「空気」の構造 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
日本人の特質を、山本七平や丸山真男の論を活用しながら、歴史学・考古学・哲学などの知識を駆使して、解説した著作。 結論を言えば、日本人だけにしかない特質を、中国大陸から適度に離れた日本列島の距離感によって、民族の危機に陥るレベルの戦争を経験しなかったために「空気」に支配される日本人(日本列島に定住している人間という意味での)にしかない独特の特質を持つに至ったということ。「銃・病原菌・鉄」のジャレド・ダイヤモンドの文明論同様、地理的要因が日本人の特質を決定したということでしょう。 確かにこの理屈に則れば、信念・宗教的同一性・中央集権よりも関係性に重点をおく調和型社会などの日本ならではの特徴が説明できるとは、なるほどと思わせる理屈である。
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池田先生のブログと重なる箇所かあるが、政治の混迷や経済の停滞を日本的な共同体の限界に起因していると指摘する。トップの力が弱く、タコツボ的な中間集団の自律性が強く、明確な全体戦略が練られず今までの「なりゆき」やその場の声の大きい「勢い」で意思決定が行われるため、有効な方向転換ができ...
池田先生のブログと重なる箇所かあるが、政治の混迷や経済の停滞を日本的な共同体の限界に起因していると指摘する。トップの力が弱く、タコツボ的な中間集団の自律性が強く、明確な全体戦略が練られず今までの「なりゆき」やその場の声の大きい「勢い」で意思決定が行われるため、有効な方向転換ができない。大いに納得できる内容で、日本的な特殊性の限界を指摘したことに意義があると思う。
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大学で学んでから、かれこれ20年の「意思決定論」絡み。文化論的アプローチでの考察に惹かれて、リスティング。
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丸山眞男、山本七平などを紐解き日本人を間を漂う「空気」について鋭く分析し、日本の政治や企業経営にバッサリと切り込む厳しい考察、ほとんどが既知の話ですが、池田氏の手に掛かるとその切れ味は名刀いや妖刀の如しです。 『あなたたちはいつまで下請けをやろうとするんですか。うちの社員があれ...
丸山眞男、山本七平などを紐解き日本人を間を漂う「空気」について鋭く分析し、日本の政治や企業経営にバッサリと切り込む厳しい考察、ほとんどが既知の話ですが、池田氏の手に掛かるとその切れ味は名刀いや妖刀の如しです。 『あなたたちはいつまで下請けをやろうとするんですか。うちの社員があれも作ってくれ、これも作ってくれと言っているかもしれない。でも、なぜ「こちらには標準的なこのマイコンしかないから。このマイコンでお宅の製品を作ってくれ」と言えないんですか。』 これは、発注元の大手機械メーカーのトップがルネサスの経営陣にいったとされる言葉とのことで、池田氏は日本の下請けメーカーは外部との交渉で普遍的なプラットホームを構築するのが苦手と指摘している。某業界の多くの企業も全く同じ、試行錯誤はしているもののなかなか長期的に使用に耐えるものは難しい。。。
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池田信夫さんの新著ということで早速読んでみましたが、私の関心範囲でもあることから、大変興味深く読了。 山本七平さんと丸山眞男さんを中心に過去の主要な日本論を踏まえて日本の政治や日本企業の現状を読み解いていく。 実に面白い(ガリレオ風)。
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