1,800円以上の注文で送料無料

つむじ風、ここにあります の商品レビュー

4.3

29件のお客様レビュー

  1. 5つ

    11

  2. 4つ

    13

  3. 3つ

    3

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/08/15

やわらかい感性で人気の歌人の第一歌集。現代社会を反映した歌が魅力だ。「裏側に張りついているヨーグルト舐めとるときはいつもひとりだ」「液晶に指すべらせてふるさとに雨を降らせる気象予報士」「天気図の西の方だけ晴れているおそらく君がいるのだろうな」「つむじ風、ここにあります 菓子パンの...

やわらかい感性で人気の歌人の第一歌集。現代社会を反映した歌が魅力だ。「裏側に張りついているヨーグルト舐めとるときはいつもひとりだ」「液晶に指すべらせてふるさとに雨を降らせる気象予報士」「天気図の西の方だけ晴れているおそらく君がいるのだろうな」「つむじ風、ここにあります 菓子パンの袋がそっと教えてくれる」「自販機のひかりまみれのカゲロウが喉の渇きを癒せずにいる」「隣人にはじめて声をかけられた「おはよう」ではなく「たすけてくれ」と」「鮭の死を米で包んでまたそれを海苔で包んだあれが食べたい」「遠い日の記憶を手繰り寄せる糸 君にまつわるものは千切れろ」「レジ袋いりませんってつぶやいて今日の役目を終えた声帯」

Posted byブクログ

2024/04/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

特に好きなのは下記 一本の道をゆくとき風は割れ僕の背中で元に戻った 針に糸通せぬ父もメトロでは目を閉じたまま東京を縫う

Posted byブクログ

2024/04/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

オールアラウンドユーが初めて手にした木下さんの本で、さかのぼるかたちで1冊目の歌集を購入しました。 最近短歌を目にする機会が増えて、数名(まだほんの数名です)の短歌を読ませてもらった中でも、木下さんの言葉選びやらリズムやらひらがな/漢字/アルファベット/そういう部分の使い方やらなにやら、「上手だな〜」と素人ながらに思って、難しい説明は抜きにして「なんか刺さる〜」という感覚を味わわせてくれる短歌がやたら多いです。質感が好み、というか……。 ◾️特に好きな5つ 体温の移っていない部分まで足を伸ばしてまた引っ込める 重力がひるんだ隙に人々は一部地域を除いて空へ 改札のむこうに母が立っている車で待っていればいいのに とりあえず別れ話は後にしてドリンクバーに行ってきますね さくらっていちごと同じ発音で言わないときは君の名前さ

Posted byブクログ

2024/01/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

初めて短歌の本を買った。生活の些細な場面が31文字におさめられてて、写真を見返しているような感覚。 読み進めるうちに忘れてた記憶がふつふつ蘇ってきて、ちょっと胸が苦しくなった。これが生活ってものなんだろう。 読みやすく分かりやすくて、私のような初心者にピッタリなのでは。全作品読みたい。今年は短歌の年になりそうだ。 ▼お気に入りの4句 ・体温の移っていない部分まで足を伸ばしてまた引っ込める ・触れなくていいものに触れ火傷する癖があります遺伝でしょうね ・病室の窓から見えるすべてには音がないのと君は笑った ・かなしみはすべて僕らが引き受ける桜の花は上に散らない

Posted byブクログ

2023/12/28

普通のことを比喩のして、因果関係のないところに結びつきを見出すのが上手い。そのおかげでタダゴトに異化作用を乗っけるという簡単そうで難しいことを、最も簡単にやってのける。しかし、そのカラクリさえ分かってしまえば、決して似たようなものが書けることはないが、毎回同じパターンなので面白く...

普通のことを比喩のして、因果関係のないところに結びつきを見出すのが上手い。そのおかげでタダゴトに異化作用を乗っけるという簡単そうで難しいことを、最も簡単にやってのける。しかし、そのカラクリさえ分かってしまえば、決して似たようなものが書けることはないが、毎回同じパターンなので面白くはなくなり、上手いが勝つ。三十一文字にまとめる上手さは他ではない。しかし木下龍也の観察眼は鋭いが感性が鋭いとは思わない。確かに初見では衝撃を与えるが、見慣れてくるとパターン化されているので飽きてくる。

Posted byブクログ

2023/12/11

日常のふとしたことを感じる力、そしてそれを表す力がすごいなと思った。 表現力が豊かですごい。 切なかったり、はっとしたり。 他の作品も読んでみたい。

Posted byブクログ

2023/02/19

◯針に糸通せぬ父もメトロでは目を閉じたまま東京を縫う(50p) ◯「えっ?」ていうあなたの癖がかわいくて小さな声で話しかけてる(97p) ◯しゃくしゃくとレタスの音が昨日より広く感じる部屋に響いた(111p) ★かわいい歌もあれば、残酷な歌もある。それがリアルな世界。

Posted byブクログ

2023/01/20

「夕暮れのゼブラゾーンをビートルズみたいに歩くたったひとりで」 孤独って、孤独じゃない状態を知っているからこそ、感じてしまうものなのだとおもう。たったひとり、じゃない時、を知っている。そうやって歩いたことがある人間には、痛いくらいに響く。 「ひと」という生きもののやさしさとつめ...

「夕暮れのゼブラゾーンをビートルズみたいに歩くたったひとりで」 孤独って、孤独じゃない状態を知っているからこそ、感じてしまうものなのだとおもう。たったひとり、じゃない時、を知っている。そうやって歩いたことがある人間には、痛いくらいに響く。 「ひと」という生きもののやさしさとつめたさを、おんなじように見つめて、つづって。 「花束を抱えて乗ってきた人のためにみんなでつくる空間」 「バラバラになった男は昨日まで黄色い線の内側にいた」 果たして、同じ「鉄道」という輸送機関にまつわる場で起きるドラマなのかしら?と思うけれど、実際に現実はそういうふうにできてしまっている。 「テレビカード」の一連は心の力を抜くと、嗚咽さえしてしまいそうだった。心のやわらかい部分にひんやりと触れてくる温度の低いてのひら。 世界のありようを、さみしいくらいに美しく切り取る三十一音。

Posted byブクログ

2022/12/14

短歌。おもしろい。こういう世界の見方、切り取り方があるのか。想像力と洞察力。みずみずしい感性。悲しみも優しさも闇も光も受け取り手の心にすっと入ってくる感じ。心に風が吹く。

Posted byブクログ

2023/11/25

さまざまさな視点をこぼさず捉えて短い文で言語化できるって相当すごい。 私と同じ側だ…と思える短歌がいくつかあった。 さっきまで騒いでたのにトイレでは他人みたいな会釈をされる これとかすごい好き。

Posted byブクログ