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尼僧とキューピッドの弓 の商品レビュー

3.5

18件のお客様レビュー

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2024/03/13

多和田さんの小説としては幻想的な部分が少なくて読みやすかった。 第一部は様々な性格の尼僧たちと修道院の様子が面白くて時間を忘れて読んだ。 第二部は主人公の流されてしまう性格が身につまされてなかなか読み進められなかったが、つらかった分ラストが良かった。

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2023/07/03

中世から続く修道院、尼僧といったモチーフから想起されるものと作中で語られる現代的な尼僧らの生活や価値観のぶつかり合いに、読みながら知的興奮を覚える。 ルポ的ですらある前半と、ある一面からの答えをくれる後半の読み口の違いもたまらない。

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2021/10/19

ドイツの尼僧修道院の中に、日本から来た女性作家が潜入取材する、第一部が印象的。 人生のありとあらゆる大波を乗り越えた、未婚、あるいは離婚した女性たちが集まる修道院が、実は不調和だというのも、よくよく考えれば納得できるものがあり、何千年もの歴史を等しく重ね続ける建造物とは対照的に...

ドイツの尼僧修道院の中に、日本から来た女性作家が潜入取材する、第一部が印象的。 人生のありとあらゆる大波を乗り越えた、未婚、あるいは離婚した女性たちが集まる修道院が、実は不調和だというのも、よくよく考えれば納得できるものがあり、何千年もの歴史を等しく重ね続ける建造物とは対照的に、理想や妄想でない現実的な人間味を、住んでいる尼僧たちに感じられたことに、むしろ好感を持った。 こういうのもハイブリッドというのかもしれない、なんて思っていたら、第二部での、「個人に本当に選択の自由があるのか」という、昔からあるような因襲的な問いかけに自ら飛び込んでいくような、彼女自身の歴史が、思いのほか印象に残らなかったやるせなさに、真の孤独は修道院でなく、ここにあったと実感させられた。

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2021/03/08

禁欲だと思っていた尼僧さんたち、いろいろ楽しんでいるのだなぁ。西洋のドイツが舞台だけど、あだ名がどこか東洋風で、登場人物たちに親近感がわいた。第一部では噂話にとどまっていた尼僧長。どんな人だろうと思っていたら第二部の主人公に。駆け落ちに至るまでの話だった。 自分で決める、って大事...

禁欲だと思っていた尼僧さんたち、いろいろ楽しんでいるのだなぁ。西洋のドイツが舞台だけど、あだ名がどこか東洋風で、登場人物たちに親近感がわいた。第一部では噂話にとどまっていた尼僧長。どんな人だろうと思っていたら第二部の主人公に。駆け落ちに至るまでの話だった。 自分で決める、って大事だよね(難しいけれど)。

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2021/03/07

本好きの友人に誘われ、多和田先生の読書会へ行くときに読みました。とても文章が好き。整頓された文章で且つ感情への訴えかけも緩やかでてくだです。

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2019/02/04

普段自分の読むようなジャンルではないけれど、講談社企画の「乃木坂文庫」で鈴木絢音ちゃんが紹介していた本だったので購入して読みました。 明確なオチはないのですがその時代の情景や人間関係が分かりやすく書かれていてたまにはこういうのもいいなって思いました。 もっと凝らして読めばまた違う...

普段自分の読むようなジャンルではないけれど、講談社企画の「乃木坂文庫」で鈴木絢音ちゃんが紹介していた本だったので購入して読みました。 明確なオチはないのですがその時代の情景や人間関係が分かりやすく書かれていてたまにはこういうのもいいなって思いました。 もっと凝らして読めばまた違う感じ取り方があるんだろうとは思います。自分に感じ取れたかは微妙です。

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2017/11/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ドイツの修道院にて。 修道院での生活に興味のある日本人女性の滞在記。 優秀なまとめ役だったにもかかわらず、わずかな期間で恋人と去ってしまった元尼僧院長のこと。 複数の修道院で暮らす尼僧たちのそれぞれの考えと交差する思い。 元尼僧院長のそれまでの人生と弓の先生であり恋人のベンハルトとのこと。 苦悩を経て、修道院にたどり着いた人たち。 異国を感じた。

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2017/08/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

尼僧と恋、ということで、ある一人の尼僧の中での信仰心と恋愛感情の絡まりをすごく踏み込んで書いたものなのかなと思っていましたが、そうでもなかったです。第2部では、話の中心にはもう修道院はなくて、自身のあり方を模索する女性の来し方が、息苦しいながらも割と手短かに語られていました。第1部ではたくさんの尼僧がそれぞれの修道院生活の意味をぽつぽつと語ってはいますが、別に、〝アイデンティティーと信仰〟みたいな内容でもないので、全体的に、なんとなくフワフワ読むのがいいのかなと思いました。

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2017/04/09

ドイツの田舎町の歴史ある尼僧修道院を訪れた日本人のわたし。そこには様々な人生を送ってきた女性たちが共同生活をしていた。そんな尼僧たちの生活を観察するわたし。しかしわたしに滞在許可を与えた尼僧院長が不在だった。 透明美、陰休、老桃、火瀬、貴岸。わたしが尼僧たちにつけた呼び名は、その...

ドイツの田舎町の歴史ある尼僧修道院を訪れた日本人のわたし。そこには様々な人生を送ってきた女性たちが共同生活をしていた。そんな尼僧たちの生活を観察するわたし。しかしわたしに滞在許可を与えた尼僧院長が不在だった。 透明美、陰休、老桃、火瀬、貴岸。わたしが尼僧たちにつけた呼び名は、その読みを示されておらず非現実感を高めます。しかし彼女たちはしっかりと現実に足を下ろしてそこにいます。 修道院の尼僧というと人生の全てを宗教に(神に)捧げた人たちなのかと思いましたが、そうとは限らず彼女らの宗教観も様々なものだったのです。それよりは自分の人生をどこかの段階で振り返り、少し方向を変えてみよう高さを変えてみよう歩む速度を変えてみよう、そう思った先に修道院があったのかも知れません。そこで共同生活をすることにより己の考えが純粋化することもあるでしょうし、より複雑化することもあるでしょう。わたしはそんな尼僧たちに彼女らの枠の外から声を投げ掛け、様子を観察します。静的なのに、いや静的だからこそ映像的なそんな面白い感覚がそこにありました。 そして第二部では失踪した尼僧院長の自伝。いかにして修道院へ入り尼僧院長となったのか。そして何故失踪することになったのかが語られます。第一部では尼僧たちはわたしに語りかけ、わたしがそれを文章化しましたが、ここでは己の言葉で表されています。そこにあるのはひとりの人間の意志。他者に流されたのか自分で選んだのか。自分の意志とは何なのか。さて。

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2017/04/05

尼僧につけられた呼び名の瑞々しさ、僧院内で交わされる言葉の生々しさ。俗世から隔絶された場所という僧院のイメージを覆してくれる。

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