医療大転換 の商品レビュー
葛西龍樹『医療大転換』ちくま新書 読了。プライマリケアの整備がなぜ必要か、家庭医に期待される役割は何か。学部時代の卒論テーマなので思わず一読。家庭医によって患者中心の医療が実現されるとの共通認識はできあがっているが、後進国日本ではまだ専門科のひとつとして認められた段階に過ぎない。...
葛西龍樹『医療大転換』ちくま新書 読了。プライマリケアの整備がなぜ必要か、家庭医に期待される役割は何か。学部時代の卒論テーマなので思わず一読。家庭医によって患者中心の医療が実現されるとの共通認識はできあがっているが、後進国日本ではまだ専門科のひとつとして認められた段階に過ぎない。 2013/08/25
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プライマリ・ケアとは一次医療すなわち日常的で身近な病気、怪我を診てくれる「家庭医」のことで地域住民の家族を含め生活様式!価値観、人間関係までを理解して治療のみならず予防、健康維持のため24時間体制で診てくれる医療のこと。専門的な診療や高度先進医療は含まないが健康問題の8割が解決で...
プライマリ・ケアとは一次医療すなわち日常的で身近な病気、怪我を診てくれる「家庭医」のことで地域住民の家族を含め生活様式!価値観、人間関係までを理解して治療のみならず予防、健康維持のため24時間体制で診てくれる医療のこと。専門的な診療や高度先進医療は含まないが健康問題の8割が解決できる上、社会全体の医療費の抑制、医療の質向上が実現される。ここまで書いて既に夢のような話に聞こえるが、諸外国ではこれが進んでおり日本はプライマリ・ケアにおける後進国だと言う。それも約30年前の日本医師会の既得権益確保のためと思われるような反対によって。本書は諸外国のプライマリ・ケアの現状と日本においてこれを実現していくための提言である。筆者は正に今日本の医療がターニングポイントにあると指摘する。2013年4月、厚生労働省が「総合診療専門医」の要請、認定を決めた事も自身恥ずかしながら知らなかったが今後この議論が衆人環視のもと行われるよう一般国民、メディアの興味が強まる事を期待したい。
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・英国は医療についてはNHS(国営医療サービス)で無料となるが、介護は全額自費でまかなわなければならない(日本は一割負担)。 ・日本の医療の長所が語られる際、国民皆保険制度とともに「フリーアクセス」が挙げられることがある。ただ、それはどこの医師にかかればいいか分からないというこ...
・英国は医療についてはNHS(国営医療サービス)で無料となるが、介護は全額自費でまかなわなければならない(日本は一割負担)。 ・日本の医療の長所が語られる際、国民皆保険制度とともに「フリーアクセス」が挙げられることがある。ただ、それはどこの医師にかかればいいか分からないということにもつながる。日本の場合、質の高い医療を保証する、あるいは質の低い医療を改善するフィードバックシステムが確立されていない。 ・1978年に米国医学研究所(IOM)が発表したプライマリ・ケアの特性を示した「ACCCA」。 Accesbility=近接性 (物理的、心理的、社会的にアクセスしやすい) Comprehensiveness=包括性 (どのような問題にも対応する) Continuity=継続性 (問題の経過中だけでなく、病気の前後や健康時にも関わる) Coordination=協調性 (チームで有機的にケアを進める) Accountabililty=責任性 (インフォームドコンセントの推進) IOMが1994年に発表した文書では、プライマリ・ケアの特徴として「患者との継続したパートナーシップを築き、家族と地域の広がりの中で」ケアするという項目がACCCAに加えられている。 私は、1996年に北海道家庭医療センターをつくったとき、世界のこのような流れを考慮したうえで、ACCCAに以下の5項目を加えた。 ①患者中心の医療 ②家族志向型のケア ③地域包括プライマリ・ケア ④健康問題の心理社会的アプローチ ⑤共感できる人間関係の維持・強化
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昨年、厚労省は総合診療専門医制度の導入しました。 いわゆる家庭医学(プライマリーケア)の専門医をつくろうというものです。 この制度について福島県立医大の地域・家庭医学講座の主任教授の葛西先生が家庭医について書いた本です。 日本の医療制度は、国民皆保険など世界的にみても優れた制度で...
