メグル の商品レビュー
モデルとなった大学や土地を知らなくても楽しめると思うが、道北出身で北海道大学にお世話になった私にとって、本作で描かれる風景や空気感はありありと実感できるものであり、そこで描かれる現実と不思議の入り混じった物語に揺さぶられつつほっとする、こういうものを読みたかったと思えた特別な一冊...
モデルとなった大学や土地を知らなくても楽しめると思うが、道北出身で北海道大学にお世話になった私にとって、本作で描かれる風景や空気感はありありと実感できるものであり、そこで描かれる現実と不思議の入り混じった物語に揺さぶられつつほっとする、こういうものを読みたかったと思えた特別な一冊でした。 北大文学と呼びたいし、特に冒頭の短編は貴重な道北文学であると言いたい。
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メグルという題名と乾ルカさんの作品であることから、輪廻転生をイメージして表紙を開いた。 5つの短編で構成されている。短編だがユウキによって連作になっている。そして5つの作品は順に読むことで読者に心理的影響を与えているように感じた。 ヒカレルはライトなホラーだが、どこか暖かさを感...
メグルという題名と乾ルカさんの作品であることから、輪廻転生をイメージして表紙を開いた。 5つの短編で構成されている。短編だがユウキによって連作になっている。そして5つの作品は順に読むことで読者に心理的影響を与えているように感じた。 ヒカレルはライトなホラーだが、どこか暖かさを感じる。日本の将来を見通すと、死にゆく者の淋しさは一層拍車をかけると思うのである。奨学係のユウキという女性は何者なんだろう。この後も登場する。 モドルは、ユウキから紹介されたアルバイトにより、失ったものが見つかる。 アタエルでは、ユウキはいつもなら「あなたは行くべきよ。断らないでね。」というのに、今回は「本当ならあなたは行くべきじゃないわ。後悔しないでね。」という。アルバイトの内容は犬に餌を与えるだけだが、中を絶対見ては行けないという。そしてその中にあるのは・・・。 タベルでは、ユウキが紹介したアルバイトの業務内容は食事。なぜ佐藤は食事をするだけの依頼をしたのか?優しさに包まれる。 メグル、表題作。なぜかユウキが悠木になった。ユウキが悠木だったことが少しわかる。輪廻転生ではなかった。三瀬がアルバイトの依頼主、何年も風貌が変わらないミステリアスな女性。心温まる作品。 私はグロいのは苦手だ。1つだけある。それ以外はほっとする場面のある作品だった。ホラーといえばそうなのかもしれないが、乾ルカさんの文筆力がドキドキさせながらも温もりを伝えてくれる。そして最後に意外な結末が待っていた。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ヒカレル 高橋健二 H大学四年生。 彼女 ユウキ。学生にアルバイトや家庭教師を斡旋する奨学係唯一の女性職員。 大林スミヲ 高橋が付き添う亡くなったお婆ちゃん。 美香 スミヲの孫娘。お祖母ちゃん子。 モドル 飯島涼子 H大学法学部。 ユウキ 桑田真澄 飯島が紹介された付属病院の売店の店員。 飯島の父 銀行の副支店長。脳出血で右半身の麻痺と言語障害。 アタエル 高口康夫。 ユウキ 小田 高口の二歳年長。K寮自治会の副会長。 根竜川 高口が犬の餌やりのバイトをする。 工藤 小田がロード練習中に低血糖を起こした時に助けた。 タベル 橋爪啓太 アルバイトをしたことがない。 小泉 ユウキ 佐藤総一郎 橋爪のアルバイトの雇用主。 メグル 悠木 大橋冬樹 学寮係。 三瀬みゆき 大橋のアルバイトの雇用主。H銀行本店渉外営業部。
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ここから始まる小説なんだと知り直ぐに2冊購入してメグルを読みました。ユウキさんからメグルでは悠木さんになってた。断らないでね、あなたは行くべきよ、が毎回出てきて、毎回その通りだけど、悠木さんの長い髪の毛と足の怪我とやっぱり謎のままなんだよ。悠木さんの当たる予言が関係するのかな、と...
