おとぎのかけら の商品レビュー
千早茜さんの織りなす、現代版の西洋童話。 ご本人のあとがきでは「話の筋は大体そのままで、既存のモチーフを鏤めて、その中で血や肉を持った西洋童話の登場人物がどう感じたかを描きたかった」と語られていた。 いやぁ、とても斬新でダークな世界観だった笑 やはり香りに纏わる描写が秀悦な作家...
千早茜さんの織りなす、現代版の西洋童話。 ご本人のあとがきでは「話の筋は大体そのままで、既存のモチーフを鏤めて、その中で血や肉を持った西洋童話の登場人物がどう感じたかを描きたかった」と語られていた。 いやぁ、とても斬新でダークな世界観だった笑 やはり香りに纏わる描写が秀悦な作家さんだ。 以下、全7章の簡単なレビュー 私は特に「白梅虫」ハーメルンの笛吹き男と、「アマリリス」いばら姫、この2作品の西洋童話からの転換が独創的で印象に残った。 「迷子のきまり」ヘンゼルとグレーテル 背筋がゾクっとした。お兄ちゃんが用心深くて知恵があって良かったが、母を殺めた罪は消えない。兄妹だけで生きる道を探すのは余りに危険だ。その姿が痛々しくて悲しかった。 「鵺の森」みにくいアヒルの子 苛める側は苛められた側のことを覚えていない。だが逆は違う。蓋をしたい過去の記憶。本当に罪深いのはその記憶を正当化することだと思った。 「カドミウム・レッド」白雪姫 女同士の目に見えない嫉妬や情念は、時に理性を掻き乱す。2人の女性の心の在り方は、どちらも白雪姫とは言えないと思った。7人の小人に代わる7人の男がもう少し活躍して欲しかった。 「金の指輪」シンデレラ ガラスの靴の代わりが指輪という設定に無理がある。指だって成長と共に大きくなる。この違和感のせいで全体的にぼやけてしまい残念だった。しかも最後のオチが平凡過ぎるのでは・・・ 「凍りついた眼」マッチ売りの少女 小児性愛者のお話。生理的に受け付けなかった。行為をする側から観察する側になることで性的興奮を覚える主人公。それが招いた悲劇。この作品が1番ダークだった。 「白梅虫」ハーメルンの笛吹き男 梅についた虫が逃げていく鈴。確かに鈴のおかげで虫は居なくなった。でも鈴には力が宿っていた。身勝手な男には天罰が降る。女って恐ろしい。衝撃のラストは、もはやホラーの域だった。 「アマリリス」いばら姫 既婚男性との不倫。そこに何を望み何を信じているのか。自分でも答えが出せないことは、待ち続けても永遠に叶うことはない。 主人公が自分で決めて導き出した答えが、明るい光を感じるもので良かった。
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グリム童話やアンデルセン童話をモチーフにした作品には、原作とはまた違った良さがある。 子供向けじゃない現代版おとぎ話が七篇。 妖しい物語や苦味を伴う物語が楽しめる。 個人的にシンデレラをモチーフにした『金の指輪』が好き。 童話以上にドラマティックな仕上がりになっていて、とても良か...
グリム童話やアンデルセン童話をモチーフにした作品には、原作とはまた違った良さがある。 子供向けじゃない現代版おとぎ話が七篇。 妖しい物語や苦味を伴う物語が楽しめる。 個人的にシンデレラをモチーフにした『金の指輪』が好き。 童話以上にドラマティックな仕上がりになっていて、とても良かった。
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モチーフとなった童話のエッセンスを匂わせ、うまく描き出している。全体的に、最後は読者をうまく着地させてくれる。毒々しいが、あとに引きずることがない印象。 ただ、ぐっと引き込まれた作品が、ひとつ。読後に何かが、残るなぁ。良い感触だ。
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土台にモチーフとなった童話の要素が敷き詰められている。教訓めいた内容や、残酷性が、現代版にブラッシュアップされているため、とても読みやすかったです。シンデレラの物語がとくにお気に入りです。
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おとぎばなし要素が本当にかけらだった。現代日本が舞台になっていながら、なおかつ幻想的、そして残酷な物語だった。それぞれの元となる童話のタイトルは記載されているけれど、なくてもそれはすぐにわかる。キーとなるモチーフはしっかり描いてあるし、展開も大筋元になる童話に沿っている。辿り着く...
おとぎばなし要素が本当にかけらだった。現代日本が舞台になっていながら、なおかつ幻想的、そして残酷な物語だった。それぞれの元となる童話のタイトルは記載されているけれど、なくてもそれはすぐにわかる。キーとなるモチーフはしっかり描いてあるし、展開も大筋元になる童話に沿っている。辿り着く先が同じとは言わないけれども。 この作品が千早茜さん初だったのだけれど、他作品を読む参考になるのだろうか‥?
