螺鈿迷宮 新装版 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
【要約】医学生の天馬は、終末医療を行う病院に潜入するよう依頼を受ける。その病院では次々と不可解な死が発生しており、原因を解明するために白鳥と姫宮のペアが捜査に加わる。調査が進むにつれ、病院の経営を担う家族が解剖の技術を悪用し、裏で暗躍している事実が明らかになる。最終的に、すみれはその危機を乗り越え、生き延びる。 【感想】前作に続き、作者は死亡に関するテーマを通じて、画像診断AIの重要性を強調している点が際立つ。また、天馬とすみれの今後の関係を予感させる展開が描かれ、読者に緊張感と期待感を抱かせる内容となっている。
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「桜宮サーガ」という呼び方も在るらしい。東海地方の架空の街、東城大学と大学病院の在る桜宮市で展開するシリーズの作品である。所謂「バチスタ」のシリーズ各作品の間隙というような期間に生じた出来事を描く物語で凄く面白い。「バチスタ」のシリーズで御馴染な顔触れも登場している。そして本作の...
「桜宮サーガ」という呼び方も在るらしい。東海地方の架空の街、東城大学と大学病院の在る桜宮市で展開するシリーズの作品である。所謂「バチスタ」のシリーズ各作品の間隙というような期間に生じた出来事を描く物語で凄く面白い。「バチスタ」のシリーズで御馴染な顔触れも登場している。そして本作の主要な作中人物達が在る訳だが、逆に彼らも「バチスタ」のシリーズ各作品に登場する。そういう具合に“ワールド”が拡がっている様が面白い。 本作は概ね主人公ということになる天馬大吉の目線で綴られる。一部、天馬大吉が居ない場面で、別な視点人物で綴られている箇所も在る。「僕」と天馬大吉の一人称での語りも多く在る。思いも掛けず、天馬大吉が密かに展開した大きな事件の渦中に身を投じて行くようなこととなる。 天馬大吉は東城大学医学部の学生である。一緒に麻雀に興じていた後輩が順当に進級し、何時の間にか学年が上になっていたというような様子で、何度も留年してしまっている26歳だ。 この天馬大吉の幼馴染、小学生の頃から同級生だった別宮葉子は既に大学を卒業し、新聞記者として活躍していた。この葉子に天馬大吉は頼まれる。何かと噂の在る「碧翠院桜宮病院」に、病院ボランティアとして入り込み、様子を探って欲しいというのだ。看護学生や医学生を歓迎すると謳ってボランティアを募集しているので、天馬大吉が適任であるというのだ。「そんなもの…」と天馬大吉は断ろうとするが、行く羽目になってしまう。 「碧翠院桜宮病院」は長い歴史を誇る病院で、桜宮家が経営者一族ということになる。終末医療を手掛ける、院長が警察医として活動するというようなことで知られる。独特な運営でも知られる。他方、何か様々な好ましくない噂も在った。別宮葉子は好ましくない部分も含めて知るべく、内部に天馬大吉を送り込もうと画策したのだった。 天馬大吉はこの「碧翠院桜宮病院」に入り込んだ。御騒がせな姫宮看護師と出会い、何かドタバタとしながら病院内に在る天馬大吉は、かなりの頻度で次々に患者が死亡するという状況を不審であると考え始める。やがて、病院を経営する桜宮家が秘めているモノ、東城大学病院との関係で彼らが抱いた想い、そうしたことから桜宮家の人達が取った行動、更に事が巡って天馬大吉自身の色々な事柄にも行き着く。 医学部に入ったものの、何か勉学に励むということをし損なって「留年」を重ねてしまっているという天馬大吉が、人生の新たな一歩を踏み出して行くことになるという感である他方、例えば「金田一耕助」のシリーズでも思わせる一族の怨恨というような事柄が絡む底流が在って、加えて「実は大きな問題?」という社会のテーマも絡まり、凄く味わい深い。 なかなかに愉しんだ作品である。御薦め!
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チームバチスタのシリーズはとても面白いのですが、私はちゃんと順番に読んでいないようで読んでしまった続きのお話と心の中で照らし合わせながら読んでます。 今回は天馬くんが主役なんですかね? 天馬くんが大学にちゃんと行くようになった理由がわかりました。
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誰から見るかで心情が全く変わる大きなテーマでした。 個人的には、主人公は天馬よりも田口先生の方が好きです。
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「チーム・バチスタの栄光」シリーズになるのかな? バチスタの栄光を映画で見ただけで、海堂尊作品は初。映画のイメージからもっと硬い文章を書く人なのかと思っていたけど、とても読みやすいエンタメ医療小説だった。 読みやすいので気楽に読み進め、このまま軽く終わってしまうのかと心配にも...
