失踪者たちの画家 の商品レビュー
五歳の時にある家で生活することになった主人公。そこの家の主に自分の両親はどこにいるのか聞く。こういう所だよ。へー、そういう所なんだ。成長した男子は、あれは嘘で既に両親はあの時に亡くなっていたんだな、と悟る。 ある日下宿先のおかみさんが騒ぐ。台風で通りが一本無くなったと。そこにあ...
五歳の時にある家で生活することになった主人公。そこの家の主に自分の両親はどこにいるのか聞く。こういう所だよ。へー、そういう所なんだ。成長した男子は、あれは嘘で既に両親はあの時に亡くなっていたんだな、と悟る。 ある日下宿先のおかみさんが騒ぐ。台風で通りが一本無くなったと。そこにあった家ごと無くなり自分の甥もいなくなったと。そんなこともあるのかな。と、これまた淡々と受け入れる。このようにあの世との境目が弛い世界の話 だったんだろうと思いました。日本では夕暮れ、黄昏時どきがやばい時間帯みたいですわね。
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不思議な都市を舞台に、奇妙な話しが展開していく。繋がりようがないのに、どこかで繋がっている。 引き込まれて読んでいったけど、結局はよく分からなかった。 まとめなくてもいいんだけど、退屈しないように詰め込みすぎてるんだと思う。
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これは、確かにずっとさまよっていたくなる。エンタテインメントのような取っ付きやすさもあって(捉えどころはないけれど)とっても面白かった。 ふわふわと捉えどころのない語りに誘われ、無限にループする迷宮に迷い込む。失踪者のポスター、子供の裁判員、人形工場...とめくるめくファンタジィ...
これは、確かにずっとさまよっていたくなる。エンタテインメントのような取っ付きやすさもあって(捉えどころはないけれど)とっても面白かった。 ふわふわと捉えどころのない語りに誘われ、無限にループする迷宮に迷い込む。失踪者のポスター、子供の裁判員、人形工場...とめくるめくファンタジィ世界を思わせる要素にわくわくして、いなくなった恋人を探す、洗濯人の主人公...は、ちょっと羊をめぐる冒険を思い出した。 『フランクは語り、なおも語り、明日という日がまだもう少し、望むらくは無限に、先延ばしされればと願っていた。』とあるように、終章からはじまり、序章が終わりでありはじまりのように読めた。幻想に解ける現実か、その逆か。というより、あちらとこちらの境界が解けだして、ぜんぶ、解けてしまう。挿絵も雰囲気があってイイ。
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読み終わってすぐは、いろいろな思いで頭がいっぱいになって、レビューはかけなかった。 またいつか、必ず読み直したい。すでにストーリーは知っているので、めくるめく感じは味わえないと思うけど、このあふれそうなイメージを再確認したい。 映像化は難しそうだけど、映画化したら良いのに。
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フランクという名の男が「都市」に辿り着き、様々な人間と出逢い、都市の様々な側面を知り、それを疑い、それが世界を暗喩している(多分)話。
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基本文庫本しか買わない主義だけど、 刊行記念の柴田さんのイベントで購入したため珍しく単行本。 柴田さんが一目(一読)で夢中になっただけあって面白かった。 その独特の世界観が素晴らしい。 カフカ的不条理さがあると聞いていたんだけど、 その不条理もマイルドというか、 主人公が飄々としているのでそんなに不条理に感じない。 カフカの居たたまれさに比べると、全然心が苦しくない。 私は、日本人らしく消え行くものに美しさを感じるというタイプの人間で、 さらに人の手が介在することで無常さが一層増す という持論の持ち主なんだけど、 この主題は正にピッタリだった。 失われていくものたち。 失われた物に固執する人たちは失われた物に引きずられていってしまう ってなんか怪談っぽい。 けど、そうではなく、 死んだ後も尚失われ得るというところが、 なんとも寂しく、 それは忘却というものかしらと考えてみたり、 ちょっとしんみりする終りでした。 そんな感じ。
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人は見たいものしか見えない。言い換えれば見たいと思えばいくらでもみえる。その潜在的な能力を制限をかけずに引き出すと世界がどういうふうに変わっていくのか。主人公が描こうとするが描けない他者の顔は、それが自分の環境や感情、相手の状況や態度等の様々な要因によって常に変化していることを考えさせられる。自分がみている世界は、自分が見たいと思っている世界でさらにそのなかの一側面というわずかなものでしかないのかもしれない。
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