ヒステリー研究・初版 の商品レビュー

ヨーゼフブロイアー,ジークムントフロイト【著】,金関猛【訳】

2014/12/25

あらゆる物事は、一旦形式的に確立されるとその起源にあった本質の必然を忘れ、ただ形式を維持することに終始するようになる。起源と現状は別物と考えたほうがいい。恋愛と結婚がそうであるように。
一方で原初のある時期にはその後の変化や展開を予見させるあらゆる兆しがかなりランダムに散りばめられているという認識も大切にしよう。芸術家にとっての処女作がそうであるように。
両方の意味で、精神医学、臨床心理学のみならず、20世紀の思想や芸術にとってもこれはもっとも重要な書だ。
小説のような臨床例から理論や技法がどのように発見・創造されてゆくか。そのアクチャリティは驚くほど「いま」である。それもそのはず、心理臨床とは常に生々しくそこにいる人間そのものの営みであるからなのだ。