“脱成長"は、世界を変えられるか? の商品レビュー
フランスの思想家の本は修辞が多くて読むのに閉口しますが、これでもかという程情報が満載されていて、新しい発見が沢山ありました。 思想的な本なので、具体的な「脱成長」に関する社会システムデザインについては何も書かれていませんでしたが、内容をすごく簡単に要約すると、脱成長の道は、ジョー...
フランスの思想家の本は修辞が多くて読むのに閉口しますが、これでもかという程情報が満載されていて、新しい発見が沢山ありました。 思想的な本なので、具体的な「脱成長」に関する社会システムデザインについては何も書かれていませんでしたが、内容をすごく簡単に要約すると、脱成長の道は、ジョージ・オーウェルが言うところの「人間に共通の品位(Common Decency)」にあるということです。コモン・ディーセンシーとは、「人間の生きる世界とその中で人間が為すことに対して慎み深く、配慮があり、恥じらいを持つ資質を意味する」そうです。そして、ディーセントな社会とは、民衆を辱めない社会であり、経済成長優先社会は恥じらう心を失った、蔑みが支配する世界であると言っています。 ジョージ・オーウェルについては、「1984年」を読んでおかないと恥ずかしいから・・・という程度で読んだ以外に何も知らなかったのですが(大学時代、クラスメイトに「東大生で『1984年』を読んだことがない奴なんているのか?」と真剣にビックリされて焦って読みました)、コモン・ディーセンシーというのは、オーウェルの思想を代表する言葉だそうで、彼はファシズムや全体主義の対極は必ずしも資本主義や自由主義ではなく、本当に重要なのは「人間の品位」だと言っているんだそうです。 それから、更に本筋ではないのですが、「モダンデザインの父」と呼ばれるウィリアム・モリスは熱烈な社会主義者で、資本主義によって破壊された英国の田園風景が社会主義の実現によってその美しさを取り戻した後のユートピアを表現したのが、あの花々と装飾のデザインなのだそうです。軽井沢にある絨毯がウイリアム・モリスのデザインなのですが、単に綺麗だなと思って買ったものに、そんな深い意味があったなんて・・・。只の壁紙のデザイナーではなかったのですね・・・。
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「毎日新聞」2013年6月23日付朝刊で、 中村達也氏が書評していました。 (自然に埋め込まれた人間のための倫理学) (2013年6月24日)
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