聖痕 の商品レビュー
正直読み難かったです。枕詞の多いこと、多いこと。百人一首が浮かびました^^: 日本語の表現の豊かさに感服しましたが、話の筋を追うのには邪魔のような気もしました。 難解な言葉と注釈と「」の無い会話と語り手が入れ替わり立ち替わりで、読むのに時間がかかり、疲れた~。 私ってこんなに...
正直読み難かったです。枕詞の多いこと、多いこと。百人一首が浮かびました^^: 日本語の表現の豊かさに感服しましたが、話の筋を追うのには邪魔のような気もしました。 難解な言葉と注釈と「」の無い会話と語り手が入れ替わり立ち替わりで、読むのに時間がかかり、疲れた~。 私ってこんなに言葉を知らなかったのね、と反省。 内容云々より、読み切ったことに満足してしまいました(苦笑)
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読み進むにつれて次第に純化され、宗教的になっていく流れは『パプリカ』『旅のラゴス』と同様。 ただ、『聖痕』のタイトル通り、宗教的な雰囲気は以前の作品よりもさらに濃く感じられる。 物語の始め、主人公の少年は、性という原動力から文字通り切り離された存在となってしまう。彼の興味はもう一...
読み進むにつれて次第に純化され、宗教的になっていく流れは『パプリカ』『旅のラゴス』と同様。 ただ、『聖痕』のタイトル通り、宗教的な雰囲気は以前の作品よりもさらに濃く感じられる。 物語の始め、主人公の少年は、性という原動力から文字通り切り離された存在となってしまう。彼の興味はもう一方の欲求「食」へと向かってゆく。 中盤まで付きまとう禍々しさが、少年の成長とともに浄められ最後には昇華されている、そんな物語。
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最後の長編ですか。 ありがたく、読ませていただきました。 インタビュー(http://bit.ly/1bxMC9f)。
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常用外の単語や枕詞などが多用されているものの見開き2ページ毎に註が付けられているため読みにくさは感じず、むしろ日本語の美しい響きにうっとりしながら夢中で読み進めた。読み終わって、これはエンタメ小説だなと感じた。エンタメ系というと軽薄で軟派なイメージがあるけどそうじゃなく、限りなく...
常用外の単語や枕詞などが多用されているものの見開き2ページ毎に註が付けられているため読みにくさは感じず、むしろ日本語の美しい響きにうっとりしながら夢中で読み進めた。読み終わって、これはエンタメ小説だなと感じた。エンタメ系というと軽薄で軟派なイメージがあるけどそうじゃなく、限りなくいい意味でのエンターテインメントだと思った。美食、美人(作中によると美人とは美しい男性を指す言葉だそう)、美女、官能、そして俗っぽい現代の世相なども映し、日本語の美と贅を尽したゴージャスな一冊。 筒井康隆はロートレック荘以来で恥ずかしながら普段筒井氏がどんな文章を書くのか知りません…が、こういった作品をもっと読みたいと思いました。
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話は面白いんだけど、、、 なんでそんなに常用外の言葉を使うんだ・・・ すらすらと読めないので、イライラしました。 途中からは流し読みしたけど。
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昔(約40年前)から筒井さんは私に取ってはちょっと不思議なSF作家で、時々「これは!」って作品に逢えるけど、多くは「これ何?」ってものが多く、時には★1つにしてしまいたいような作品も多かった。 この「聖痕」。最初の方は、ほらまた筒井節だって、思ってた。大体話の発端そのものからグ...
昔(約40年前)から筒井さんは私に取ってはちょっと不思議なSF作家で、時々「これは!」って作品に逢えるけど、多くは「これ何?」ってものが多く、時には★1つにしてしまいたいような作品も多かった。 この「聖痕」。最初の方は、ほらまた筒井節だって、思ってた。大体話の発端そのものからグロい! まあ、それが私の中では筒井節なので違和感はなかったけど。 ところが中盤辺りから、これが結構登場人物達に引き込まれてしまいました。ある意味、不覚^_^ 結論としては、私の好きな「時をかける少女」や七瀬シリーズほどの面白さはないが、結構読みきってしまうと印象に残る作品になったような気がします。
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ひっさしぶりに読んだ御大の本。初めて読んだのが農協さん月に行くでドン引きしたのはいい思い出。 幼少期に性器を切り取られた絶世の美少年がリビドーに端を発する感情を知識としてのみ持って生きていく話。 あの時代特有のお金持ちの厳しいお父さん、おっとりしてしっかりしたお母さん、おじ...
