「空気」の構造 の商品レビュー
日本独特のデモクラシーがどのような背景で成立し、その中で「空気」というものがどのような機能を果たしているのかを説明している。明治維新や江戸時代、あるいは先史時代からの分析も踏まえて、象徴的な権威と実質的な権力が分立し責任の所在が曖昧になった日本の社会構造を論じる内容。 山本七平や...
日本独特のデモクラシーがどのような背景で成立し、その中で「空気」というものがどのような機能を果たしているのかを説明している。明治維新や江戸時代、あるいは先史時代からの分析も踏まえて、象徴的な権威と実質的な権力が分立し責任の所在が曖昧になった日本の社会構造を論じる内容。 山本七平や丸山眞男の著作からの引用も多く、学びの多い内容だった。
Posted by
”池田信夫さんのブログはときどき読んでいたが、著書を読むのは初めて。 サブタイトル「日本人はなぜ決められないのか」が気になる。 <キーフレーズ> “引用” <きっかけ> 大ボスのおすすめ。 ”
Posted by
【由来】 ・気に入らないけど気になる存在、池田信夫。紀伊国屋でR.グラットンの本を探している時に目についてパラパラと眺めてみたら、そこそこ、面白そうだったので。 【期待したもの】 ・ 【要約】 ・ 【ノート】 ・ 【目次】
Posted by
官民問わず意思決定不全による失敗を繰り返してきた日本の歴史を神話や古事記の時代から振り返り、丸山真男や山本七平といった過去の学者や思想家による論考も引用・解釈しつつ、「空気」という概念を軸に問題の本質を明らかにした集大成的な日本人論。 著者は、日本が地政学的な特性によって、...
官民問わず意思決定不全による失敗を繰り返してきた日本の歴史を神話や古事記の時代から振り返り、丸山真男や山本七平といった過去の学者や思想家による論考も引用・解釈しつつ、「空気」という概念を軸に問題の本質を明らかにした集大成的な日本人論。 著者は、日本が地政学的な特性によって、歴史的に外部からの侵略をあまり受けることなく技術や文化の吸収に成功した一方、農村共同体に端を発するボトムアップ型利害調整メカニズムも時代を越えて温存されてきたため、国や企業がタコツボ型・部分最適思考に陥り、責任の所在が曖昧な「空気」による意思決定が今日もまだ横行していると主張する。 その解決策として、著者の持論である自由主義経済に基づく労働人口の流動性向上といったマクロ的施策も提案されるが、「空気」の存在自体を否定できないならば、個人として「空気」を変える、或いは新たな「空気」を“つくる”にはどうすべきかといった点も踏み込んで考えてみたいと感じた。組織や社会の「空気」と戦う準備として読む価値がある一冊。
Posted by
最近、テレビにも出る池田信夫による、古来から日本を支配する「空気」の構造を分析する一冊。 色んな角度から分析するのは素晴らしいし勉強にもなるのだけど、結論は割とありふれた感が。
Posted by
空気の構造、というタイトルからもっと軽いのりの本かと思ったが、様々な日本人論を参照しながら、決められない日本人について学問的に迫った本。
Posted by
空気をよむことが重要である日本の社会と いうか民族の成り立ちを歴史や文化を軸に 解き明かしていく本。たしかに空気をよむことを 重要視するようになった理論は間違いないと思いますが。 空気をよむことが罪悪のようにいうのはいかがなものか と思いました。 たとえば逆に空気をよむことが苦...
空気をよむことが重要である日本の社会と いうか民族の成り立ちを歴史や文化を軸に 解き明かしていく本。たしかに空気をよむことを 重要視するようになった理論は間違いないと思いますが。 空気をよむことが罪悪のようにいうのはいかがなものか と思いました。 たとえば逆に空気をよむことが苦手な人々を 障害というのか。空気をよむことの何がいけない ことなのか?空気ではなく、法や文体そのままで理解する グローバリズムの行きつく先の罪悪は 本当にないのか?大いに疑問に思います。
Posted by
ブログで有名な池田信夫氏の本。「空気の構造」という題名だが、内容は、いわゆる日本人論、空気で決定する日本人関係、日本人の古来からの気質、戦争における失敗の本質、日本的経営の光と影なども含めた、現在の日本人)についてのダイジェスト、まとめ版であると感じた。 引用は、古典的名著の作...
