「AV女優」の社会学 の商品レビュー
彼女たちは何故AV女優になったのか。著者のインタビューや取材を元に書かれた本。AV女優の仕事について社会学的に分析されていた。 性の商品化について、高い報酬は短いスカートを履くことではなく、白い目で見られることに対する対価であった。 AV女優の彼女たちは、テレビや雑誌でスラス...
彼女たちは何故AV女優になったのか。著者のインタビューや取材を元に書かれた本。AV女優の仕事について社会学的に分析されていた。 性の商品化について、高い報酬は短いスカートを履くことではなく、白い目で見られることに対する対価であった。 AV女優の彼女たちは、テレビや雑誌でスラスラとこの職業に就いた理由を語る。それはAV女優になってから、自分を正当化するために何度も話していた理由だが、そのうち、彼女たちがAV女優で有り続けるモチベーションとなってしまうという。 また、自分が頑張れば頑張るほど報酬が上がるというシステムも彼女たちのモチベーションとなっているらしい。 中々無いテーマだったので非常に面白かった。
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前半のくだりはフェミニズムの系譜を簡単に振り返るのに◎ 後半は業界のそばにいるからこそ見える取材内容が貴重、個々のインタビューに関しては各人の人生にもうすこし踏み込んだ内容が読みたかいとも感じたが、本人保護の関係がある微妙なラインなのだろう。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
非常におもしろく読めた本だった。 そもそもが、謎に包まれた(?)業界についての本だから、その事情を細かく書いてくれているのは興味深いし、またこの分野で論文・本を書こうと思った著者に敬意を表したい。 とりあえず、2章はこれまでのセックスワークに関する学説がまとめられている。ここは若干難解なので読むのに時間がかかった気がするが、それでも著者非常に面白く読めた。 3章以降はこの本のメインパート。ちなみにだがここからはどんどん読める。気が付けば自分は読み終わっていた。 まずはAV業界がどういう仕組みで動いているかから始まり、この本のテーマである「語り」をAV女優たちがどのようにして習得していくのかが論じられる。 著者によれば、AV女優たちは「面接」によって大きな影響を受ける。メーカー、そして監督の「面接」では、なにか自分をアピールする話が求められることから、自分のキャラ作りが必要になってくる。そうしなければ、場が埋まらないし、場が埋まらなければ契約、出演にもつながらない。 こうなってくると、彼女たちは例えば自分が実際には経験していないような体験であってもあたかも経験したかのように話して、話のネタにする。この繰り返しが、試行錯誤となり、彼女たちの客観的な意味でのキャラクターを作り出し、さらにもう一方で、彼女たち自身のアイデンティティも作り出す。自分を「語る」ことを彼女たちは求められ、学んでいくのである。 AV業界には強制的に彼女たちを出演させるような風潮はない。しかし、「頑張ったら頑張った分だけ」収入は増えていくので、むしろ自発的に出演本数を増やしたり、NGなプレイを減らしたりする。その動機となっているのは、前述の面接を含めた「語り」である。 この本を読んで感じたのは、この「面接」は形こそ違えど、誰にでもありふれたものだということである。 例えば、就職活動中の大学生や転職活動を行う者は、否応なしに「志望動機」を語らなければならない。別にその企業に大して関心がなくとも、あたかも「自分はその企業に入るために生まれてきた」かのように語り、自己をアピール必要がある。これは、程度の差こそあれ、アルバイトの面接でも同じであろう。 誰でも、最初の段階でどう思っているかは関係なしに、人生のどこかのフェイズで「語る」ことが求められるのである。 そしてこの「語り」は、自分がその後のキャリアを築いていくうえでアイデンティティのようなものになっていくことは十分に自然なことだ。 読んでて非常に面白かったのだが、☆4つなのは、データをもう少しまとめて欲しかったからと感じたため。本文中、AV女優たちを含めた関係者の言葉が多数出てくるのだが、かなり飛び飛びで出てくるため、どれが誰の話だったのかの整理をつけるのが一読しただけでは困難である。読み返さないと、何人の話が出てきたのか理解するのは難しいであろう。社会学の本なので、データに関して一見してわかるまとめのようなものが巻末などにあればもっとよかった(高望みしすぎだが)。
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抽象的な性文化論に抜け落ちていた部分をがっちり埋めてくれた一冊。「語る」ことでの動機付け→中毒的なループって他のワーカホリックにもあてはまりそうな...。
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過剰な動機語りという切り口,陸続きという感覚,これらはオリジナル。学術論文としての完成度はイマイチな面もあるが,著者の問題意識に没入できる良書でした。
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ちゃんと現場を調べていてえらい。しかしそれほど意外なことは出てこない感じ。 「なんで自らを語るのか」の答は「自発的に(「自由意志で」)女優になったというのがコミで性的商品として消費されているから」みたいな答なんだと思うのだが、まあ誰かにインタビューしたらだいたいそういう感じ...
ちゃんと現場を調べていてえらい。しかしそれほど意外なことは出てこない感じ。 「なんで自らを語るのか」の答は「自発的に(「自由意志で」)女優になったというのがコミで性的商品として消費されているから」みたいな答なんだと思うのだが、まあ誰かにインタビューしたらだいたいそういう感じになるんちゃうかなあ。アダルトビデオはドキュメンタリーとしても消費されている。まあ「なんで語るのか」ていうその問題意識自体が興味深いともいえる。
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