ここから始まる小説なんだと知り直ぐに2冊購入してメグルを読みました。ユウキさんからメグルでは悠木さんになってた。断らないでね、あなたは行くべきよ、が毎回出てきて、毎回その通りだけど、悠木さんの長い髪の毛と足の怪我とやっぱり謎のままなんだよ。悠木さんの当たる予言が関係するのかな、とにかくバイトを受けて人生が変わるんだよ。おばあさんに手を握られて死の世界に行くのかと思ったら悪い腫瘍の病気を持っていくとか、素敵な結末。タベルが良かったな、1人で死なないだけましだと言い、黒歴史とか思うのを、実は笑い話でいいじゃ
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大学でのアルバイト紹介を主とした短編作品 あなたはこのアルバイトをやるべき! と大学職員の女性に勧められる 前半は笑ゥせぇるすまんを思わせるような少し不気味で不思議な話 後半は不思議だけど心があったかくなるような話もあっておもしろかった
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アルバイトをめぐる小説というものを読んだことがなかったのでいいなあと思った。古本屋でたまたま巡り合って読んだ。まさにタイトルそのままだ。バイト中にこの本を読み終わり、いい時に読めたなあと思った。 ハートフルな話からちょっと闇を垣間見る話まで、「仕事」と名がつくものは様々で、バイト...
アルバイトをめぐる小説というものを読んだことがなかったのでいいなあと思った。古本屋でたまたま巡り合って読んだ。まさにタイトルそのままだ。バイト中にこの本を読み終わり、いい時に読めたなあと思った。 ハートフルな話からちょっと闇を垣間見る話まで、「仕事」と名がつくものは様々で、バイトを探すときの楽しい気持ちを思い出させてくれた。バイトなんて実際入ったら数ヶ月で飽きちゃうのにね。でも大学時代にどんなバイトをしてるかって自分でも全然予測できなかったバイトをしてたし、巡りあわせだよなとほんとに思う。
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この前読み終わった本の巻末に載っていた本の紹介(広告)を見て、ちょっと惹かれて買ってみた。 学生部の女性職員・悠木さんから紹介された(一人は止められた)アルバイトに足を運んだ学生たちの顛末。 お寺で寝るだけ、病院の売店での商品の入れ替え作業、犬の餌やり、食事を食べるだけ、とある...
この前読み終わった本の巻末に載っていた本の紹介(広告)を見て、ちょっと惹かれて買ってみた。 学生部の女性職員・悠木さんから紹介された(一人は止められた)アルバイトに足を運んだ学生たちの顛末。 お寺で寝るだけ、病院の売店での商品の入れ替え作業、犬の餌やり、食事を食べるだけ、とある家での庭仕事。 怖い話なのに何だかコミカルだったり、心温まる話だったり、不穏なミステリーだったり、ファンタジーっぽい死者との交流だったり、色んなテイストの話が楽しめる。 それぞれ面白い話だったが、ほっこり系の「モドル」と「タベル」が普通に良かった。 美しいながら無表情で人間離れした存在を思わせる悠木さんのキャラはちょっと微妙かも。
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【メグルをノベル】 って、どこかのだれかがすでに使ってそうな文句。 一作目の『ヒカレル』で、「あれ?!思ってたのと違う(いい意味で)」ってなってそれからはもう一気。
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5編からなる連作短編集。ホラー要素の強いファンタジー作品。 各編の主人公は何らかの問題を抱えているH大学の学生で、奨学係の女性職員・悠木に斡旋されたアルバイトによって人生に光明が差すというストーリー。 * * * * * 物語を動かすのはキーパーソンとなる悠...
5編からなる連作短編集。ホラー要素の強いファンタジー作品。 各編の主人公は何らかの問題を抱えているH大学の学生で、奨学係の女性職員・悠木に斡旋されたアルバイトによって人生に光明が差すというストーリー。 * * * * * 物語を動かすのはキーパーソンとなる悠木の眼力(能力?)。それは主に2種類あります。 1つは奨学係を訪れる学生のプロフィールや心に宿る陰を見抜く眼。 もう1つはその陰を取り除く仕事を選定できる眼です。これこそ悠木の魅力だけれど、それだけでなく、その風貌から言動まですばらしく魅力的なのです。ナイス設定だと言えます。 彼女の秘密が各話で小出しになっていくのもいい。(能力の源泉に触れられることは恐らくなかろうが。) 最終話の幽霊譚はやりすぎの感もあるのですが、続編を期待してしまうような良作だと思います。
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「あなたは行くべきよ。断らないでね」無表情ながら美しく、奇妙な迫力を持つH大学学生部の女性職員から、突然に声をかけられた学生たち。店舗商品の入れ替え作業や庭の手入れなど、簡単に思える仕事を、彼女が名指しで紹介してくるのはなぜだろう―。アルバイト先に足を運んだ学生たちに何がもたらさ...
「あなたは行くべきよ。断らないでね」無表情ながら美しく、奇妙な迫力を持つH大学学生部の女性職員から、突然に声をかけられた学生たち。店舗商品の入れ替え作業や庭の手入れなど、簡単に思える仕事を、彼女が名指しで紹介してくるのはなぜだろう―。アルバイト先に足を運んだ学生たちに何がもたらされるのか、厄介事なのか、それとも奇蹟なのか?美しい余韻を残す連作集。
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