おとぎのかけら の商品レビュー
【2024年197冊目】 ヘンゼルとグレーテル、みにくいアヒルの子、白雪姫、シンデレラ、マッチ売りの少女、ハーメルンの笛吹き男、いばら姫と誰もが知る童話を元に描かれた現代の寓話。時に美しく、時に恐ろしい7つの物語。 あとがきによれば、どの西洋童話を元にするかは編集さんが選んでい...
【2024年197冊目】 ヘンゼルとグレーテル、みにくいアヒルの子、白雪姫、シンデレラ、マッチ売りの少女、ハーメルンの笛吹き男、いばら姫と誰もが知る童話を元に描かれた現代の寓話。時に美しく、時に恐ろしい7つの物語。 あとがきによれば、どの西洋童話を元にするかは編集さんが選んでいて、筆者にとって「大嫌いな話ばかり」をベースにしているという本作。相変わらず文章と表現の美しさに惚れ惚れしながらも、ぞっとしたり、心を打たれたりと楽しめる短編集でした。 人間の底にあるおぞましさを描いた「凍りついた眼」と女の執念が毒々しい「白梅虫」に、幸せを掴んだ「金の指輪」と「アマリリス」、物語と物語の対比がすごい。一見ジェットコースターのような短編集ですが、じわじわと忍び寄るような余韻がどのお話にも共通してあるのはさすがと言ったところです。 お話同士のギャップで風邪をひかないようお気をつけを。
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誰もが知るおとぎ話をモチーフにした7つの現代物語。 「迷子のきまり」はヘンゼルとグレーテルを下敷きにする。 おとぎ話は残酷なものも多かった。 だいぶ前に、本当は残酷だったおとぎ話、のような書籍が流行ったことがあった。 それを思い出させる、なんだか嫌な感じのする物語だった。 私は...
誰もが知るおとぎ話をモチーフにした7つの現代物語。 「迷子のきまり」はヘンゼルとグレーテルを下敷きにする。 おとぎ話は残酷なものも多かった。 だいぶ前に、本当は残酷だったおとぎ話、のような書籍が流行ったことがあった。 それを思い出させる、なんだか嫌な感じのする物語だった。 私はとっくの昔に大人になって、世界は綺麗事だけでは成り立ってはいないことも、 汚くて卑しくて目を背けたいことが多いことも知っている。 だから、そのうちの一つ、児童買春があることもわかっている。 だけど、小さな命を産んで育てる身としては到底許し難いし、理解もしたくない。 もし我が子が被害者になったら、私は自身の自由も立場も、全てを捨てたって構わないから加害者に報いを受けさせようとするだろう。 一方で、子供を邪魔にする物語の中の母親の気持ちもわかる。 男性に依存はしなくとも、この子達がいなかったら、とありもしない成功した人生を思い浮かべたことも一度のみならず、あるのだ。 そんな自分の心の二面性をまざまざと突きつけられる物語は読んでいて苦しい。 だから最後の物語の、「アマリリス」には救われるような思いだった。 何かを信じて待つのも、自ら動き出すのも、どちらも選択肢としてはありで、それが一概に幸不幸を決めるものではないことも。
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千早さんの西洋童話の現代的な新解釈により、童話の内容を身近な出来事として自身の想像の範疇に置き換えることができ、童話の「裏の意味」を考えさせられた。あとがきで、千早さんは「西洋童話にはうまく馴染めなかった」と記されているが、私も小さい頃、童話の世界観に対して心躍らせられながらも若...
千早さんの西洋童話の現代的な新解釈により、童話の内容を身近な出来事として自身の想像の範疇に置き換えることができ、童話の「裏の意味」を考えさせられた。あとがきで、千早さんは「西洋童話にはうまく馴染めなかった」と記されているが、私も小さい頃、童話の世界観に対して心躍らせられながらも若干の恐ろしさを感じていたような記憶があり、なんとなく共感できる部分があった。今振り返ってみると、それは、キラキラしたベールを纏う「教訓性」や「勧善懲悪」への気づきや違和感のような感情だったのかもしれないと思った。本作は、その辺りをうまく掬い取っており、人間のドロドロとした恐ろしさ、醜さ、それらの背景となる社会問題がより顕著に感じられる内容になっていると思う。一部の童話をはじめ、民話や伝承の「裏の意味」を紐解くと当時の社会の構造や問題が浮き彫りになるのかと面白く感じられ、民俗学系の本を読んでみたいなと思った。
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グリム・アンデルセンの童話に含まれる問題、構造、関係性を現代に移しかえ、作者流に展開させた7つの物語。 「ほんとうは怖いグリム童話」みたいなのが一時期はやった気がするが、その怖さをたっぷりとすくい出して広げたような感触が各話にある。 追い詰められた時、自分の気持ちを抑えられない時...
グリム・アンデルセンの童話に含まれる問題、構造、関係性を現代に移しかえ、作者流に展開させた7つの物語。 「ほんとうは怖いグリム童話」みたいなのが一時期はやった気がするが、その怖さをたっぷりとすくい出して広げたような感触が各話にある。 追い詰められた時、自分の気持ちを抑えられない時、嘘をつきたい時・・・わき上がる暗い衝動と、どう向き合うのか。直視したくない人間の心理が、物語の奥底で待っているよう。しかもその底には、 「自分を見つめるのは時間の無駄だと思います。別にあるがままでいいじゃないですか。」と考える、"白雪姫"がいたりする。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
6編からなる短編集 どれも少し闇があるお話で、なんともゾワゾワする読後感。 『迷子のきまり』 死ねないから生きるしかありませんから。 『カドミウム.レッド』 あるがままでいいじゃないですか。 そんなに頑張らないでニコニコしていたらいいのですよ。 ちょっと恐ろしいお話の中にも、心に泊まる言葉があってよかった。 私は『カドミウム.レッド』が好きだった。
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本当は恐ろしいグリム童話系好きだけど、 普通に短編集やと思って読んだほうがいい サブタイトルとか、どう合致するかわからん。 ちょっと忙しくて間が空いたけど 読了できた
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七編の短編集。サクッと読める短さだけど、心の中は全然スッキリしない。それが最高! ネグレクト、苛め、嫉妬など、どれもずっしり重たい内容。 私のお気に入りはふたつ。 「鵺の森 みにくいあひるの子」 苛めは、いつでも誰でも標的になり得る。自分は標的にされたくないと思う気持ち、焦り。...
七編の短編集。サクッと読める短さだけど、心の中は全然スッキリしない。それが最高! ネグレクト、苛め、嫉妬など、どれもずっしり重たい内容。 私のお気に入りはふたつ。 「鵺の森 みにくいあひるの子」 苛めは、いつでも誰でも標的になり得る。自分は標的にされたくないと思う気持ち、焦り。プールの場面とか、すごいリアルに想像できた。 「金の指輪 シンデレラ」 千早茜さんの、「透明な夜の香り」を思い出した。洋館や草花が連想させるのかなァ。風景を思い描きながら読んだ、気持ち良いお話。 風景とか、においとか、なんでこんなに伝わりやすく書けるんだろう。
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有名童話の独自アレンジ。ヘンゼルとグレーテル:ネグレクト気味の幼い兄妹が支え合う、のような。 子どもが辛い思いをする話ばかりで、無理やり感情を動かされる感じがなんとも苦手でした。 いまの自分が求めるものではなかったな…ここにエンタメは見出せない。
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有名なお伽話を題材にした短編作品。生々しい話が多くて読むのに苦労した。 この方は本当に繊細な文章を書くなと思った。
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