日本の近代(5) の商品レビュー
政党の20年代と軍部の30年代を内政と外交の連関で叙述。政党と軍部が対立するだけではなく、政党内部・軍内部でも対立はある。それらの対立を政治エリートの価値観を中心に描く事により、慎重な外交と憲法の遵守という2つの方針を重視した天皇を無視する形で歴史が展開されていった理由を解明。5...
政党の20年代と軍部の30年代を内政と外交の連関で叙述。政党と軍部が対立するだけではなく、政党内部・軍内部でも対立はある。それらの対立を政治エリートの価値観を中心に描く事により、慎重な外交と憲法の遵守という2つの方針を重視した天皇を無視する形で歴史が展開されていった理由を解明。500ページ弱と結構ボリュームはあるが、それでもサラっと書いているように思えるのはなぜか。著者の筆力をもってしても、まだまだ描ききれてない部分が沢山あるという事だろうか。それとも著者の感情に流されないある種のリアリズムがそう感じさせるのだろか。
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軍部がどのように暴走し、内閣の命運を握る存在になっていったかを叙述する一般的な通史。日露戦争期には先進的だった軍隊が日中戦争期には時代遅れになり、その近代化の是非をめぐる論争が二・二六事件の背景にあったことには驚いた。(そのような論争をしている時点で太平洋戦争の勝敗は決まっていた...
軍部がどのように暴走し、内閣の命運を握る存在になっていったかを叙述する一般的な通史。日露戦争期には先進的だった軍隊が日中戦争期には時代遅れになり、その近代化の是非をめぐる論争が二・二六事件の背景にあったことには驚いた。(そのような論争をしている時点で太平洋戦争の勝敗は決まっていたと言える。)組織の失敗というのがよく指摘されるが、その通りであると思う。陸軍をテーマとした本を著者が出していたはずなのでいずれ読みたい。 日中戦争以降、陸軍を中心とした政権中枢に権力が集中し、中枢を担う「人」—近衛、広田らーの動きが重要になってくる。彼らを描いた本も読んでいきたい。
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歴史の流れの中で、出来れば避けて通りたいような時代であるが、できるだけ客観的に書かれた本書のようなものを一度は読んで、最低限の知識だけは持っていた方が良いと思う。
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