昨年、厚労省は総合診療専門医制度の導入しました。 いわゆる家庭医学(プライマリーケア)の専門医をつくろうというものです。 この制度について福島県立医大の地域・家庭医学講座の主任教授の葛西先生が家庭医について書いた本です。 日本の医療制度は、国民皆保険など世界的にみても優れた制度ですが、やはり問題もあります。 フリーアクセスと出来高払いという特徴が問題を生んでいます。 http://ameblo.jp/nancli/entry-11914439339.html
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読みました。 一言で言うと、家庭医療マニア向けの本であることは間違いないです。「真っ当な事」を真っ当に書き過ぎです。 面白かった。書籍化されるってすごいですね。 やっぱり日本の医療のフリーアクセスはどうにかしなきゃいけないし、医療施設がもうけるためでなく、患者視点での医療を実現さ...
読みました。 一言で言うと、家庭医療マニア向けの本であることは間違いないです。「真っ当な事」を真っ当に書き過ぎです。 面白かった。書籍化されるってすごいですね。 やっぱり日本の医療のフリーアクセスはどうにかしなきゃいけないし、医療施設がもうけるためでなく、患者視点での医療を実現させるのが大事。 福島での震災の事を他国の震災と比較してプライマリケア視点で考察されているのは知らなかったし面白かったです。 家庭医として、思うところがたくさんある本でした。 (発売から1年も経って読んですみません。)
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日本の医療制度には優れた点もあるが、プライマリケアに関してはだいぶ立ち遅れている。 そんな日本で家庭医制度が確立され、レベルの高い家庭医が活躍するようになれば、費用対効果もよく患者の満足度の高い医療が提供できるようになり、八方丸く収まりそうだ。 専門医制度の変更で、それがいい方向...
日本の医療制度には優れた点もあるが、プライマリケアに関してはだいぶ立ち遅れている。 そんな日本で家庭医制度が確立され、レベルの高い家庭医が活躍するようになれば、費用対効果もよく患者の満足度の高い医療が提供できるようになり、八方丸く収まりそうだ。 専門医制度の変更で、それがいい方向に向かえばいいと思うが、そうすんなりと行きそうもないな、とも感じた。家庭医が他の専門医同様に高度な専門性を有する職種であると社会的に認知されることが何より重要であり、かつ最も解決が難しい課題かもしれない。患者さんが利用してくれないと話にならないから… また、認定に際して厳しい専門医研修と厳しい試験を課すことには大いに賛成。常に勉強しなければならない状況を無理矢理作って、質の高い医療が広く提供されることを望む。 自分も常に勉強し続け、志を高く持ち続けなければならないと改めて思った。自身の身の振り方も含めて考えさせられた。どんな形でも、日本の医療をよりよくするために貢献できる人間になりたい。そのためにも、いま頑張らなあかん。よし、いっちょやったろう。
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評者は医学の門外漢だが、多くのブログなどによる本書の批評によると、著者は日本のプライマリー・ケア(家庭医)についての第一人者であるらしい。本書は、日本の現状や問題点、諸外国の比較、今後の指針について新書でわかりやすいようにまとめている。 内容は、地域の内科医である「かかりつけ医...
評者は医学の門外漢だが、多くのブログなどによる本書の批評によると、著者は日本のプライマリー・ケア(家庭医)についての第一人者であるらしい。本書は、日本の現状や問題点、諸外国の比較、今後の指針について新書でわかりやすいようにまとめている。 内容は、地域の内科医である「かかりつけ医」とは異なる家庭医とは何か、その具体的な仕事内容の実際例、先進諸外国の例、福島の例における災害医療で浮かび上がった問題点、患者中心の医療についてまとめている。 日本の皆保険の健康保険制度のよさ、フリーアクセス(誰でも、自分の選んだ医者や病院にかかれる)といったよさもありながら、日本医師会の対応の問題点もあって、日本のプライマリー・ケアが遅れている現状がある。しばらくすれば、国民総介護時代のような時が来ることを考えればこそ、いろいろと考えさせられる1冊だった。
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日本にまだ根付いていないプライマリーケア医療を推進するDrの書。 プライマリー先進国の実例から日本の進むべき医療のシステムを明快に提示している。 2011年の大震災直後の福島の医療体制でなにが不足してどうのような形を形成しないといけないかを、Drの経験をもとに問題提起。 日本医師...
日本にまだ根付いていないプライマリーケア医療を推進するDrの書。 プライマリー先進国の実例から日本の進むべき医療のシステムを明快に提示している。 2011年の大震災直後の福島の医療体制でなにが不足してどうのような形を形成しないといけないかを、Drの経験をもとに問題提起。 日本医師会・厚労省の制度構築の問題点は、日本の保険制度の上にたち改革するには高いハードルがあるが、高齢化社会の進行に伴い整備していかなければならない家庭医(プライマリーケア)の育成をわかりやすく提示した重要な一冊である。
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