境界なき土地 の商品レビュー
読み始めてすぐプイグがこの本に影響を受けたのを感じた。ブニュエルが映画化を望んだのも納得の世界観だった。異端・異形者との関係に、同じチリ出身の映画監督ホドロフスキーとも共通するテーマがある。ラテンアメリカ文化の中でも重要な位置の作品のような気がする。一気に読めるのでドノソ入門とし...
読み始めてすぐプイグがこの本に影響を受けたのを感じた。ブニュエルが映画化を望んだのも納得の世界観だった。異端・異形者との関係に、同じチリ出身の映画監督ホドロフスキーとも共通するテーマがある。ラテンアメリカ文化の中でも重要な位置の作品のような気がする。一気に読めるのでドノソ入門としてもよい本であった。赤いドレスのカルメン(カルメンシータ)のようなマニュエルの妖しい魅力にとりつかれつつ、対となるハポネシータがなんだか忘れられない登場人物になった。
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喚起力に満ちた中編。 住人が去り、いずれ葡萄に土を奪われることが定められた村落。破滅を予感させる4匹の犬。時間が固定されて進まないような老人の余生、娼婦の日常。これらが旺盛なビジュアルイメージを伴って、行間からあふれるよう。 水声社のラテンアメリカ文学の新訳シリーズ「フィクション...
喚起力に満ちた中編。 住人が去り、いずれ葡萄に土を奪われることが定められた村落。破滅を予感させる4匹の犬。時間が固定されて進まないような老人の余生、娼婦の日常。これらが旺盛なビジュアルイメージを伴って、行間からあふれるよう。 水声社のラテンアメリカ文学の新訳シリーズ「フィクションのエルドラード」は、気概を感じるすばらしい仕事だと思う。熱烈支持。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
"倒錯的"と声高に叫ぶほどではないけれど、少し混乱する物語。暗い怨念のような世界と、激しい情熱が入り乱れているようだ。ドノソを最初に読むには適している。この作品の後で「夜のみだらな鳥」を読むのがオススメ。「蜘蛛女のキス」のモリーナの原型がここにある。
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『夜のみだらな鳥』で有名なドノソの中篇。 『訳者あとがき』には『グロテスク』という単語があるが、そこまでグロテスクでもない。寧ろ閉塞感というか、出口のないエネルギーが渦巻いている印象をより強く受けた。
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