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西洋の童話を身近に感じることが出来た。千早茜さんの生々しい解釈好きです。読み終わった後も心に残る感じ。面白かったです。
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本来残酷だと言われている西洋童話を現代に置き換えることで、より残酷かつ風刺的に感じた。文章が美しかった。 7編のうち「シンデレラ」だけがわかりやすいハッピーエンドで、1番好きだった。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「白雪姫」「シンデレラ」「みにくいアヒルの子」……誰もが...
本来残酷だと言われている西洋童話を現代に置き換えることで、より残酷かつ風刺的に感じた。文章が美しかった。 7編のうち「シンデレラ」だけがわかりやすいハッピーエンドで、1番好きだった。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「白雪姫」「シンデレラ」「みにくいアヒルの子」……誰もが知っている西洋童話をモチーフに泉鏡花文学賞受賞作家が紡ぎだした、耽美で鮮烈な現代のおとぎ話7編を収録した短編集。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
西洋童話をモチーフにした短編集。 現代の日本が舞台になっているのに不思議と幻想的で禍々しく、まさにダークファンタジーの世界観。毒々しくて耽美で、ゾクゾクした。 ヘンゼルとグレーテルがモチーフの『迷子のきまり』とシンデレラがモチーフの『金の指輪』がお気に入り。 『金の指輪』の、なんだよちくしょう!お幸せに!!と言いたくなるような素敵な終わり方、とっても好きだ。 マッチ売りの少女がモチーフの『凍りついた眼』も男達の歪んだ一方的な欲と、後味の悪い結末のせいで印象に強く残っている。 思い出しただけでなんだか鼻奥に血の臭いが漂う。気持ち悪いし不愉快なのだけど、怖いもの見たさで惹きつけられるような、そんな気分。 大好きな千早茜さんの世界観をたっぷり堪能した読書時間だった。
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千早茜さん。よく名前を聞くものの、はじめて読む作家さんでした。 編集者に選んでもらったテーマ(西洋童話)を、著者の解釈で書いた短編集。 ヘンゼルとグレーテル みにくいアヒルの子 白雪姫 シンデレラ マッチ売りの少女 ハーメルンの笛吹き男 いばら姫 読みながら、江戸川乱歩の物語...
千早茜さん。よく名前を聞くものの、はじめて読む作家さんでした。 編集者に選んでもらったテーマ(西洋童話)を、著者の解釈で書いた短編集。 ヘンゼルとグレーテル みにくいアヒルの子 白雪姫 シンデレラ マッチ売りの少女 ハーメルンの笛吹き男 いばら姫 読みながら、江戸川乱歩の物語みたいだなって思った。 乱歩みたいな不気味さ、グロテスクさ。そして少し耽美な。 マッチ売りの少女なんてさ、もともとかわいそうな話なんだけど、それを現代的にされると、目を背けたくなるような話。 シンデレラのお話だけは、王子の立場からの解釈で、希望がもてるラストだった。 子どもの時、童話が好きではなかったという著者。本当に幸せになれたのは誰か?という疑問をひとつひとつ解消していけた…とあとがきにあったが、え!この本では特に誰も幸せになっていないのでは?!と私はびっくりしてしまいました。そもそも、幸せとは何かっていう話なのかな。 うーん、奥が深いというか、なんというか。難解だわ。
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お姫様になれなかったあなたへ。本当に幸せになれたのは誰か-?西洋童話をモチーフに紡がれた、美しくも恐ろしい七編。 初めての千早茜san。 あとがきの千早sanの言葉のとおり、西洋童話は、あまりにも遠い世界で、どこか他人事で、安心して読めてしまい、”ぬるい”と感じられた。これに...
お姫様になれなかったあなたへ。本当に幸せになれたのは誰か-?西洋童話をモチーフに紡がれた、美しくも恐ろしい七編。 初めての千早茜san。 あとがきの千早sanの言葉のとおり、西洋童話は、あまりにも遠い世界で、どこか他人事で、安心して読めてしまい、”ぬるい”と感じられた。これに、現代に生きる人の感覚や価値観を入れ、既存のモチーフを鏤(ちりば)めて、その中で血や肉を持った登場人物が、しっかりと描かれていました。 花火大会の日、幼い兄弟はわざと母親とはぐれ・・・の「迷子のきまり」から、不倫に悩んで実家に戻った私は、認知症の祖母の過去を知って・・・の「アマリリス」まで。この”わざとはぐれ”で心惹かれました。 お気に入りの登場人物は、「鵺の森」の翔也、「カドミウム・レッド」のわたし、「金の指輪」の笠原さん、「白梅虫」の夕さんなど。みんなどこか残酷で、悲しくて、でも美しい。 文体が村田沙耶香sanの様な、登場人物が『白夜行』(東野圭吾san)の亮司や雪穂の様な印象を受けました。とっても好きな世界観です。 素敵な作家sanに出会うことができました。 他の作品も順に読ませていただきます☆
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