不撓不屈 の商品レビュー
経済小説家の高杉良による実名小説。会計事務所および会計事務所向けのサービス提供を行うTKCの創設者である飯塚毅の人生を描き、創設や事業運営、「飯塚事件」と呼ばれる国税庁との紛争などの指揮を通して、飯塚のフィロソフィを写している。公認会計士を目指す人は会計士として経営者の側に立つ会...
経済小説家の高杉良による実名小説。会計事務所および会計事務所向けのサービス提供を行うTKCの創設者である飯塚毅の人生を描き、創設や事業運営、「飯塚事件」と呼ばれる国税庁との紛争などの指揮を通して、飯塚のフィロソフィを写している。公認会計士を目指す人は会計士として経営者の側に立つ会計士のあるべき姿を、また経営者としては人に信頼され、一人の人間としては筋を通し不撓不屈たる生き方を、学ぶことができると思う。
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TKCは全国会とか名前を聞くけれどよくは知らなかった、その創業者のお話。 ・特に渡辺美智雄さんや平岡忠次郎さんの国会答弁のあたりが痛快かつ面白かった。 旅費の支出のお仕事などやったけれども、正直何のためにどういう歴史で日当があるのかよくわかっていなかった。各国の比較なども作中で...
TKCは全国会とか名前を聞くけれどよくは知らなかった、その創業者のお話。 ・特に渡辺美智雄さんや平岡忠次郎さんの国会答弁のあたりが痛快かつ面白かった。 旅費の支出のお仕事などやったけれども、正直何のためにどういう歴史で日当があるのかよくわかっていなかった。各国の比較なども作中ででてきて全体像が少しわかってよかった。 ・悪役の鳩山威一郎関東信越国税局長、木村秀弘長官、安井誠関東信越国税局直税部長、金子訟務官というのは実在の人物、金子氏以外?はwikiでも名前が確認できる。国会答弁や新聞記事や書類の文言は史実でしょうから、面白い。勧善懲悪は苦手だけれど国家権力はこわいなあとおもう。 学生のとき、歴史や刑法の授業で、いかに民が人権の脅威にさらされてきたか、それがほんの少しずつ、無数の人々の努力によって革命や判例で打ち勝ってきたか。尊属殺人、自白...。過去の蓄積に感謝しつつ、自分の身を守るために勉強したい。そして自分が立場が強くなった時(親になった、上司になった)には、よくよく己を律して気をつけなければならない。 自分たちの身を守るためには?勉強・相手を立てる態度・むやみに喧嘩しないなど、色々な手を使う必要がありそう。 ・主人公の飯塚氏は、悪衣悪食を恥じず(論語。学問の道を志しながら粗末な衣服や食事に甘んじる事を恥じる様な人間は、学問を語り合うのに値しない) 自利利他(仏教用語。「利他」のまっただ中に「自利」を覚知すること。→自分の利益とは、他人の利益を実現することにある)の精神で生きた立派な方。 自分はグレーはわりと好む性格だし、こんなに清廉潔白にはなれないけれど。 消費を美徳とする風潮が苦手なので、非常に共感できる。 ・長男に社長を譲るシーンで、刀を授けて、経営に失敗したらこの刀で腹を切るのだと言ったのがかっこ良すぎた。
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本書は昭和の東京オリンピックの時代である。戦後昭和の官僚主導経済を成功モデルのように見る向きもいるが、官僚に潰された人々もいただろう。その意味で昭和は良かったとはとても言えない。むしろ官僚主導経済を批判する新自由主義に個人の解放につながる要素がある。飯塚も外資をクライアントとして...
本書は昭和の東京オリンピックの時代である。戦後昭和の官僚主導経済を成功モデルのように見る向きもいるが、官僚に潰された人々もいただろう。その意味で昭和は良かったとはとても言えない。むしろ官僚主導経済を批判する新自由主義に個人の解放につながる要素がある。飯塚も外資をクライアントとしていた。コンピュータ化を進める点で先進的であった。 飯塚は論語の里仁編の「子曰わく、士、道に志(こころざ)して、悪衣悪食(あくいあくしょく)を恥ずる者は、未(いま)だ与(とも)に議(はか)るに足らず」を好む。この悪は悪いという意味ではなく、粗末なという意味である。粗衣粗食の意味である。価格と品質が比例すると考える浅ましい拝金主義の対極にある。
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経営基盤が脆弱な中小企業を支援するため、税理士・飯塚毅が編み出した「別段賞与」の手法が税務当局を刺激した。脱税指導だとして糾弾する国税局を相手に、納得のいかない飯塚は正面から闘いを挑む。訴訟が泥沼化する中で彼を支えたのは、家族や心の師の存在だった。「一円の取りすぎた税金もなく、一...
経営基盤が脆弱な中小企業を支援するため、税理士・飯塚毅が編み出した「別段賞与」の手法が税務当局を刺激した。脱税指導だとして糾弾する国税局を相手に、納得のいかない飯塚は正面から闘いを挑む。訴訟が泥沼化する中で彼を支えたのは、家族や心の師の存在だった。「一円の取りすぎた税金もなく、一円の取り足らざる税金も無からしむべし」の信念で、国家権力から税理士の独立を勝ち取った男の闘いを描く、実名経済小説。
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全部が本当かどうかわからないけど、実名で有名政治家やら大蔵官僚やら出てきて丁々発止のストーリー展開に、どきどきしながら一気に読めました。実名じゃなかったら途中だれちゃうかな?と思わなくもなかったけど、そこは(ほぼ)ノンフィクションの強みなのかも。
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いるんですね、こういう人。 飯塚事件。知らなかった。 そしてTKCという会社も知らなかった。 まだまだ勉強不足ですなー。 題材はいいのだが、小説としてはページ数の割には同じような内容の繰り返しで、退屈であった。
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