなぁ。どちらが好みかは、人それぞれ。原作もシンプルでいいのですが、やはり「バガボンド」の最後が読みたい。 再開を願います。
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2021/12/11読了 「みんな知っている有名作品」だけど「ちゃんと読んだ事ない作品」でもある。〈新潮文庫〉で全8巻の大作をなぜ今更読もうと思ったか、大谷翔平選手の”二刀流”での大活躍に触発された訳ではなかった……筈だ。 ちゃんと読んでみると、ドラマとかの『宮本武蔵』の展開がい...
2021/12/11読了 「みんな知っている有名作品」だけど「ちゃんと読んだ事ない作品」でもある。〈新潮文庫〉で全8巻の大作をなぜ今更読もうと思ったか、大谷翔平選手の”二刀流”での大活躍に触発された訳ではなかった……筈だ。 ちゃんと読んでみると、ドラマとかの『宮本武蔵』の展開がいかに盛られまくったものか良く判った。とは言え、お通さん、道を究めようとする余り、自分を放ったらかして何処に行ったかも判らない武蔵を慕い続ける姿は、一途というのか狂気というのか。特に女性の方は、このあたりをどう思われるのでしょう?
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全巻を読み終えて。 一剣豪の活躍物語でなく、一介の時代小説でなく、人間が己の信ずる道と向き合い、宮本武蔵が様々な欲望にとらわれ、そして振り払いながら、葛藤しながらも突き進む―。人間が歴史という大きな流れの中でどのように生きていくべきか?という問いに対する、吉川氏なりの答えが宮本...
全巻を読み終えて。 一剣豪の活躍物語でなく、一介の時代小説でなく、人間が己の信ずる道と向き合い、宮本武蔵が様々な欲望にとらわれ、そして振り払いながら、葛藤しながらも突き進む―。人間が歴史という大きな流れの中でどのように生きていくべきか?という問いに対する、吉川氏なりの答えが宮本武蔵の姿を通して描かれた物語であったように感ぜられた。それゆえに、物語を読んでいて、登場人物の心情やセリフにハッとさせられたり刺激を受けたりすることもあり、実に充実した読書体験ができたように思う。 しばらくの時を置いて数年後、また読み返してみたいとも思う作品だった。
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全8巻完結! 最後のクライマックスも静かに進み、静かに終わる。第1巻の辺りでは、少しガサつい感じを受けたものの、以降は誹謗中傷に言い訳や申し開きもせず、静かに剣の道と人を磨くことに精進する。巌流島の戦いも資料があまり無く、ある説に基づくフィクションだという。初版は昭和11年、その頃の時代背景を映す部分もあるのかもしれない。 権之助と伊織を襲ったのは真田幸村の配下だった。その真田幸村に、細川家の老臣、長岡佐渡が会い、武蔵の話になる。一方、九死に一生を得た伊織は堺の商人に助けられ大坂へ。そこで、細川家の長岡佐渡、佐々木小次郎に出会う。 武蔵は岡崎に、そして又八も岡崎の禅寺で修行。二人は求めていた愚堂に会えた。又八は、愚堂に仕えるが、武蔵は声を掛けてもらえない。最後に気付いたのは、いつまでも悩むばかりでなく、自分で前に進めるはず、と愚堂は示したかったのか。 又八は、赤子を背負う朱美に会い、出家から俗世に戻り、父となることを決断する。 お通を虐めるお杉ばば、伊織によって寒い雨の日に洞穴に閉じ込められるが、それを救いに来たのはお通だった。お通の首を絞め、お通を決死の状況に追い詰めたが、そこでお杉ばばは、ようやくお通の心を理解し、許すのだった。 佐々木小次郎を抱えた細川家。武蔵を推す者も多い中で、自然と佐々木小次郎と武蔵が、舟島で対決することになる。 武蔵は佐々木小次郎との決戦を前に、お通との思いを確かめあった。舟島を遠くから見つめる伊織、又八、朱美。 巌流島の戦いの後の武蔵の姿は描かれていない。
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バガボンドの連載が止まったので原作と言えるこの本を読んだ。 井上雄彦さんの絵のタッチのまま読み通せた。 この本の世界観を忠実に描いているなぁと感心すると同時に、井上さんのメガネを通してしか観られなくなってしまったのがもったいない気もした。 「五輪書」と併せて読むと、より深く宮本...
バガボンドの連載が止まったので原作と言えるこの本を読んだ。 井上雄彦さんの絵のタッチのまま読み通せた。 この本の世界観を忠実に描いているなぁと感心すると同時に、井上さんのメガネを通してしか観られなくなってしまったのがもったいない気もした。 「五輪書」と併せて読むと、より深く宮本武蔵の強さの秘訣に、身震いするような研ぎ澄まされた感覚に近づけると思う。 まぁ、知る、見る、近づくと、実践するのとではファンとプロのスポーツ選手くらいの大きな隔たりはあるわけだけど。
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遂に完結。 ここに到っての武蔵と小次郎の因縁は少々描写があっさりとしすぎていて物足りなかった気もする。あれほど武蔵の評判を落とし、陥れようとしていた小次郎も禄を得て満足してしまったのか敵役として物足りなく、また武蔵も人間的に成長を遂げて委細構わぬようになり、2人が闘う理由が今ひとつ薄い。もちろん剣士としての純粋な欲求はあり得るが、それもあまり感じられず、いわば惰性ともいえる因縁ですかないような。淡々と終わってしまった気がします。
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怒って振り上げられたあの鉄拳を横顔に受くるまでも、一言の教えをここで乞わずにまたいつの日会う折があろう。何万年とも知れぬ悠久な天地の流れのうちに、六十年や七十年の人生は、さながら電瞬のような短い時でしかない。その短い一生のあいだに、会い難き人に会うというほど尊いものはない。(p....
怒って振り上げられたあの鉄拳を横顔に受くるまでも、一言の教えをここで乞わずにまたいつの日会う折があろう。何万年とも知れぬ悠久な天地の流れのうちに、六十年や七十年の人生は、さながら電瞬のような短い時でしかない。その短い一生のあいだに、会い難き人に会うというほど尊いものはない。(p.127) 人間。素肌の自己。 これ一個しか、今は、恃むもののないことを、さすがに悟っていた。(p.313)
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