ひっさしぶりに読んだ御大の本。初めて読んだのが農協さん月に行くでドン引きしたのはいい思い出。 幼少期に性器を切り取られた絶世の美少年がリビドーに端を発する感情を知識としてのみ持って生きていく話。 あの時代特有のお金持ちの厳しいお父さん、おっとりしてしっかりしたお母さん、おじいちゃんおばあちゃんに慈しまれ。あとから生まれた弟に忌避されながらもアガペーと美食を求める話。 でも多分テーマは破滅だと思うんだよな、人として為すべきことの一つである生殖を奪われた彼が、いかに心を満たしながら静かに終末を待つにはどうするかっていうのが強いんじゃないか。 震災の話も妙に生々しく、主人公につきまとう男の「文学的醜悪さ」は実に御大らしいものなんだと思う。なんだろう、未だ血の滴る生肉に蠅が群がるような、生理的な嫌悪感を引き出す技巧は他を圧倒する。 古めかしい枕詞のオンパレードだけどページページに注釈をつけてくださったのはとてもありがたかった。 日本語って美しいなと思った本。 またこの古めかしい言葉が彼にはよく似合う。時代に取り残されるべくして取り残された、あるいははみ出していることが当たり前であることの象徴でもあるのかもしれない。
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葉月貴夫の神々しい美貌を想像しながら読む古い言葉遣いの文章は読み応えがあった。しかし、集中しないと難しい…ながら読みができない。 森 茉莉『甘い蜜の部屋』を何故か思い出した。登場人物と文章が美しい。むつかしい。
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葉月貴夫は、産まれた時から人並外れた美貌を有していた。それ故に不幸に遭い、幼い頃変質者に生殖器を切り取られてしまう。 子を成すことはおろか、様々な欲望を抱くこともない貴夫は、己の美貌に群がる周囲の人々のリビドーを冷ややかに見つめつつ人生を送る。 興趣をそそる読書だった。……なん...
葉月貴夫は、産まれた時から人並外れた美貌を有していた。それ故に不幸に遭い、幼い頃変質者に生殖器を切り取られてしまう。 子を成すことはおろか、様々な欲望を抱くこともない貴夫は、己の美貌に群がる周囲の人々のリビドーを冷ややかに見つめつつ人生を送る。 興趣をそそる読書だった。……なんて、普段使わない表現をしてみる。 物語は俗っぽさを排した表現で語られ、貴夫の視点が主であるから、貴夫周辺の人々のありふれた欲望の発露は、それがどんなにあからさまでも淡々と感じられる。 官能も耽美も求めず、日本語の美しさを楽しめる。欲を美食にのみ求めた貴夫のように。……なんてのは、個人的私感で、官能を感じる人もいるかもしれないが。 陰茎を表す日本語がこんなに多彩で純粋に驚く。 それにしても、別に言葉を尽くして褒めちぎっているわけでもないのに食べ物の美味しそうなこと。
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男性器の喪失→男性的欲望の喪失→食への求道という設定が面白かった。ただ暴力的、性描写の生々しく魅力な表現と比べる食の描写のそれはややあっさりしていたかと思う。主人公貴夫の食へのこだわりをもっと見たかった。最後の震災の涙を流す件は貴夫の感情がストレートに出てるのが意外で良かった。 ...
男性器の喪失→男性的欲望の喪失→食への求道という設定が面白かった。ただ暴力的、性描写の生々しく魅力な表現と比べる食の描写のそれはややあっさりしていたかと思う。主人公貴夫の食へのこだわりをもっと見たかった。最後の震災の涙を流す件は貴夫の感情がストレートに出てるのが意外で良かった。 少し長く冗長な気がした。もっとコンパクトでもいいと思った。
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