「チーム・バチスタの栄光」シリーズになるのかな? バチスタの栄光を映画で見ただけで、海堂尊作品は初。映画のイメージからもっと硬い文章を書く人なのかと思っていたけど、とても読みやすいエンタメ医療小説だった。 読みやすいので気楽に読み進め、このまま軽く終わってしまうのかと心配にもなったけれど、最後1/4くらいからの伏線回収できちんと地に足ついた仕上がりになった。 軽すぎてリアリティないまま終わってしまうミステリもちらほらあって消化不良に終わることがあるけれど、海堂作品はこれからも安心して読めそう。
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いるかさんのお薦め本です。 いるかさんありがとうございます。独特の世界観の作品を堪能しました。 医療界を震撼させたバチスタ・スキャンダルから1年半。東城大学の劣等医学生、天馬大吉はある日、幼なじみの記者、別宮葉子から奇妙な依頼を受けた。 碧翠院桜宮病院に潜入してほしい。 終末...
いるかさんのお薦め本です。 いるかさんありがとうございます。独特の世界観の作品を堪能しました。 医療界を震撼させたバチスタ・スキャンダルから1年半。東城大学の劣等医学生、天馬大吉はある日、幼なじみの記者、別宮葉子から奇妙な依頼を受けた。 碧翠院桜宮病院に潜入してほしい。 終末医療の先端施設として注目を集めるこの病院には黒い噂が絶えなかったのだ。やがて潜入した天馬の前で患者が次々と不自然な死を遂げる! 天馬、そして厚生労働省からの刺客、白鳥らが秘された桜宮の闇に迫る。傑作医療ミステリ。ー文庫うらすじより 独特の世界観のある作品だと思いました。 でんでん虫の形をした螺鈿の館。 桜宮病院。 次々と死んでいく患者たち。 そしてやけどを負い患者となり入院した天馬も1週間が経ったその時、死んでしまうのかとハラハラしました。 桜宮病院の小百合とすみれという美人双生児姉妹。 そしてもう一人。死して永遠に生き続ける姉の葵。 死の匂いのただよう螺鈿の迷宮。 横溝正史を思い浮かべました。 解説の吉野仁さんは、エドガー・アラン・ポーの『アッツシャー家の崩壊』だとおっしゃっていますが。 滅びゆく館の香り。 そしてこれは巻き込まれたのだとばかり思っていた天馬自身の物語でもあったのです。
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主役は巌雄さんだよね、きっと。 そしてそれは彼の罪ではない。 いらん十字架を背負わせようとするのは止めて。 彼がどんな生き方をしようと、それは何の罪でもない。 他の人だってそう。 その思考すらコントロールしておいて、本人が望んだも何もありはしない。 闇は光にならないのに、光のよう...
主役は巌雄さんだよね、きっと。 そしてそれは彼の罪ではない。 いらん十字架を背負わせようとするのは止めて。 彼がどんな生き方をしようと、それは何の罪でもない。 他の人だってそう。 その思考すらコントロールしておいて、本人が望んだも何もありはしない。 闇は光にならないのに、光のような言い訳はいらないだろう。 だから多分主役は巌雄さんなんだろう。 父親としてどうなのかはわからない。
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チームバチスタを読んだ時は衝撃であった。現在、この作家のシリーズは色々あるみたいで、あまりいい読者でない私にはよく分からない事も多い。本作は、バチスタシリーズの外伝になるらしい。 主人公の天道くんがイマイチ魅力的でないが、その分周りの女性陣は中々。 作者が一貫してるエーアイの...
チームバチスタを読んだ時は衝撃であった。現在、この作家のシリーズは色々あるみたいで、あまりいい読者でない私にはよく分からない事も多い。本作は、バチスタシリーズの外伝になるらしい。 主人公の天道くんがイマイチ魅力的でないが、その分周りの女性陣は中々。 作者が一貫してるエーアイの重要性は分からんでもないが、本作にある病院は現実離れし過ぎ。 今、コロナ騒ぎで大変ですが、医療従事者の方にはホントに頑張って頂きたい。政治は目一杯の支援を早急にするべきだ。 まだまだ未読のものも多いので少しずつ読んでいきたい。
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2019.3.3-197 題材として終末期医療等の課題を扱いストーリーは非常に面白いのに、過剰な文体や仰々しい台詞が不自然で鬱陶しく残念。
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20180913 読了 海堂尊作品を時間軸順に。 ブラックペアンシリーズから気になってた桜宮のお話。 バチスタシリーズに比べると終末期医療等を扱ってるからか全体的に暗い感じがする。 内容的には天馬くんに少しイラっとするところはあったけど、すごく引き込まれて一気に読めた。 欲を言...
20180913 読了 海堂尊作品を時間軸順に。 ブラックペアンシリーズから気になってた桜宮のお話。 バチスタシリーズに比べると終末期医療等を扱ってるからか全体的に暗い感じがする。 内容的には天馬くんに少しイラっとするところはあったけど、すごく引き込まれて一気に読めた。 欲を言うなら葵さんの事はもう少し深く書いても良かったのかな?と。 最後はなんでこの人、とみんな思い込んでるのか不思議。
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