ブログで有名な池田信夫氏の本。「空気の構造」という題名だが、内容は、いわゆる日本人論、空気で決定する日本人関係、日本人の古来からの気質、戦争における失敗の本質、日本的経営の光と影なども含めた、現在の日本人)についてのダイジェスト、まとめ版であると感じた。 引用は、古典的名著の作者である、山本七平、丸山眞男、ルース=ベネディクト、中根千枝、失敗の本質、日本的経営などの日本人の思考の原型、もしくは平時には多くの成果を上げても、危機に対して弱みをもつことが書かれていると感じた。 多くの読書をしている人には、そのまとめとして、日本人論や空気論をこれから読んでみたい人には全体像をつかむには良い本だと思う。 [目次] はじめに──日本人は特殊か 序章 「空気」が原発を止めた 第1章 日本人論の系譜 第2章 「空気」の支配 第3章 日本人の「古層」 第4章 武士のエートス 第5章 日本軍の「失敗の本質」 第6章 日本的経営の神話 第7章 平和のテクノロジー 第8章 日本型デモクラシーの終わり
Posted by
福島の事故以降、法律的根拠も科学的根拠もなく原発が止められ、再開もできない状況から本書は書き始められる。著者は、閉塞感といら立ちとともに、その原因が日本人の「空気」によって動くことだと批判する。 先行する研究事例である山本七平(『「空気」の研究』という著作もある)や丸山眞男、『...
福島の事故以降、法律的根拠も科学的根拠もなく原発が止められ、再開もできない状況から本書は書き始められる。著者は、閉塞感といら立ちとともに、その原因が日本人の「空気」によって動くことだと批判する。 先行する研究事例である山本七平(『「空気」の研究』という著作もある)や丸山眞男、『失敗の本質』などを通して、いかに日本が特殊であり、それが日本の現状につながっていると主張している。原発の問題も、農業問題も、環境問題も、雇用問題も、すべからくなかなか前に進まないのは、日本において物事が「空気」によってしか動かないからだと説明する。 丸山の「古層」の概念を時に拡張し、その原因が島国であることを含む歴史的要素にあるという自説を滔々と述べている。 池田信夫氏のブログは欠かさず読んでいるので、その主張は違和感なく頭に入る。全体として正論だが、個々で受け入れられるのかはやはり疑問的だ。「政府が裁量的な介入から撤退して国内的な開放を進めることが日本を再建する道だろう」と結ぶが、状況はどうもそのようには進んではいないし、この本の通りだとすると進みそうもない。『失敗の本質』のころと何も変わっていないように感じる。そうであるとするならば、「空気」の構造はいっこうに変わらない、ということになる。そして、池田信夫はいつまでも同じことを言い続けることになるのだろうか。
Posted by
日本人の行動様式として「空気」というものに左右されるというのは山本七平さんの本でも読んでいたが、天皇制に象徴されるように実権をもたないトップを戴き、それを輔弼するという形で実権を持つ者がその下にいる、そして結果だれも責任を取らない構造だというのは説得力があった。 内なる組織の中で...
日本人の行動様式として「空気」というものに左右されるというのは山本七平さんの本でも読んでいたが、天皇制に象徴されるように実権をもたないトップを戴き、それを輔弼するという形で実権を持つ者がその下にいる、そして結果だれも責任を取らない構造だというのは説得力があった。 内なる組織の中で限られた固定された人間関係の中で長期のかかわり合いを続けなければいけないが故に裏切れない。しかし組織の外に対しては厳しくあたる。そして組織を抜けることは大きな不利益になるから抜けられない。こういうムラ社会、日本企業の構造を囚人のジレンマを使って説明しているの秀逸である。 この様な組織では大きな状況の変化がない時にはボトムアップでうまく機能するが、大きな転換を迫られるときには責任者が明確でなく仲間を切ることもできず動けないというのは今の日本の姿を実によく表わしている。 色々な意味で読むべき本であると思います。
Posted by
- 1
- 2