モルフェウスの領域 の商品レビュー
チーム・バチスタで有名になった著者。この本は、良くも悪くも「小説っぽい」感じがした。 人工冬眠はさすがに現実的ではないだろうと思うのだけど、行政の医薬品認可や官僚の思考については割とリアリティを持って書かれていると思う。ただ、そうであるならばその辺にもっとボリューム持たせても良か...
チーム・バチスタで有名になった著者。この本は、良くも悪くも「小説っぽい」感じがした。 人工冬眠はさすがに現実的ではないだろうと思うのだけど、行政の医薬品認可や官僚の思考については割とリアリティを持って書かれていると思う。ただ、そうであるならばその辺にもっとボリューム持たせても良かったかなとは感じた。もちろん、面白く読んだのだけど。 この人のすごいところは医者と物書きの二足の草鞋を履くこともそうだが、小説は常に一定のレベルを保ち続けていることではないか。とりあえずどれを読んでも面白く読めるというのは、すごいことだと思うなあ。
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人工凍結の技術、技術革新を骨抜きにする官僚、人工凍結で眠る者と見守る者。医学と科学の領域はさっぱり分からないが、きっと現実的な話に違いないと思ってしまう。
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先に、アクアマリンの神殿読んじゃったので、ラストがどうなるかを知ったうえで読むことになった。 新技術には法改正が伴う。 そして、たいてい立法行政は法改正には消極的だ。 それは、医療であれ、IT産業であれ、どこも同じなのだろう。 本作からは、進まない法改正に対する筆者の...
先に、アクアマリンの神殿読んじゃったので、ラストがどうなるかを知ったうえで読むことになった。 新技術には法改正が伴う。 そして、たいてい立法行政は法改正には消極的だ。 それは、医療であれ、IT産業であれ、どこも同じなのだろう。 本作からは、進まない法改正に対する筆者の苛立ちを代弁している。 未来の治療法に期待をし、五年間の眠りについた9歳の少年アツシを見守る仕事は、孤独を愛する涼子にとっては苦にならなかった。 五年後には、涼子はアツシと分かれることになる。 しかし、彼女にとっては、覚醒後のアツシが直面することになる問題を不安視していた。 「覚醒後は凍眠前の記憶を引き継ぐか、記憶をなくして別人格として生きるか」 それを9歳の少年に背負わせるのは酷だと感じていた。 そして五年後、アツシは覚醒する。 五年の間に自らの周りの環境も変わってしまったことに心を塞ぐときもあった。 しかし、彼は自分を守ってくれていた女性の覚悟を知ることになる。
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桜宮市に新設された未来医学探究センター。日比野涼子はこの施設で、世界初の「コールドスリープ」技術により人工的な眠りについた少年の生命維持業務を担当している。少年・佐々木アツシは両眼失明の危機にあったが、特効薬の認可を待つために5年間の“凍眠”を選んだのだ。だが少年が目覚める際に重...
桜宮市に新設された未来医学探究センター。日比野涼子はこの施設で、世界初の「コールドスリープ」技術により人工的な眠りについた少年の生命維持業務を担当している。少年・佐々木アツシは両眼失明の危機にあったが、特効薬の認可を待つために5年間の“凍眠”を選んだのだ。だが少年が目覚める際に重大な問題が発生することに気づいた涼子は、彼を守るための戦いを開始する。
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近未来の医療行為であるコールドスリープを軸に、厚労省の官僚たちの嫌味な部分を炙り出す著者の筆致に久しぶりに触れた。モルフェウスに惹かれていく涼子を何だか冷静に観察する自分がいた。東城大学医学部の懐かしい面々も出てきて楽しい。解説が「東海道でしょう」の杉江松恋氏だったのも、偶然にし...
近未来の医療行為であるコールドスリープを軸に、厚労省の官僚たちの嫌味な部分を炙り出す著者の筆致に久しぶりに触れた。モルフェウスに惹かれていく涼子を何だか冷静に観察する自分がいた。東城大学医学部の懐かしい面々も出てきて楽しい。解説が「東海道でしょう」の杉江松恋氏だったのも、偶然にしては出来過ぎな感じがする。ちゃんと書評をしているんだな(笑)
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おお、曾根崎先生!彼は『ジーン・ワルツ』に出て来た彼ではないか!他にも田口先生やら猫田看護師やら、ほかの作品を読んでいるとわかる人たちがたくさん。 コールドスリープの話。これは、要は「他の作品との関連で年代が合わなくなった辻褄合わせ」で書かれたそうだけど、なんというか官僚の後頭部...
おお、曾根崎先生!彼は『ジーン・ワルツ』に出て来た彼ではないか!他にも田口先生やら猫田看護師やら、ほかの作品を読んでいるとわかる人たちがたくさん。 コールドスリープの話。これは、要は「他の作品との関連で年代が合わなくなった辻褄合わせ」で書かれたそうだけど、なんというか官僚の後頭部を金属バットで殴りまくりたくなる。 涼子とアツシ、西野の今後も楽しみだ。
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意味分からねー!難しい日本語が多すぎて、頭に入らない…しかし、語彙力に長けてるねー。海堂さん好きだけど、これは苦手な方に入るかな。
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ちょっと荒唐無稽な設定だし、今までの作風とも違う。かんり無理がある。ヒロインの行動理由は分かるけど、なぜそうなのかはちっとも分からない。でもオモシロイ。作品に散りばめられている先行作品の記憶が、うまく過去と現在を結びつけている。『アクアマリンの神殿』を読まなくちゃ。
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わずか9歳で「コールドスリープ」を選択したアツシ。 涼子は5年の間、献身的にアツシのデータを取り、維持装置を確認し、見守り続けてきた。 しかし、涼子は気づいてしまう。 目覚めてからアツシに襲い掛かるさまざまな困難に・・・。 何を伝えようとしているのか、それは何となくだけれどわかる...
わずか9歳で「コールドスリープ」を選択したアツシ。 涼子は5年の間、献身的にアツシのデータを取り、維持装置を確認し、見守り続けてきた。 しかし、涼子は気づいてしまう。 目覚めてからアツシに襲い掛かるさまざまな困難に・・・。 何を伝えようとしているのか、それは何となくだけれどわかる。 でも、どうしても登場人物たちに感情移入ができない。 この手の物語にそんなものはいらないと言われるかもしれないが、涼子の決断にもいまひとつ説得力を感じなかった。 現代において人間が物語や映像で想像できることは、ほとんどが未来において実現されるだろうと言われている。 だとすれば、この「コールドスリープ」もまたいつかは現実のものとなるのだろう。 驚異的な知識の蓄積は予想外の副産物だろうけれど、覚醒したあとの精神的なケアがいかにも頼りない。 あんなもので5年間も眠り続けた・・・しかも未成年の助けになるとは思えない。 どんなに知能が高くなろうと、精神面での成長がなければ、いずれ人格は崩壊していくしかなのだから。 両親も離婚し、共にアツシの引取りを拒否。 たぶん、結末の場面に他に行き場所のない状態を作るためにそうしたのだろうけれど、感情部分を切り捨てたような設定に少しだけれど興醒めした。 何となく残念な物語だった。
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海堂作品のなかでは、問題提起が強い感じな作品でしょうか。 なんか素直に、医学ってここまでできるのと感心してしまいました。 他の作品に出てきた人物の名前があったような。。。 前の作品を読んでみようかな。 でも、やっぱり面白かったです。
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